83 タロウ君はリンゴを買った
勇者「魔王! 俺の質問に答えろ! タロウ君は、250円のリンゴを2個買って、1000円払いました! いくらおつりをもらったでショー!!」
魔王「決まっている! 460円だっ! 正解だろう! フハハハハ!!」
勇者「残念だったな魔王よ…。タロウ君は、ハードボイルドな小学生でな。別れ際にこう告げた」
タロウ『釣りはいらねぇぜ…。おふくろさんにいいものでも買ってやりな…』
魔王「!!」
勇者「な? な? 年の瀬にふさわしいいーい話だろうが! もう俺、その場に居合わせたんだけどさ、店員さん涙ぐんじゃってね。もう大変だったよ。マスカラは流れるしツケマツゲはとれるし」
魔王「なんだと! つけまつげが!?」
勇者「ーーああ、そうなんだ。タロウのやつは、親切のつもりだったんだろうな…。だが、店員さんのマスカラとツケマツゲは、結果として取れてしまった…。この罪は重い」
魔王「有罪だな!」
勇者「…やはり、お前もそう思うか…、ツケマツゲだしな。叙情酌量の余地はないよな」
魔王「ああ…。ツケマツゲが人前で取れるなんて、死にたくなるからな」
勇者「全くだ…。よって、答えはゼロ円だ」
魔王「…難しいな、数学は。算数の非じゃねえよ。俺、高校になんかいかなきゃよかった」
勇者「バッカ野郎!?」
魔王「へぶっ!! ぶったな! 俺を! この俺を!!」
勇者「…ああ。お前は、言葉じゃわからないらしいからな…。いいか、魔王。世の中には、この惑星には、勉強したくてもできない人間が大勢いるんだ。人間として生まれたからには、誰もが一度は見る夢ーー『一生遊んで暮らしたい』ーーそんな夢を見ることすら叶わない人が大勢いる」
魔王「まさか…」
勇者「いるんだよ、魔王。お前が知らないだけだ。お前はひきこもって、俺をただ待ってればいいーーそれが仕事だからな。だがーー世界には」
魔王「ああ、わかったよ、勇者よ。お前の言いたいことは存分に分かった。俺は、ーー誰もが引きこもり、働かなくても暮らせる。そんな世の中を作っていきたい」
勇者「魔王…、お前」
魔王「引きこもって親のスネをかじって生きる。こんな幸せな人生はないよ…、俺、今、わかった」
勇者「ああ…、ああ! そうだな魔王! 人間と魔族が手を取り合えば、誰もが引きこもって暮らせる、そんな素晴らしい世界が実現できるはずだ!」
魔王「国民総自宅警備員!」
勇者「働きません! 餓えるまでは!」
魔王「よっしゃテンション上がってきたぁあああ!! 邪神様、いらっしゃいませー!」
勇者「させるかぁあああ!!」バキィ
魔王「ぶった! 俺をぶったな!」
勇者「なんなのお前その態度! 手を取り合おうって約束したばかりじゃん! なんで邪神様とかに頼るんだよ!」
魔王「いいじゃん邪神様。メタリックカラーでさー、あのトゲトゲがたまらん」
勇者「邪神様のトゲトゲとこの惑星の平和と、お前はどっち大事なワケ!!」
魔王「決まってんだろ邪神様のトゲトゲだ! 邪神たんハァハァ。このメイド服着てくれるかなぁ?」
勇者「邪神様逃げてェエエエエエエエ!!!」
※ 冒頭の算数には、8%の消費税が含まれています。
(※ 2014年12月現在、日本国内でのお買い物には8%の消費税が加算されます。)
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