ふたり…………きり?~Ray's side〜
「はい、ということで校外学習の計画を立てます。」
その声を子守唄の始まりと解釈して俺は机に突っ伏す。実言うと、あの背中の痛みは全然治ってなかったので、昨日は一睡もできなかったのだ。無論、朝の一撃も死ぬかと思った。
けど、痛みよりも真っ先に感じたのは、……喜びというか、なんというか……うまく表せないが、嬉しかった。名前を呼んでもらえたし、あいつに会えたから……なのか?
一晩明けて見ると、俺は今までのわだかまりなんてどうでもよくなってた。ただ、あいつを見ていたい、という感情が、そのわだかまりがいなくなったスペースに居座って今の俺を動かしてる、といった感じだろうか。
うとうととそんなことを考えていると、不意に名前を呼ばれた気がして不本意ながら顔を上げる。すると黒板に書かれていたのは……俺と、ミカの名前だった。そしてその上に書いてあったのは、……「校外学習委員」の文字。どうしてこうなった。
ん、待てよ。確か委員は……と、しおりをめくる。そこに書いてあったことにざっと目を通すと、同じくミカもしおりを読み返して言葉を失っていた。そう、校外学習委員は、事前に場所の下見のため2人で現地を見てくることが義務付けられているのだ。ってことは・・・・ミカと、……二人で……?俺の葛藤を他所に、議題は次に移っていた。