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「ども、魔王です」「こんにちは、勇者です」  作者: 魔王@酒場
魔王様は玉座にて待つ。宅配便とかを。
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74 勇者に恋文をしたためた勇者

勇者「……なぁ、魔王」


魔王「ん?」


勇者「これどう思う? ラブレターもらっちゃったんだけど。やっぱ、焼却したほうがいいかな?」


魔王「ちょ、待てよお前。何でラブレターの処遇が焼却なんだよ。もうちょっと思いやれよ」


勇者「えー、だってさ、今どき、ラブレターだよ? LINEとかメールとかならわかるけどさ~。自分は電子機器を使いこなせない原始人ですって、言ってるようなもんじゃね?」


魔王「……考えすぎだろ。どっかでお前を見かけて可愛かったから毎晩おかずにしてますとか、そんな内容だろ」


勇者「おかずってなに?」


魔王「……。おかずは、おかずだよ。ソレがないと飯が食えねぇんだよ」


勇者「マジで? 俺、そんな重要な役割をになってたの? そりゃちょっと、考えないといけないな」


魔王「せいぜいよく考えるのだな。結婚した者の約80%が、一度は離婚を考えるというしな」


勇者「そっかー。どーせ別れるんなら、始めから付き合わないのもアリだな」


部下A「コーヒーが入りましたよ~」


勇者「おっ、サンキュ」


魔王「ほう、ブルーマウンテンか」


部下A「何の話をしてるんですか?」


勇者「いや、あのね、俺をおかずにしてるからありがとうって手紙をもらってさ」


部下A「わぁ。勇気がありますね。それって、なかなか、本人には言えないことですよ」


魔王「……うん。まず言えないよな」


部下A「お返しに、エロDVDでも送ってあげたらどうです? 勇者さんのサイン入りで」


勇者「えー? 俺、サインなんて考えたことないし」


部下A「普通に名前を書けば良いんじゃないですか?」


勇者「そっかなー」


魔王「ほら、エロDVD」


勇者「おっ、サンキュ」キュポン(マジックの蓋を外す音)


勇者「えー、拝啓、ラブレターをくれた人へ。ご利用いただき、誠にありがとうございます。今後とも、よろしくお願い致します……と。こんな感じ?」


魔王「今日は雨が降っているからな。『お足元の悪い中をお越しいただき』くらいは、付けた方が良いかもしれんな」


部下A「そうですね。そのほうが、気遣いが感じられますよ!」


勇者「へぇ、そう? んじゃ、そうしよっと」


…… 一週間後。



魔王「その後、ラブレター寄越した奴とはどうよ? よろしくしてんの?」


勇者「うん。なんかね、今度はね、ネズミーランドに一緒に行こうって」


部下A「わぁ! デートですね! 勇者さん、いいなぁ」


勇者「何着ていこう。やっぱ、最低でもチェイン・メイルくらいは無いとキツいよな? 光属性の魔法耐性とか、あったほうがいい?」


魔王「そのへんは基本だろ。武器はーーそうだな。最低でも、マスコット・キャラを倒せるくらいにはしていかないと、デートの相手にも失礼だ」


勇者「だよなー。ポーション、何個くらい持っていこう?」


部下A「毒消しもあったほうが良いですよ!」


勇者「おお、そうだな。チェック・リストにして、忘れ物がないようにしなきゃな」



…… デートの翌日。


勇者「……。」


魔王「勇者? 顔色が悪いな。風邪か?」


勇者「……もう俺とは付き合えないって言われた……」


魔王「早いな。何があった」


勇者「……」


魔王「勇者?」


勇者「……鎧で。デートに来るものじゃないって……」


魔王「は? 何それ。そいつ何なの?」


勇者「知らないよ。やっぱ、道中で見かけたグリズリーの返り血がついてたのがマズかったのかなぁ……はあ」


魔王「鎧も着ないで出歩く無防備な人間なんて、この世にいるのかね?」


部下A「そうですよねー? 僕らにとったら、格好の獲物ですよ」


勇者「(はー……)」

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