表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/64

01 英雄王ジーク、玉座を立つ!

暗号師エニグマ情報書換チート

 廃墟はいきょ玉座ぎょくざから立ち上がる巨躯きょくはえの王のごとく彼の周りに五月蝿さばえがまとわる。彼の四肢ししから腐敗臭ふはいしゅうと共に煙が漂い、鼻につく。


 ――これが英雄王えいゆうおうジークなのか?


 歴史に名を残した英雄王も何百年なんびゃくねんてば腐肉ふにくのカタマリか。いや、彼の身体に息づく筋肉は腐肉ふにくなどではない。血管が浮き出てふくれ上がる筋肉は歴戦の猛者もさを想像させる。


 タブレットPCピーシーを使い、英雄王ジークの身体調査を行う。英雄王ジークは邪龍じゃりゅうの血を浴びており、どんな攻撃も無効となる不死身の身体だと分析する。

 英雄王ジークは動く。狙いはオレたちの命か。

「弱点は!」

 魔導器まどうき使つかいのシロリスがせまり来る巨躯きょくに対して二丁拳銃にちょうけんじゅうで応戦しつつ、オレから情報を得ようとしている。

「ない!」

「ないの!!」

 聖騎士パラディンラグリマは英雄王ジークの放つ鉄拳を盾で守り、前線で戦う味方をサポートする。

ひがしの国でこんなことわざがあります。あきらめがかんじんかんじん」

 賢者けんじゃあやめはそんなことを言った。

あきめるな!!」

 オレはすかさず、あやめにツッコミを入れる。

「どうして、こんなことになったのやら」


 オレ達は英雄王ジークを倒すために廃墟はいきょジグリントへ来ていた。


 元々、亡霊ぼうれいである英雄王ジークは墓を荒らしていた盗賊とうぞくの身体を奪い、この世へ生き返ると、近隣諸国きんりんしょこくの国々に対して宣戦布告せんせんふこくを行った。

 英雄王ジークが近隣諸国に戦争を仕掛しかける前に彼を討つのが今回のクエストである。廃墟ジグリントの玉座ので魔物たちと作戦をっていた所で、不意打ふいうちを仕掛けた。魔導具まどうぐの爆弾をち込んだ所までは良かったが、英雄王ジークは退屈そうに玉座の腕置きにもたれかかっていた。


 不死者ふししゃとなる邪龍の血を浴びていたなんて、そんなのありかよ。考えてみれば、何の策を立てずに戦争を仕掛けるはずもない。想像力が足りなかったな、と、反省していた。


「こんなバカげたことをするヤツはきっと弱いと言ったから参加したのに!!」

 シロリスはラグリマに文句を投げつける。

「私だって、愚王ぐおうだと思っていたから! なのに、不死者で! 弱点がないなんて!!」

「そう、これはち~と。ち~とだから仕方がない。死んでも、そのままイベントが起こるわけじゃないからちょいと困った事態じたい。だからち~とにはち~とで対抗するしかない。――ねえ、そうでしょう、カナタさん」

 あやめはオレに尋ねかける。やはり、この賢者、オレがチートを持っていることを知ってやがる。

「何を言ってるのかな、あやめさん」

「カナタさんをめているわけじゃない。ただ、この愚王を倒さないとあやめさんたち、おじゃんよ」

「おじゃんって」

「あやめさんが時間を作るから、カナタさんはそのたぶれっとぴーしーで、弱点でも作って」

 あやめはオレをにし、英雄王ジークの方を向く。

「どうして、そんなことができるってわかるんだ?」

「だって、あやめさん、賢者だもん」

 あやめはそういって、英雄王ジークに、魔弾まだんをぶつける。シロリスに翻弄ほんろうされていた英雄王ジークはあやめに視線を向け、そちらに攻撃を仕掛ける。


 ――まったく、弱点を作れって。弱点のないヤツに弱点を作るチートコードって、あったけ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ