96 勇者と魔王と朝活と
【R-17】
今回のお話には、あだるてぃーな単語が含まれます! 17歳未満の方は、回れ右して下さいませっ!m(_ _)m
【R-17】
勇者「冒険中に突然の腹痛! だが、そんなときでも俺は慌てない。手近にあった魔王城に駆け込んだ」
魔王「フハハハハハ! 勇者よ! ようこそいらっしゃいませ! ご用件をどうぞ!」
勇者「俺の腹が痛いのは魔王のせいだ。よって俺は、俺の腹痛を止めるために魔王っ! お前を倒すッ!!」
魔王「よっしゃ任せろー! いくぞ勇者よ! 我が凍える息吹きに凍りつくがいい!」
勇者「ああんっ! やだ! トイレ! トイレ行きたいんだよ! そこをどけ魔王ー!!」
魔王「やなこったー! 俺魔王! どけと言われてどくものかフハハハハハ!!」
勇者「」ズバッ
魔王「ああんッ」バタリ
勇者「トイレー!!」ダッシュ
部下A「勇者さんヒドイ・・・ウチの魔王様を、なんだと思っているんですか・・・」ぷんぷん
勇者「ジャー、ごぼぼぼ。ふぅー、すっきりした。腹が痛いと、必死で神に祈りたくならねぇ? 普段、信じてもいないのにさ。あれ、なんでだろうね?」首かしげ
部下A「知らないですよ知りませんよ。ウチの魔王様を返してくださいよ勇者さんのバカー!! あれ、ブルーレイも観られるし、録画予約もできて便利だったんですよー!!」
◇
魔王「ども。録画予約もできる魔王です」
勇者「油絵も描ける勇者です」
魔王「・・・油絵、だと?」
勇者「最近、習い始めたんだよ。朝活っつーの? 仕事に行く前の早朝の時間にあれこれやろうってやつ」
魔王「・・・ほう?」
勇者「絵画教室の先生も美人でね。焼いてくれるスコーンが、これまた美味いんだ。朝から紅茶飲みながらね」
魔王「ま、そうゆう活動は、どっちかっつーと、『人との触れ合い』を楽しむ側面はありそうだね」
勇者「趣味的な活動が集まる理由だと、ガッチリ仲良くしてプライベートでなれ合わなくても、『適度な距離でなんとなく分かり合える感』がいいよね」
魔王「・・・そんなこと言って、出会いが欲しいんじゃないの?」
勇者「・・・魔王。人間はな。セク○スをするために生まれてくるんだ」
魔王「哲学的な命題が崩壊したな。正論すぎて」
勇者「哲学者もね、生物学的な存在理由を、軽んじるべきじゃないと思うんだ」
魔王「あらゆる人間活動が下半身のせいになりそう」
勇者「さもありなん」
魔王「・・・ところでさ。スコーンにはマーマレード?」
勇者「イチゴジャム」盛り盛り
魔王「クロテッド・クリーム」ぺたぺた
勇者「マーガリン」
魔王「飽和脂肪酸は、身体によくないらしいぞ?」
勇者「大丈夫だよ。俺勇者だし。飽和脂肪酸もコレステロールも、俺の前では問題ないよ」
魔王「まじでか・・・。勇者いいな~、俺も勇者やろうかな」モグモグ
勇者「えー、お前も? まぁ、いいけどさー。ちゃんと俺の活動地域以外にしろよな」
魔王「・・・まあね。そこは考えるよ。勇者を敵に回すとか、考えただけで恐ろしいな・・・」
勇者「ああ。俺、手段は選ばないからね、勇者として。世界を救うためなら、世界を滅ぼすのもやむなしだよ」
魔王「本末転倒してね?」
勇者「課題(宿題)を終わらせるためなら、教師を拉致監禁するのも仕方がない」
魔王「ああ…、それは、仕方がないな」
勇者「論文が受理されるためなら、捏造も辞さない」
魔王「あー、人間はよくやるらしいね」
勇者「ホラー映画を見たら、怖くて一人でトイレに行けない」
魔王「・・・困ったな、それは」
勇者「暇を持て余して手芸を始めたら、忙しくて暇どころじゃなくなった」
魔王「・・・まあ、いいんじゃね?」
勇者「勇者というのは、魔王城に上がり込んで茶をしばき倒す職業である」
魔王「茶を討伐してたのか、貴様」
勇者「魔王というのは、勇者に茶を入れてやる存在である」
魔王「・・・まあね、せっかく訪ねてきてくれたのに、自分で茶ぁ入れさすのもね」
勇者「今日もほうじ茶は美味かった。明日は、抹茶を要求しようと思う」
魔王「よかろう、勇者よ。せいぜい、茶を愉しむがいい」
勇者「紅茶紅茶紅茶」
魔王「・・・あ。茶葉きれた」
勇者「仕方ねえ。角のコンビニまで買いに行ってきてやるよ。俺、勇者だしな」
魔王「おお。悪いね。さすが勇者だ。俺も負けてられないな!」
勇者「そうだよ。がんばろうぜ!」
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