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俺はリア充の友達が多い

作者: 陽乃優一

タイトルはパクリです(正直)。

「俺が誰とも付き合ったことないってよく知ってるだろ。なんで何度も相談してくるんだ?」

「いいだろ?お前に相談すると結構うまくいくんだから」

「そうなのかな…」


 学校の高等部に進学して早2年目、そろそろ夏休みが近いかというこの時期に、友人の颯太が声をかけてくる。こいつの話の9割はこの手の話題だ。うん、悪友だな。


「なあ幹夫、夏のデートは海と山とコミケのどれがいいと思う?」

「全部行けば?」

「金がないんだよ!いや、コミケもいいのか?自分で言っておいてなんだが」

「同人誌で描かれるようなベタなシチュエーションの方がいいか?」

「まあ、結花は俺のオタ趣味知ってて付き合ってるからな。コミケもアリか」

「事前によく話し合ってから行けよ。『共有したくない趣味』が暴露されるのは嫌かもしれん」

「別行動もスケジュールに入れた方がいいかな…」


 そう言いながら、あれこれ考え込む颯太。この分なら問題ないだろ。



「ね、どうだった?颯太の様子」

「知ってて聞いてるんだろ?一応、アドバイスしておいたから」

「ありがとー!いやあ、幹夫に任せればうまくいくと思ってさー」


 俺はお前の『有能な部下』か。解せぬ。


「なあ結花、俺もお前らに干渉したくないんだ、馬に蹴られたくないからな」

「ケンカなんてしないから大丈夫!あ、そうだ、放課後にみんなでカラオケ行くから予約しといて」

「言い出しっぺがしろよ!」


 ただの部下にランクダウンした模様。解せぬ。



「幹夫くんって、相変わらず歌うまいわねえ。デュエットする?」

「いいの?和夫のヤツ放置して」

「大丈夫よ。カズくん、そんなことで拗ねないから」

「そうだぞ幹夫!俺と香穂さんは誰もが羨むカップルだ!生徒会長と書紀の結束を見よ!」

「公私混同ってこういう時にも使っていいのかな」


 和夫も俺の友人だが、生徒会執行部に入ったと思ったら、生徒会長がヤツの恋人にクラスチェンジしていた。うん、やっぱり公私混同だ。


 ちなみに今の状況は、颯太&結花、和夫&香穂のペアがそれぞれカラオケボックスのクソ狭い席に座っていちゃいちゃしている。俺の両隣で。ここが地獄か。


「ポテトお待たせいたしました…。あれ、幹夫くん?」

「司さん!ようやくここでバイト始めたんだ」

「うん、その…」

「わかってますよ。ここの店長は俺が紹介したんだし」

「えと、あの、両親にはまだ言わないでもらえると…」


 司さん、そんなに気弱で大丈夫かな?大学でうまくやれてるんだろうか。この間も駅前で迷子になってたし。困ってたところを助けて知り合った縁とはいえ、この年でまだそんなんじゃ俺だって心配だ。


「司さんちって、俺達の学校の近くですからね。おじさんとバッタリ会って訊かれたらどうなるか」

「そ、そんな…」

「いいじゃないですか、結婚を前提に付き合ってるんでしょ?」

「店長、そこまで幹夫くんに話してるの…?」


 だって、向こうから話すし。予約の時まで受付の人から電話奪ってあれこれ話すのはどうなのか。



「あ、俺、買うものがあったんだ。先に帰る」

「おい、ここの精算は?」

「店長にツケておくよう言っとくから」


 まあ、店長のポケットマネーで仮払いしてもらうんだが。司さんにも協力してもらおう。でないと、いろいろと割に合わん。


 カラオケにリア充共を置いてきて、本屋に向かう。今日発売日の雑誌があったの忘れてた。


「ん、幹夫くんか?」

「雄斗さん。会社帰りですか?」

「ああ、ひさしぶりに早く帰れてね。通勤で読む本を買おうかと」


 雄斗さんは、俺んちの御近所に住む実家通いのサラリーマンだ。年は離れているけど、一応幼馴染か。


「文庫なら、ケータイをスマホにして電子書籍として購入した方が便利ですよ?ミカとも連絡しやすくなるし」

「ああ…うん、そうなんだが…」

「やっぱり、ガラケーの方がいいんですか?」

「いや、その…付き合っているとはいえ、ミカはまだ中学生だし…」


 そっちかい。まあ、雄斗さんがスマホにしてくれない、ってミカが部活でさんざんぶーたれてたからな。スマホにしたとたん、授業やらなにやらそっちのけで、高等部の先輩として一番付き合いの長い俺が顧問に怒られるのは火を見るよりも明らか。


「まあ、検討はしてるんだが…」


 もはやここまでのようだ。



「ただいまー」

「おかえりー、幹夫。あ、宿題見せて」

「クラスが違うだろが。俺んとこは遅れてるって言ったろ」

「むー、双子で同い年なんだから、同じクラスでいいのに…」


 リビングでくつろいでいた結花がそうつぶやく。いまさらなことを…。


「幹夫くん、お帰り。遅かったわね」

「本屋をいくつか回ってたんだ」

「後で雑誌の方見せて?カズくんが好きな作品があるの」

「へいへい」


 甲斐甲斐しいよなあ。和夫なんて、香穂姉が微笑むだけで『香穂さんがー!香穂さんがー!』とうるさいんだから。主に俺に。


「アニキー、台所手伝ってー」

「おー。あ、ミカ、雄斗さんがスマホに替えるかもしれないってさ」

「ホント!?雄斗お兄ちゃんとの結婚が近づいてきた!」

「んなバカな。それはともかく、俺が『アニキ』で雄斗さんが『お兄ちゃん』なのは納得できないんだが」

「雄斗お兄ちゃんとは小さい頃に結婚の約束をしたから雄斗お兄ちゃんなの!」


 わからん。


「でも、ミカは本当にお母さん似よね。年の差なんて関係ないってあたり」

「いや、母さんと司さんは20才は離れているだろ。ミカと雄斗さんの10才もアレだが」

「まあ、お母さんの好みは大人しい男性だからね。司さん、死んだお父さんの若い頃とそっくりらしいよ」

「マジですか」


 ミカが生まれてすぐ亡くなった俺達の父親だが、もしかして子作りさせられすぎて…いや、よそう。司さんの健闘を祈る。


「で、その母さんは?今日は夜勤じゃないって、カラオケ出る時言ってたぞ」

「司さんと飲むことにしたって。こないだハタチになったみたい」


 ダメそうだな。



 はー、俺もリア充共の世話を焼くより、彼女ほしい…。


「あ、アニキってリア充集団のリーダーって思われてるよ?男女構わずとっかえひっかえしてるって、中等部ではもっぱらの噂」


 訂正しろよ!

恋愛かホラーかでジャンル分け迷ったんですが、無難にコメディにしました。

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