72 パイレーツをセパレーツ!
(水着売り場にて)
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勇者「なー、まおうー。水着はやっぱパイレーツのほうがいいかな?」
魔王「セパレーツな、上下別れたやつな」
勇者「わっかんねえ魔王だな。テメエは俺のヘソ見たいかって聴いてんだよッ!!」ビキニ試着中のまま、試着室から出て、魔王を掴み上げる
魔王「何度いわせればわかる!? 貴様に断然で似合うのは、NIKEの競泳用水着だ! それ以外の水着など、取るに足らん!」
勇者「……ンだとてめぇ。俺のヘソには魅力がないって言いたいのかよ! これでもお手入れしてんだよッ!」
魔王「ーー貴様には黒の競泳用水着が似合う。何度いわせれば気が済む……!!」
勇者「やだ! 今年こそ俺はヘソ出し水着を着る! 魔王の好みなど知ったことか!!」
魔王「……ふん。好きにするがいい」
勇者「ああ! 好きにするさ! おねえさーん。ここのセパレーツ水着、全部ください! 支払いは、この魔王名義の暗黒のオーラを放つクレジットカードで!」
店員「お買い上げありがとうございまーす」ニコッ
魔王「……勇者め」
勇者「……ンだよ。人生ゲームで負けたら水着買う、つったの、お前だろ」
魔王「ふん。その金はな、俺が人間界を日々汗水たらして地道にコツコツと征服した金なんだよ!!」
勇者「だから何だ! 金は無色透明ーー善も悪もない。」
側近「……ないらしいですね」
部下A「ないんですね。勇者さんって、時々ドライですよね」
勇者「さーて。海行くぞ海」
魔王「……魔王が外出など、魔族の沽券にかかわる」
勇者「なんだよ魔王。俺のヘソより、水陸両用人型ロボット見てるほうがいいわけ?」
魔王「うん」
勇者「……ったく。そんなだから、お前、街に出ると女の子たちにキャーキャー言われちゃうんだよ」
側近「……キャーキャー?」
勇者「近寄りたくないんだろうな。ほら、今も、焼きトウモロコシ売ってたお姉さんが逃げてったし」
部下A「危ないですね」
魔王「……若い頃はモテたんだがなあ」
勇者「そういうさ、何かあるごとに過去を振り返るのって、よくないと思うな。もっとさ、横向きに生きないと」
部下A「……横……向き?」
勇者「前向きすぎんのも疲れねぇ? 横向いてさ、カニ歩きするくらいでちょうどよくね?」
魔王「横向きか……ところで勇者よ」
勇者「……んだよ。バカ魔王」
魔王「あんなに大量に買ったセパレーツ水着はどうしたのだ?」
勇者「返品したよバカ! あのな、水着なんてな、見せたいヤツが限られんの! そいつに喜んでもらえなかったら、何の意味もないの!」
魔王「ほー」
側近「ほほー」
部下A「わぁ」
勇者「////」(真っ赤)
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声投稿サイトで、勇者のセリフをやってくださった方の一言。「勇者と魔王は、仲良いほうが私は好きですよ!」
ーーということで、たまには(?)分かりやすい仲良しさんにしてみました。




