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「ども、魔王です」「こんにちは、勇者です」  作者: 魔王@酒場
魔王様は玉座にて待つ。宅配便とかを。
77/162

77 ニートっていうなっ!!

勇者「魔王……」


魔王「ん?」


勇者「俺の乳についてどう思う?」


魔王「ああ、いいんじゃね? 俺、お前の乳好きだよ。悪くないと思う。世界とか、救えるんじゃね?」


勇者「馬鹿野郎っ!?」バシーン!


魔王「うぐわっ!? き、貴様、ぶったな、この俺を……! 大魔王様にもぶたれたことないのにッ!!」


勇者「……フン。魔王。お前、爆乳ごときで世界が救えると思っているのか? とんだ甘ちゃんだなーー」


魔王「なんーーだと?」


勇者「領土問題。民族紛争。宗教問題。貧困。発展途上国と、先進国の格差は年々、縮まってはいるが、新たな問題は、常に浮上し続けている。食糧問題。先進国における、失業問題。教育制度は旧時代の遺物と成り果てているのに、誰もそれを改善していない。」


勇者「あのな、魔王。俺たちの惑星ほしは、青いんだよ」


魔王「……は? 何言っちゃってんの、急に」


勇者「しかも丸い。海は、数多の生命の母体となり、気体と液体というふたつの流体は、絶えず循環し、あらゆる元素を循環させている」


魔王「……はぁ」


勇者「どうだ、魔王。こんな素晴らしい星に生まれたことを、お前は幸運だとは思わないか?」


魔王「ーーいや? べつに」


勇者「馬鹿野郎っ!?」ベシーン! ベシーン!


勇者「そんなんだからお前はッ! 魔王なんて呼ばれるんだよッ! お前が人間たちに憎まれて憎まれてるの見てると、正直、俺の心にはズンドコな悲しみがぶにょんぶにょんと湧き上がってくる!」


魔王「……あ? そうなの?」


勇者「……お前なんかもう知らねぇ。一生、ニートやってろよ。誰にも顧みられずに、薄暗い部屋にこもってエロゲやってろよ」


魔王「え。それ、魔王と同じ意味なの?」


勇者「貨幣経済において、何も生み出さない。するのは、消費だけ。貪欲に生産者をかじりつくす寄生虫だ」


魔王「ひっど! それひどいよ! いくらなんでもひどいよ! ニートに謝れよ勇者!」


勇者「甘えんじゃねえ!!」


魔王「……ッッ」


勇者「人間はなぁ。誰だってひとりなんだよ。ひとりで生まれて、ひとりで死んでいくんだ……。その事実は、引きこもってたって、引きこもってなくたって、何も変わりやしない。俺たちはさ……、みんな、ひとりなんだ」


魔王「勇者よ……」


勇者「お前も、ガンガン外に出ていこうぜ。他人と関わってさ。『価値』を、『意味』を、作り出していこうぜ」


魔王「……うん、あのさ、いい話してるところ悪いんだけど」


勇者「うん?」


魔王「俺ね、人間を見たら抹殺するようにプログラムされてるわけ。建造物とかね、もう、壊しちゃうわけよ。インフラとかさ、ガス管、電線、水道管とかさ、もうね、跡形も残らないよ?」


勇者「まじで? お前、そんな危ない人なの?」


魔王「うん。もうね、俺が歩いたあとには、ペンペン草も生えないわけ。そんな俺が、ハローワークとか普通に行ってもいいのかな?」


勇者「う~ん。それはちょっと難しいかもな……。家でできる仕事探したら? 在宅ワークっつーの? 最近はあるじゃん? 俺の知り合いはね、翻訳者やってるよ」


魔王「翻訳者か~。外国語勉強しないとだな」


勇者「アプリケーションとかソフトウェアとか有料販売すんのは、どうかな?」


魔王「あ、いいね。それはなんか、楽しそう」


勇者「だろだろ?」


勇者「プログラミングの初歩なら、この辺がオススメかな。翔泳社の……」


魔王「えー、こんなのあんの? いいね、うん」


勇者+魔王「「きゃっきゃっ」」


  ◇


部下A「勇者さんが来ると、魔王様が働かなくなって困りますね~」


側近「全くです。魔王様が背後でガリガリ君ナポリタン味を食べているだけで、人間界に侵攻している全軍の志気が、大分違うのですけれどね……」

Thank you for Reading !

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