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「ども、魔王です」「こんにちは、勇者です」  作者: 魔王@酒場
魔王様は玉座にて待つ。宅配便とかを。
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98 ホンジャラヘッタホニャホニャ教にまつわるエトセトラ

※ 今回のお話は、実在する宗教、団体、人物等とは、一切、関係がありません。

勇者「魔王。ハラヘッタホゲホゲ教に入信しないか?」


魔王「ハラヘッタモゲモゲ教? それは、具体的には何すんの?」


勇者「基本的にはお祈りだな。日に365回のお祈りを欠かさない」


魔王「なんにもできんだろ、それ」


勇者「モンジャラヘッタニョヘニョヘ教の開祖の目的は、それであったと、宗教学者たちは分析している」


勇者「小人閑居して不善を為す。つまり、暇だと人間はロクなことしない。だから祈れと。」


勇者「ウチの僧侶がこれに目覚めちゃってねー。俺にもチラシ配れとか、集会に参加しろとかうるさいんだわ。魔王もどうよ? 世界征服やめたくなるかも…」


魔王「ならん、ならん」


勇者「なんだよ! なれよ! 俺と一緒にモンジャラヘッタフニャフニャ教徒になって、異教徒どもを片付けようぜ?」


魔王「案外、過激だね。新興なのに大丈夫?」


勇者「そこはね、ほら。王様とかバックについてるから安心」


魔王「人間どもの王も落ちぶれたな」


勇者「やっぱね、政治と宗教は切り離すの難しいよね」


魔王「近代国家において、ようやく可能になったことだね、たぶん。俺もね、城下では土着の精霊信仰を認めてるよ」


勇者「ほげほげ~!」


魔王「っ!!?」


勇者「ほげ! ほげほげッ! ほげほげほげー!!」キシャー!!


魔王「俺ら勝った。勇者はもうだめだ」


勇者「失礼な! 我らほげほげ教の神聖なる祈りの言葉を侮辱したな魔王め!」ほげほげ~(σ≧▽≦)σ


魔王「ええいっ! 寄るな! 馬鹿が感染うつるっ!!」


   ◆


勇者「信仰とは、何であるのか…」


魔王「まあ、あれだね。一種の公共の安心っつーか。俺はこれこれのルールに従って生活してるから安全ですよ、っていう、一種の規範なんだろうね、元義げんぎ的には」


勇者「そこのところが、治安維持とか財産の保護とかの、国家の役目と被るわけか」


魔王「ホンジャマカイナイイナイ教は、祈るほかには何すんの?」


勇者「米を食わない。小麦粉もらない。信者には厳格な炭水化物抜きダイエットを課している」


魔王「…ほ、ほう? 人間の食物なんて突き詰めりゃことごとく炭素と水素の化合物ばかりだかな。摂取されやすいかされにくいかの違いがあるだけで」


勇者「外出する際は、女性はおかめの仮面を、男性はひょっとこの仮面を、常に着用する。これは、顔面の形態による差別を防ぐためである。


 イケメンほど厚遇され、ブサメンは放置されるなど、あってはならないことだ。また、ぴちぴちギャル(死語)とヨボヨボのばあさんとの差別を防ぐ目的もある」


魔王「…う、う~ん」


勇者「信者は、ソーラーパネルのある屋根の下で暮らさねばならない。再生可能な安全なエネルギーを用いて生活し、ソーラーパネルの設置が難しい場合は、教祖様に毎月、お金を納めること」


魔王「内容的には間違っていないはずなのに、醸し出される怪しいオーラがすごいな!」


勇者「そして祈りを欠かさない。テスト中だろうと、社の行く末を決める重大な会議の最中だろうと、プレイしてたギャルゲーがイベントのムービー中だろうと、祈る」


魔王「ゲームのムービー中はまずい。アルバムに保管されないやつだから。見ておかないと」


勇者「うっせえてめえ! 俺が祈るからセカイは存続してんだよ! 祈るのやめたら、木星が公転軌道を外れちゃう!」


魔王「……」


勇者「なんで黙るの? 魔王さーん、魔王さーん? 怪しい新興宗教にはまりゆく俺をとめろよ! ともだち甲斐のないやつだな!」


魔王「…え? あ、止めるとこだった? 傍観する局面かと思っちゃった」


   ◆


僧侶「ほげ~! ほげ~!!」イノリイノリ


盗賊「僧侶…、おれ、もう祈るのやめたい…。つらいよ、これ」


僧侶「盗賊のバカァ!!」ゴスゥ


僧侶「あたしたちは! より良い世界の実現を目指して今日も祈り、働くべきなのよ! 人間って、そういうものなの! ただ食べて寝るだけなら、動物と変わらないわ!」


盗賊「だってこれ…、何の意味あるの?」


僧侶「意味なんて求めちゃいけないんです! 祈りこそが価値! ただ祈る! それだけでいいの! ホゲェエエエエエっっ!!!」数珠をじゃらじゃら振り回す


盗賊「…うん。頑張ってね。おれはもう…、自由に生きるから。こんな宗教やってられっか」


僧侶「あたしの祈りを聴くのよッ!! ホゲェエエエエエ ホゲェエエエエエ」


盗賊は静かにドアを締めると、かつての王城を後にした。


今や、信者から巻き上げた金で黄金の屋根と壁をもつ立派な神殿となったそれを見上げ、ひとつ息を吐く。


ーー信仰とは、何であったのか。


財布を落とし、どぶにはまり、持っていた株も暴落して、どん底だった僧侶を救ったのは、「信じること」だった。


ーーいつか、落とした財布は返ってくる。そう信じて、彼女は、今日も祈りを捧げているのだろうーー


〔(今回の話が)END!!〕

Thanks for your Read !!


ulyssesさまが、ミステリ風の勇者と魔王(と側近)を書いて下さいました! えへー。オチもナイスなんですよっ!(≧▽≦)↓


http://ncode.syosetu.com/n7310br/10/

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