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001

講義棟と呼ばれる建物がある。

Hの形をしている校舎の、右側の棒、グラウンド側が講義棟であり、左側は生徒が普段使用する教室がある本館となっている。

本来であれば、朝登校して最初に向かうべき場所は教室である。荷物を机のワキに引っ掛け、一日の授業の準備をして、友人と楽しく話すというのがごく普通の高校生活である。

だが、今の僕にはそれを実行するためには相当な労力と時間が必要であった。

それに、今の僕が向かっている場所は、配属させられた本館高校一年D組の教室ではなく、講義棟地下三階、七二四五講義室であった。

人目をかいくぐるようにして、こっそりと講義棟の入り口へ入る。誰もいないことを確認すると、階段を飛び下りるかのごとく、猛ダッシュで駆け降りる。最深部へ達すると、視線の先にある講義室に向かって駆け寄る。ポケットから鍵を取り出すと、扉の鍵穴に突っ込んだ。たちまちロックは解除され、横開きのドアが嫌な音を立てながら開いた。

というかレールと扉の位置が微妙にずれている。

すげえ軋んでるし。

「うわっ、埃臭い」

長年誰も使わなかったであろう講義室の空気が、ストレートに僕の鼻孔に入ってくる。嗅上皮が刺激され、僕は吐きそうになった。

換気扇をつけようとしたが、地下三階に換気扇があるはずもなく、それに気づいた時には目まいがしてきた。

どうりで臭いが部屋に籠もるわけである。

「くそっ、こうなったら」

むせながら僕はバッグの中に手を突っ込む。中身をかき回していると目当てのものが見つかった。シトラスミントの香りがする。冷却スプレーである。

よろめきながらスプレーを撒いた。これで臭いが少しはマシになるかと思ったが、

「………」

さらに嫌な臭いになった。

仕方なく、部屋の整理をすることにした。瓦礫の山、とまでは言わないが、それなりに散らかっている。

動くたび、よどんだ空気が僕を包む。不快に思いながらも整理を続け、十分程度で大体綺麗になった。

そのころには臭いもなくなっていた。

「ふう」

一息つく。講義室にあるものは長テーブル五つ、イス十六個、ロッカー二つ、それと埃をかぶって何が書いてあるのかわからない本が数冊。

イスに腰掛ける。ヴヴヴンと擦れる音が不快だった。

後ろを振り向くと、ロッカーのワキに何か立てかけてあることに気付いた。見てみると、テニスラケットと銃。…なにこれ、まさかここヤンキーの溜まり場?

銃を見ると、どうやら射撃部がつかうビームライフルだった。安全だが、何故ここに?

「今日から…ここが」

ここが僕の、高校生活における拠点…

神峰勇(かみねゆう)の拠点となる場所。

七二四五講義室なのだ。





執筆疲れた…

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