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俺はキミがどうしようもなく好きだ。  作者: クールホーク
2/10

兄ちゃんと対照的に荒冬夜が天使

俺の好きな人、荒冬夜 視亞は、男……だと思っていた。

しかし、あんなことやそんなことで気づいてしまった!


荒冬夜は女だと!


俺は余計荒冬夜が好きになってしまった。



「なぁ。今気づいたんだけどさー。

僕と凍樹って、家が近いんだなぁ」


今俺は、荒冬夜と帰っている。

確かにここまで、学校からかなり距離がある。


なのに、ずっとおんなじ道なのだ。

不思議だ。


う、運命!?

俺は途端に顔を赤くしてしまう。


(夜なので)暗闇だから俺が顔が赤いなんてことは気づいてないだろう。


「なぁ。家が隣……とかだったら面白いな」

そんなことを荒冬夜はポツリという。


無性に恥ずかしくなって来た。


「だけど、俺の隣の人、山田さんと武藤さんだぜ? 」


すると突然、荒冬夜は足を止めた。

ん? どうした?

なんか忘れ物でもしたか?


「なぁ。僕の隣の人……さ……。

佐藤さんと武藤さんなんだけど」


なんとなく察せた。

そうか。やはり運命だったのか。


「じゃ、じゃぁ。俺ん家ここだから」

自分の家の前で足を止める。

そこから数歩歩いたところで、

荒冬夜も足を止める。

「僕ん家も……ここだから……」


クソ!人生で初めて武藤さんに嫉妬した!


荒冬夜が家に入ろうとする。

荒冬夜の家は、平凡的な家だ。


近所だから、家の造りもそこそこ似ている。


「なぁ! ご近所仲間としてさ!

ライン……交換しね? 」

やっと口から、ずっと言いたかった『ライン交換しよう』という言葉が出た。


「おぉ。いいよ。ん。これ僕の」

荒冬夜はポケットからスマホを取り出し、ラインアプリを開く。


俺もスマホを取り出す。


そして、ラインアプリを開く。

「んじゃ、ふるふるで」

そう言い、ラインをふるふるする。


『みっちー』


そういう名前が、追加される。


胸がキュンとする。

これは、恋だ。


俺は人生で初めて恋をして、

その恋をした相手が、すんごい驚くが、女なんだ。


俺は今まで女は毛嫌いしていた。

けれど荒冬夜は女だった。


ずっと女に恋していたのか。


そう思うと、なんだかドキドキしてきた。女に恋をした。

俺にとってはすごいことだ。


俺は家の中に入る。

玄関の近くにある階段を上がり、二階へ行く。

部屋へ続くドアを開けると、

フワァっと寒くなるような冷気とともに、肉じゃがのいい匂いがする。


今日の夕飯は肉じゃがか。

お腹がギュルルル……となる。


今日はいろいろあったので疲れた。

夕飯が出来上がるまで、自分の部屋でゴロゴロする。


することがないから勉強でもしようと、教科書とノートを広げ、

ポーチ的なやつからシャーペンを取り出す。


カチカチッと鳴らし、口にシャーペンをくわえながら教科書のページをパラパラめくる。


突然兄ちゃんが部屋に入ってくる。

何の用だ?


そう思いながら、兄ちゃんは気にせず勉強をする。



突然、スマホから、ブーブーッ!

という音が聞こえる。


ラインが来たらしい。


もしかして荒冬夜から!?


急いで確認する。

同級生の男子からだ。

写真付きで何かが書いてある。

なになに?


俺は視力が悪いんで、コンタクトをつけている。


しかし家に着き、目がしょぼしょぼしてきたので、とってしまったばっかだ。


メガネをかけ、内容を確認する。


「凍樹! 無理も承知!

一緒に合コン的なのやんね?

ほら、合コンの相手は、お嬢様学校の

聖霊女学院せいれいじょがくいん』だぜ!?

美女勢揃い! 参加しよ!

てかお前が参加しないと聖女の人もこ……」


途中で見るのをやめる。

合コンなんて行く気おきねぇ。

だいたい俺はもう好きな人がいんのに、なんで合コンに行かなきゃなんねぇの?


少しイライラしながら返信する。


「無理も承知なら、初めから頼むな」

そう送ると、再びメガネをかけ直し、

勉強に取り組む。


30分ほどたち、母親が部屋のドアをノックしてくる。


「豹魔、夕飯できたよ。

今してることが先でもいいから、

冷めないうちに食べちゃいな」


そう言って、階段を下りる音がする。

俺の部屋は三階にある。


うちん家は四階建てだ。

俺には兄ちゃんもいるし、母親も優しい。父親は仕事でなかなか帰ってこないが、記念日には必ず家に一日中いてくれる。


休日なんかは兄ちゃんとたくさん遊んでる。不自由はない。


俺の母親を困らせるわけにもいかねぇし、早めに食べに行くか。


そう思い、ガチャリとドアを開けると、隣りの部屋から兄ちゃんも出て来た。


「おぉ。帰ってたのか。

ほら。早くご飯食べに行こうぜ」


正直言ってうちの兄ちゃんはモテる。

俺の数倍はモテてる。


バレンタインのチョコなんて、

数える気も起きない。


でも、よく俺が朝起きると、隣で寝てたりする。朝からいきなり耳元で、

「おはよう。今日もイイ顔してるね」

なんて言ってくる。


そう。俺の兄ちゃんはhomoなのだ。


ホモになったのは兄ちゃんのせいだと思う。


兄ちゃんにキスをされたこともあるし、ハグなんて日常茶飯事。

この前はキスを口にしてきて、

さらに舌を入れられそうになった。


まぁ、キモかったんで殴ったが。


でもその代わり、優しい。

殴っても蹴っても叩いても、

決して怒らない。


「ごめん」って一言言うだけ。

なんか可哀想になるから、

普段は喧嘩はしないようにしてるけど、キモくなったら、半泣き(嘘の)

をして、「ヤメて……」って言う。


そうすると大抵のことはやめてくれる。


こんなキモ兄を持った俺だが、

こうしてきちんと女が好きになれた。


兄に勝った!


「うわぁ。美味しぃ〜! 」

肉じゃがを頬張る。

俺の顔を見て、母はニッコリと笑う。


そういやぁ母は、あと少しで誕生日だ。今年で32歳っつったか?

(ちなみに兄ちゃんは18歳です)

14で赤ん坊産むってすげぇな。

しみじみ思う。


俺の母は、ぶっちゃけ美人だ。

俺らと道を歩いてると、

「あら、お姉ちゃんと仲良いのねぇ」

とかって言われるぐらいだ。


ぱっと見は20歳ぐらいだ。

ちなみに父は今年で35だが、

ぱっと見25ぐらい。


二人とも美男美女で、

キモいぐらい若々しい。


すっかり食べ終わったので、

自分の部屋に戻る。


ずっとスマホとにらめっこをしているが、なかなか来ない。


男から送るもんなのか?

こういうのって。


でも、いや、あいつのことだから、

「何で先に送るんだよ!

僕から先が良かったのに! 」

とか言いそうだし……。


待ってみるか。



気づいたら寝ていた。

兄ちゃんのイケボで、ふと起きた。


隣には兄ちゃんがいる。

殴りたくなる気持ちを抑え、

兄ちゃんを無視して着替える。


着替えてる途中に、兄ちゃんが後ろからハグをしてくる。


そしてキスをしてきた。


キモさの限界だ。

キモい。吐きそ……。


途端に兄ちゃんに肘パンをする。

兄ちゃんは、よろっとして、

ベットの方に倒れる。


そんな兄ちゃんを無視して、俺は二階に下りる。


あ、ちなみに兄ちゃんは、

小学生の頃に、空手全国制覇。

中学では柔道全国制覇。

高校の今は、この前の剣道全国大会で優勝したとか言ってた。


まぁ、何というか、ハンパなく強い。

俺も、兄ちゃんがその気になれば、

ボコボコどころか、殺されるかもしれない。


けど兄ちゃんはそんなことしないって信じてるから。


俺がいつ、何をしても、地味に受け身が取れてるし。


結局連絡は来なかった。

ちょっと……いや、かなり悲しい。



全て支度を済ませ、家を出ると、

荒冬夜が待っていた。


少し頬が赤くなる。

赤くなってるって意識すると、

もっと赤くなる。


「どうした? 熱でもあんのか? 」

荒冬夜が手を、俺の頬に当てる。


ものすごく恥ずかしい。

女って意識すると、もっと恥ずかしい。


話題を変えよう。


「そ、そういやぁ荒冬夜、昨日何でラインしてこなかったんだよ〜」


無理やりすぎるほどに違う話題に話を移す。


すると、荒冬夜はそうそうといった顔で、俺にこう言ってきた。


「は? ライン送ったぞ?

けど全然既読しねぇんだもん」


え?

急いでラインを確認する。

スマホを開き、ラインを確認する。


昨日追加したはずの、

『みっちー』

という名前が消えている。


え?


必死に何があったかを思い出す。


は!


今思い出した。

そういえば、昨日のあのスマホ……、

兄ちゃんのじゃぁねぇか!


「全然既読してくれないから、

何回か凍樹の家に行こうと思ったんだけど、なかなか行けなくて……。

悪かったな」


何で荒冬夜が謝んの?

なんか少し悲しくなる。


罪悪感を感じる。

自分を嫌悪してしまう。


でも、荒冬夜はそんなの何もなかったみたいに、違う話に変えてくれる。


「てか昨日のモニタ◯ングみた? 」


こんな感じで、相変わらず不器用な変え方だけど。


だけど、そんなところが、よりいいと思える。


俺はどうやら、荒冬夜に完璧に、恋をしてしまったようだ。


まぁ、そんなことは今気づいたことではないがな。

第2話、タップしてくださり、ありがとうございます!


今後とも、

『俺キミ(俺はキミがどうしようもなく好きだ。)』を宜しくお願いします!

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