叉乎先生は俺の○○○。
今回は短いです。
すぐに投稿したことを褒めてくださいw
ちょっ……え?
別に好きな人がいる……?
それはそれで超気になるんだけど。
俺は堪らず堀芭に好きな人を聞く。
「お、俺の好きな人はな……。
荒冬夜のお姉ちゃんだよ」
ん?
荒冬夜のお姉ちゃん……?
あれ?
荒冬夜って一人っ子じゃなかったっけ。
「バカ言ってんじゃねぇよ。
おい凍樹、僕は一人っ子だからな」
はぁ。
なにくだらねぇ嘘ついてんだよ。
「だってこいつにだけは俺の好きな人言いたくねぇんだもん。
絶対バカにするし」
はぁ。つくづくくだらねぇ。
「いいから言えよ」
少しニヤニヤしながら堀芭に言う。
堀芭は少し慌てるが、
すぐにいつもの冷静さを取り戻して、
落ち着いた調子で言う。
「一年一組担任、前川先生だよ」
えぇぇぇぇぇ!?!?!?
MA・ZI・DE!?
「前川先生って、
あの前川叉乎先生!?
家がヤンキー一族のあの!? 」
「あぁそうだよ。
ってかなんだよその説明」
堀芭が普段は見せない
頬を赤らめた顔が、妙に、可愛い。
コイツ、モテるな。絶対。
堀芭は俺をキッと睨むと、
「バカにしてんだろ」
と低めの声で言う。
ふーん。コイツカッコいいじゃん。
普段みたいにチャラチャラしてないで、こう言うキャラの方がモテそう。
普通に俺がこいつと付き合いたいぐらい……って、ほら、しっかりしろ俺!
兄の影響受けすぎだぞ!
「バカにしてねぇよ。
人の恋の気持ちをバカにするとか、最低だろ。そのぐらい俺もわかるよ」
だって俺自身恋してるし。
多分。荒冬夜に。
そのことを堀芭も知ってるし。
多分。で、荒冬夜は知らないし。
俺の気持ちを。
「ふーん。
分かってんじゃん。恋する少年よ」
「お前こそバカにしてんだろ……! 」
マジむかつくわ〜。
叉乎先生にバラしちゃおっかな〜。
俺と叉乎先生は……。
なんでもねぇ。
**
「荒冬夜、今日は一緒に寝るぞ」
「おう」
今日は待ちに待った、
荒冬夜と一緒に寝る日なり。
「よし。じゃあ電気消すぞ」
パチット電気を消す。
荒冬夜は俺が電気を消した5秒後に寝た。
あれ?
高校生の男と女が2人きりで寝てるんだよ? なにも……ないの?
あっ……。
**
結局なにもなかった!
なんだ! てっきり、あんなことやそんなことが起きるのかと思ったわ!
「凍樹、珍しく早いんだな、起きるの」
「えぇ、あなたのせいで眠れませんでしたからね」
「え! ご、ごめん」
あぁ。すぐ謝らんでええのに。
ホントいい子だなぁ……。
「今日の朝ごはんは目玉焼きだぞ! 」
あぁ。ええなぁ。ええなぁ。
目玉焼きは、ええなぁ。
その日は特になにもなかった。
それから数日後……。
**
「もう兄ちゃんと母さんがハワイから帰ってきたから、俺も帰るわ。
今までありがとな」
そう、荒冬夜と堀芭に別れを告げると、荒冬夜宅を出て、数十歩歩いたのちに、自分の家に入る。
そうだった。武藤さんの家の隣なんだよな。お互い。
武藤さんの家を見て、ため息をつく。
なんかあんまり、楽しくなかった。
進展ないし……。
つまんねぇの。
「ただいまー」
そう言って帰ってくると、いつも通りの声の調子で、「おかえりー」と返ってきた。
特にハワイのことには触れず、自分の部屋に入る。
その時俺は、思わず「うわっ」と言ってしまった。
つい最近、堀芭の好きな人を聞いたもんで、そのこともあっていつもよりも驚いた。
「何でまた居るんだよ、
“叉乎ちゃん”」
「いいじゃない。
そういえば、最近“豹ちゃん”家にいなかったでしょ。
きても来ないんだもん。お姉さんもいないし」
「ってか、うちの母さんをお姉さんって呼ぶの、いい加減にやめろよな」
このことを堀芭が知ったら、きっと怒る。俺と叉乎ちゃんが
幼馴染だってことを知ったら。