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日曜日の約束

 なんてこったい。王子様のようにっていうか本当に「王子様枠」だろうあれは。

教室に戻ってからわたしは頭を抱えた。まさかあの美少年が逆ハーレムの構成員だとは。いや、予感はしていたけれどわたしはそれを無視していたんだ。公園で会っただけの関係だから、学校で出会ってないから違うだろうという意識がわたしに警告を無視させた。



「どうした、変なものでも拾い食いしたか?」



 空気を読まない声がふってくる。誰が拾い食いするんだ誰が。



「じょ、冗談だ、そんなに睨むなこわい」


 乙女に向かって睨む顔が怖いとはなんという暴言だ平胤め。



「わざわざ冗談言いに来たの?ヒマだねあんたも」

「そんなわけあるか、用があるから来たのだろう」


 用?実力テストの結果発表が終わったばかりで何の用があるというのだろう。テストの見直しはテスト終了直後にやってしまったし、まさか次の中間テストに向けて勉強しようとか言うんじゃないだろうな。


「まあなんだ、実力テストの結果発表も終わった」


 平胤の口からはやはりテストの話が出た。


「そしてお前は無事に目標を達成したわけだ、だから、まあ、なんだその」

「何?」


 歯切れの悪い平胤につい催促をしてしまった。仕方がないじゃないか、平胤がなかなか言わないんだから。結果的にわたしの催促は平胤を動かした。



「なにか奢ってやろうと思ってな、どうだ、日曜にでも」


 溜めた割には、平胤の提案はそんなものだった。しかもご褒美に奢ってくれるってよ、こんないい話は無い。



「いいね、どこ行く?」

「え、いいのか?」

「いいでしょ?だって奢ってくれるんだし、大丈夫だって常識の範囲内で頼むから」

「いやそういうことを心配してるわけじゃ、まあ、いいか…」


 平胤は何か言いたげだったけれどうーんとうなってからそれ以上は何も言わなかった。



「ねえそんじゃあさ、日本初上陸のコーヒーショップあるでしょ、わたしそこがいい」

「ああ、あそこのでかいショッピングモールのか」


 わたしの提案に平胤は、いいんじゃないかと言う。平胤の異論が無かったのでわたしたちは今度の日曜日に約束をした。



 その日の風呂上がり、乙女の部屋に奴はまたしても居た。


「よっお前日曜ヒマ?」


 そしてなんの脈絡もなくそんなことをのたまう。


「ヒマじゃない」

「えっ」


 簡潔にそう答えると佑真は信じられないみたいな目で見てきた。なんだ、なにが信じられないんだ、返答次第ではキサマ相当な覚悟が必要になるぞ。


「もしかしてメガネ?また勉強?」


 佑真がそう言ったので、おそらくこいつの信じられないという目はわたしに友だちとの予定があることではなく、テストも終わったばかりなのにもう勉強するのかという意味だったらしい。よろしい、覚悟はいらんな。


「メガネだけど勉強じゃない、テスト終了のお祝いに奢ってくれるっていうから」

「へー、何々、なに奢ってもらうの」

「日本初上陸のコーヒーショップで、コーヒー」

「ふーん、じゃあ俺も」

「誘わん」

「デスヨネ」


 開口一番、日曜ヒマかと聞いてきたあたりこいつは日曜がヒマなのだろう。かといって平胤との外出にこれは誘わない。バカのくせに理解ははやいがなぜ繰り返すのか。


「あ、でも朝は走ってから行くだろ?一緒に走ろうぜ」

「ああ、それは嬉しい」

「よし決まりな」


 わたしが快諾すると佑真は爽やかに笑った。やはり後輩受けする顔だと思うんだよなあ。でもまだ1年生だし後輩が居ない。勝負は来年だね、とつい口に出してしまったらしい。佑真が厳しい顔で、何の話だと言った。本能的にバカにされてるのがわかったらしい。






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