もやもや。~together side〜
帰り道を、ほぼ駆け足に近い早歩きで家に帰る。けれども、頭の中には自然とレイのことが思い浮かんでは消える。
ええいっ、もう、忘れろ忘れろ忘れろっ!
けれども、後から後から湧いてきて、一向に消えてくれない。
もうっ、レイの奴、明日会ったらただじゃおかないんだからっ!……って、またあいつのこと考えてる。心臓も早まったままだし、体も熱い。
もう、私どうしちゃったんだろう。
あいつなんて あいつなんて、……
大嫌い、なはずなのに……
俺、どうかしてるのか……?どうしてあいつのことばっか頭にちらつくんだろ。
小煩くて、目線が合えば喧嘩して、たまに小突いたりした。
けど、あいつをかばった時に体がぶつかって、初めてわかったけど。
あいつって、こんなに脆かったんだ……
すぐにも壊れそうな腕と体。間近で見ると、仄かに感じる熱と吐息。少し力を入れただけで、全部砕け散ってしまいそう。
……俺は、こんな奴と今まで言い争って、対立して、目の敵にし合ってたのか……。思い出す度に、自分の馬鹿らしさを噛み締める。
俺の小さな後悔は、何気なく上げた腕が呼び起こした背中の痛みに止められるまで続いていた。