6話・そして一日がおわり~朝になる
冒険者に成りたい人~うさぎアイラが、手を上げた
「冒険者の規律違反は?」アレクが聞く。
「盗み」「殺人」「会員同士の流血沙汰」「依頼の途中放棄」
声を揃え唱える。冒険者ギルドの最初の仕事は規律の暗記だった。言えるまで練習させられ脳みそに叩き込まれた。これが言えないと最初の依頼は受けられなかった。
「今回の暴行騒ぎカルが、ギルド会員なら」蒼い眼を鋭く光らせアレクが続ける。「会員同士の争いになり・・当然仕掛けた側が除名だな」
「しかし・・まだガキだぞ」「簡単にギルドが認めるもんか」「スキルすらない」口々に言う俺らをアレクは視線で黙らせ。
まだ顔をこちらに向け話を聞いていたカルに聞いた。
「お前ギルドに入りたいか」
「おれ・・入りたい 入ってあいつらをやっけたい」
「あたしも入る~」アイラも手を上げ名乗りを上げた。お嬢ちゃんは早すぎる。
「アイラは俺と水の特訓 カルはギルドに登録・・実績をあげろ」
「じっせき?」
「強くなれと言うことだ」
「うん・・おれ何でもするよ。強くなる」
「それならまずは傷を治せ」
「あいらは?」「アイラは俺と特訓だ」
「うん・・じいちゃん・・あいら頑張る」
「俺はじいちゃんでは・・」
いきなり爺呼ばわりされショックを受けている。アレクの横からアイアンが自分を指差し聞いた。
「おれはおじちゃんだろ」
「ううん・・じいちゃん」
笑っているラウルを指差し「おじちゃん」
皆の視線が俺に集まる。「わたしは?」
アイラは元気よく言いきった。
「シアンおじいちゃん」
ナルミが盛大に吹き出し笑いだした。
アレクは笑いを堪えてるが、腹を押さえていた。
アイアンとラウルは爆笑してるしカルまで笑っているが、あまり笑うな傷に触る。
「いたい・・」ほれ見ろ。
どうせ俺は老け顔ですよ。
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俺が今夜泊まる事を伝えるとアイアン達も泊まると言い出した。
ナルミが布団がないと言えば、アイアンはわざわざ自宅に取りに帰った・・ならそのまま家で寝ろよ。
ラウルは準備よく寝袋を持参・聞けば日常生活でも、寝袋を愛用していた。
ナルミが久しぶりに椅子で、寝るアレクの為にクッションや座布団?などの綿入り袋布でマヒしている足や腕を固定し眠る準備をワタワタしている。
アイアンが、アレクの横の床に座りアレクの枕を横取りしてナルミに叱られていた。ガキかと笑うラウルも寝袋に入りその横に座る。
冒険者時代は宿代もなく片間って路地で寝た事もあった。
「鉱山の岩場で寝た事もあったな」アイアンあの時は、俺を枕に寝ていたよな。
俺はカルの横で、壁に寄りかかり椅子に座った。
ナルミが、朝方は冷えるからと薄掛け布団とクッションを貸してくれた。長年の冒険者生活が、染み付いた俺達はどこでも眠れた。
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カルを気づかい一緒に寝ると言いはるアイラをカルの横に寝せていたが、熱が上りうなされるカルの横では、眠れずまたカルもアイラが、声を掛けるたび目を覚まし眠れない。
自分の部屋で寝ていたナルミが、闇の中・様子を見にきた。
心配してカルの横から離れないアイラをナルミが、抱き寄せ二階で寝せると連れていく。何度か泣き声が聞こえたが、優しくなだめるナルミの声で静かになった。
時々アイアンのいびきが、大きくなるがアレクかラウルの舌打ちと蹴りで静かになる。湿布の交換時は俺も蹴りを入れた。
「じ・じぃちゃ・ん」俺を呼ぶカルの声に目が覚める。
窓の外は薄明かるくなり夜が、明け初めていた。
「どうだ」とカルの額に手を当てるまだ少し熱はあるが、荒かった呼吸は落ち着き 腫れも少しは引いてきてる。アザはしばらく残るだろう。
ナルミがアイラを抱き二階から降りてきてベッドの横に座らせる。「カルちゃん痛い」「こんくらい平気さ」と強がるが声は弱々しかった。ナルミが厨房から持ってきた痛み止の煎じ薬をふたりに飲ませた後・再び二階に戻るアイラ達を見送りもうひと寝りした。
シアンのスキル回復は~以前・仲間を死なせたショックで失い=アレク達の仲間になるきっかけとなります