表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ども、魔王です」「こんにちは、勇者です」  作者: 魔王@酒場
魔王様は玉座にて待つ。宅配便とかを。
95/162

95 もふ…もふもふもふ!

勇者「なぁ。魔王的には、良い魔王って、どんなんだと思う?」


魔王「毎朝ラジオ体操を欠かさない」

勇者「あー。それは大事だね、うん」


魔王「寝たきりになって部下にメーワクかけたくないからね~。終活しゅうかつもしてるよ。」


魔王「新聞も読んで、数独解いて~」


勇者「そうだね。ボケないために、頭も使わないとな」


魔王「犬を散歩して、猫に餌やって~」


勇者「猫は散歩しなくていいからな、うん」


魔王「亀を眺めて~、金魚に餌やって~」


勇者「うわぁ。お前、いっぱい飼ってんのな。他に何がいるの?」


魔王「ん? イグアナと九官鳥もいるね。みんな、家族みたいなものだよ」


勇者「・・・家族、か。俺の父親は、魔物と戦って死んでしまった・・・」


魔王「イグアナと九官鳥は、お前を置いて死んだりしない。いつも、励まし、慰めてくれる」


勇者「・・・イグアナ」


魔王「なんだテメエ。うちのイグアナのつらに文句でもあんのかよ。火だって吹けるし、人間どものことだってバリバリ骨ごと食うし! 可愛いんだよ!」


勇者「へ~、イグアナって、そんなもん食うんだ? 知らなかった」


魔王「まあね。個体差もあるよね。九官鳥も、あわよりひえが好きでさ。混ぜとくと、片方だけ残すのな。グルメだよな~」


勇者「ほほ~。九官鳥は、なんかしゃべるの?」


魔王「いつも言ってるよ。『・・・みんな、死んでしまえばいいのに』って。どこでそんな言葉覚えたんだかな~」


勇者「あはは。悪い言葉ほど、喜んで覚えちゃうんだね~、わかる、わかる」


魔王「お前んは、何か飼ってないの?」


勇者「飼いたいけどさ~、俺ほら、世界を救うために旅してるだろ? 勇者が自宅でパソコンいじってるってのも、ガッカリしちゃうだろうし。だからね、今のとこ、何も飼えないかな」


魔王「フェレットとか、どうかな? 連れて歩いても平気な動物だよ。もふもふでよくね?」


勇者「・・・ああ、いいな。いやされるな。世界の危機なんか、忘れてしまいそうだ」


魔王「『たとえ明日世界が滅ぼうとも、今日、私はリンゴの樹を植える』ってやつだな。一秒後に世界が滅ぶとしても、今、この瞬間だけは。ネコたんをもふもふしていたい」


勇者「」グサッ


魔王「痛い! 勇者っ! いたいいたいいたい!! 俺しぬ、しんじゃうっ!!」


勇者「ケモノ談義に俺が和むとでも思ったのか? ああん? 魔王。貴様がどれだけの人間を苦しめてきたのかーー思い知れ」


魔王「もふもふもふもふ」


勇者「・・・魔王。お前・・・」


魔王「ぜぇはぁ。死ぬ前に、ネコたんをもふもふしてくれるわ! ただではやられぬ! 我が滅びたとて、いずれ第2、第3の我が現れ、ネコたんをもふもふするであろう! 覚えておけ! 人間どもめ!!」


勇者「・・・くっ、魔王っ!」


魔王「フハハハハハ!!!」もふもふもふ・・・ぱたり


勇者「後味の悪い戦いだった」


勇者「ネコたんを連れ、俺は、崩れゆく魔王城から脱出した。犬と亀と金魚と九官鳥とイグアナも、もちろん、一緒だ。俺には、この動物たちを飼う責任がある。ーー動物の飼えるアパート、探さなきゃーー」


勇者「・・・魔王を倒しても、日常って、続いてゆくんだなーー」

Thanks for Reading !

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ