表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/64

02 チートコードの見つけ方

 暗号師エニグマカナタ、オレの持つ能力はこの世界にある、ありとあらゆるものに対して、情報を書き換えすることができることだ。

 お金が欲しいと思えば、その場でタブレットPCから宝箱を出すチートコードを見つけ、そのコードを入力すれば、お金の入った宝箱を手に入れることができる。他にも、パラメーターの数値を入れ替えて、幼女をスーパーマン顔負けの力持ちにしたり、今でも死にそうな老人の年齢をいじくって、若返らせることもできる。ダメでえていないオレが使えるチート能力だ。

 ただし、このチートコードを見つけるにはコードブレイクと呼ばれる作業をしなければならない。コードブレイクをするためには、チートする対象を分析し、チートをするための数値を見つけなければならない。

 例を挙げれば、モンスターからダメージを受けたとき、数値が動き出す。その数値の動きを分析することで、チートコードを発見し、そこから敵のヒットポイントの数値を増やしたり減らすことができる。チートの値を見つければ、そのモンスターの最大ヒットポイントまでダメージを与えるチートコードを探し当てることになり、一発でそのモンスターを倒すことができるわけだ。

 

 ――だが、今回のチートコードは少し手間がかかる。


 相手は不死者、ダメージが効かないということはダメージがゼロであり、数値が上下するコードは存在しない。

 ……チートすぎる。オレがもっとも苦手とする相手だ。


「まだ、見つからないの!! 弱点が!」

 シロリスは薬莢やっきょう回転銃リボルバーに入れながら叫ぶ。

「私の盾も限界にきている! 撤退てったいを視野に入れた方がいいかも!!」

 ラグリマの大盾おおだて英雄王えいゆうおうジーグの攻撃によってヒビ割れている。明らかに相手が悪すぎる。

「やっぱり、あきらめる? カナタさん」

 あやめはニンマリと笑う。絶対、余裕あるだろうと言いたいところだ。

「弱点は何も対象者に付与ふよさせなくてもいいんだよ」

 あやめはそういって再び魔弾まだんを英雄王ジークにぶつける。英雄王ジークはニヤニヤと頬を歪めるのみ、まったくダメージを受けていなかった。

「対象者に弱点を付与ふよしなくてもいい。対象者に弱点を付与しなくていい」

 オレは何度もつぶやき、不死者の英雄王を倒す術をめぐらせる。


 ――そうだ、邪龍じゃりゅうの血自体が弱点だ。


 オレたちは『邪龍じゃりゅうの血が欲しい』というクエストで、邪龍(と戦ったことがあり、邪龍の血を手に入れたことがある。その時、オレは邪龍の血を分析していた。

 結論から言って、邪龍の血はヒトの手にあまる代物だった。邪龍の血は不死身になるのだが、その代わり、死に近い激痛げきつうを与える。すなわち、永遠の身体を手に入れるのと同時に、永久とわの苦しみを得ることになるのだ。


 事実、依頼者がその場で邪龍の血を自分の身体にふりかけ、酷い激痛(で苦しんだ姿を思い出す。痛みにもだえ苦しむ姿は網膜もうまくに焼きついた。

 オレがコードブレイクで依頼者の身体を邪龍の血の使用前に戻したからことなきを得たが、依頼者の苦悶くもんの表情は今でも忘れることができない。

 さて、そんな邪龍の血だが、英雄王ジークは苦しんでいないのか? それは、彼は既に死んでいるからである。


 ……英雄王ジークは亡霊だ。盗賊とうぞくの身体に寄生きせいできているのは、すでに盗賊とうぞくは死んでいるからだ。すなわち、ジーク王のたましいが盗賊の亡骸なきがらの中に、入り込んでいる状態なのだ。

 となると、今の英雄王ジークは邪龍の血がもたらす痛みを知らずに動き回っていることになる。

 ここから考えて、英雄王ジークの弱点は不死身をもたらす邪龍の血そのものにある。邪龍の血がもたらす痛みを知れば、彼は動けなくなる。


 ――そのためには、どうするべきか。


 周りを見渡すと、ちょうど、シロリスの古代銃こだいじゅうが炎を吐き、英雄王ジークの胸を撃った。しかし、英雄王ジークは胸を撃たれたことも自覚じかくせず、そのまま、シロリスの跡を追う。あの程度では死なないのだろうか。


 ――死なないのなら生き返らせるか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ