黒い大魔王は二つは要らない
プルルルル・・・
「もしもし・・・」
「この電話はお客様のご希望によりお繋ぎ出来ません」
ピッ・・プルルルル・・・
「もしもしオレオレ、俺だけど?」
「詐欺か?」
「その件は前にやったからもうイイよ、俺だよ?クっ君の尊敬して止まないお父さんだよ~?」
「俺には尊敬する父親など居ない切るぞ?」
「待って待って!軽蔑してて良いから!蔑んでて良いから電話切らないで!」
「用件は何だ?手短にしろ。」
「その前にさ~実の父を着拒するの止めてよ?
寂しいよ?着拒。でも残念、俺ケータイ幾つか持ってんだ~」
「用件はそれだけか?切るぞ?」
「直ぐ電話を切ろうとするの止めて?
この件はアクシデント的な用件だから本件とは関係ないんだ。」
「故意の着拒だからアクシデントではないがな。」
「そうだね、お父さん故意に故意焦がれ故意に泣いちゃうよ~」
「もうないようなら切るが?」
「さっきから用件あるって言ってんじゃん!?
じゃあ言うけどさ~クっ君さ~キャバレー?」
「キャバクラな。」
「そうそのキャバクラ?って夜の闇に夜な夜な入り浸っているそうじゃん?」
「親父もよく行っている癖に行った事も無いスタンスで質問するなよ。
嘘を吐くのならば切るぞ?」
「あ~ゴメンゴメン!行った事ある行った事ある!
レッドフェニックスやらピンクソーダに行ってた行ってた!」
「黒い太陽は2つも要らないとかそんな用件か?」
「違うよ~ちょっとさ~苦情が来てんだわ、クっ君に対して俺に。
俺も一応魔界じゃ有名人じゃん?
息子の仕出かした事で親にクレームが来る世の中だからさ。」
「で、何?」
「クっ君よくお店で魔王様ゲームとか言う絶対的権力を振り翳して無理難題を命令し遂行させるゲームをしてるだろ?」
「親父だってするだろ?その類のゲーム。」
「王様ゲーム的な奴ね・・するよ。
ゲームをする事に関して苦情が来てる訳じゃなくてその中身に苦情が来てんだわ」
「どんな?」
「先ず根本的ルールがダメなんだわ
強制的にクっ君が魔王になるだろ?」
「まあ俺魔王だし間違ってないし・・・。」
「うん、ある意味間違ってないんだけどお前がただ単に好き勝手命令するだろ?
ゲーム性の欠片も存在しないよね?周りは楽しくないよ?」
「そうかも知れんが俺は楽しいし・・それに他の奴の命令何て聞きたくない、親父もそうだろ?」
「まあ分かるけどゲームだし・・俺だって5番引いたら5番に徹するよ?」
「じゃあ『5番が王様の靴舐めろ!』とか言う屈辱の命令も絶対なのか?」
「舐めるよ?実際舐めたしね。
あの時は命令した王様は嬉々としていたけど周りがドン引きして血の気が引いて行くのがよく解ったわ~
ソイツは監獄で無休息で馬車馬の如く働いてたらしい。今は知らないけど。」
「そうか・・俺だったらその場で潰すけどな!親父は優しいのな。
取り敢えず気を付けるわ、じゃあ切るぞ?」
「もう一個あんの!聴いて?
えっとね~マジョルカって店行った事ある?」
「ん~ないけど何だ?親父の気に入った子が居るのか?それとも彼女が居るのか?」
「もっと衝撃的だよ。」
「何だよスッと言えよ!」
「お前の母さんが働いてんだ。」
「マジでか・・・。」
「ああマジだ。
百歩譲って俺は他人だから良いけどお前血縁者じゃん?
肉親が席に付いてご覧?想像しただけで気まずさハンパないだろ?」
「・・・ハンパない威力の衝撃だな。
差し詰め親父は出くわしたな?」
「ああ・・笑顔を絶やさず接客してくれたよ。
一応新人君達の歓迎会の三次会で行ったのだが周りもリンの顔とか知らないもんだからさ~店を出た後に
『大魔王様に付いていた女性って幾つっすかね?』『ちゃんと顔見ろよBBAだったろ!』とかの論議が繰り広げられて何とも居た堪れず苦笑いしっ放しだったよ。」
「悲惨だな・・さすがに俺がその場に居ても苦笑い以外に対処法が思い浮かばないな・・・。
分かった、そう言う店へ行くのは少し自重するよ。」
「そうしとけ。
最近母さんにいつ会った?母さん俺の事なんか言ってた?男出来たとか言ってた?ねえ?」
「一ヶ月くらい会ってない。
この前親父の写真が出て来たから即刻燃やしたって話が話題に挙がった。
男は俺が知る限りでは今7人目だ・・因みに2回再婚して2回離婚している。妹が2人居る。」
「俺の知らない事実が次々と・・お前妹居んだ・・・。
もういいや・・クっ君は最近どう?人間界制圧出来た系?」
「・・・8割ほど制圧したかな?
赤子の首を捻るかの如く容易い・・もう間もなく人間界は俺の物だ。」
「そっか・・頑張ってんだね。
じゃあ身体には気を付けろよ?」
「ああ、まあ・・その・・何だ・・親父も。」
「おう。」
ピッ
「大魔王様、途中から少し立ち聞きしてしまって悪いのですが坊ちゃまはどれ位人間界を制圧したと?」
「8割方制圧したそうだ。」
「・・・完全に盛りましたね。」
「ああ、盛ったな。」
息子は元気に魔王をやっているようで何よりだ。




