49 Fly me to the Moon
魔王「勇者よ、よくぞここまでたどり着いたな。お駄賃100ゴールドをやろう。さあ、拾え」ちゃりーん! コロコロコロ
勇者「馬鹿いえ! 俺がそんなものを拾うと思っているうあーお、100ゴールド硬貨がコロコロ転がってく待ってくれ!」ダダダダダダ
魔王「速いな。100メートル10秒をきったぞ」
部下A「さすが勇者さん! 42.195kmそのペースを維持してくださーい」
勇者「よっしゃ任せろ! 飛べ! 宇宙へ飛び立つんだジョーォオオオ!!!」
ジョー「よっしゃあ! 地面から両脚が離れたぞ!」
勇者「離陸だ! 俺、ちょっと宇宙行ってくる!」
ジョー「人類の夜明けは近いぞ勇者さん! 減量なんかクソくらえだ! 俺はステーキを腹いっぱい食べたい!」
勇者「料理は任せろ! ステーキ味の宇宙食を作ったぞ! なんとゼロ・カロリーを実現しました!」
ジョー「すごいな勇者さん! 俺、やっぱまだ減量続けてみるよ!」
勇者「その意気だジョーォオオオ!!! 立て! 立つんだ! お前が冷蔵庫に入れてたケーキは俺が食べておく任せろ!」
ジョー「待ってろ世界! 俺はスーパーサイヤ人を倒して宇宙一になるッ!」
部下A「……魔王様、あれ、誰ですか?」
魔王「……さあな。俺も知らん」
勇者「行くぞジョナサン!!」
ジョー「ジョーだよ! ジョナサンと違うよ!」
◆
ジョー「……どうも、ジョーです」
勇者「宇宙は遠かった。チョモランマ(エヴェレスト)にぶつかってクレバス(氷河の深い割れ目)に落ちた。もう二度と生きて還れないかと思った」
ジョー「やっぱさあ、ロケットエンジンもなしに宇宙に飛び立つっつーのが無謀でしたね。NASAに、個人用ロケットエンジンを開発してもらわないと。」
部下A「宇宙服はどうするんです?」
勇者「バッカだなあ、部下A。あんなもん飾りだよ」
ジョー「ですです。偉い人たちにはそれがわからんのです」
勇者「宇宙ってホントは空気があるんだよ。」
部下A「……え、あれ? なんだかホントにそんな気分になってきました」
ジョー「勇者さん! 実験ですよ! 部下Aさんに乗ってもらってこの試作型ロボットを飛ばしましょう!」
勇者「そうだな。科学の発展には犠牲が不可欠だ」
部下A「ギセイって言った!? ほら、もう、まったく! 宇宙空間はやっぱり真空なんですよ」
勇者「馬鹿いえ! 貴様は真空を見たのか!? 俺は自分の目で見たもの以外信じない! よって真空など存在しないんだ! 存在感ゼロだ!」
部下A「真空パックとかどう説明するんです?」
勇者「あれはただ空気を抜いただけ。中身があるじゃん」
魔王「何だと? 勇者が正論をッ!!?」
勇者「だってロシアの人とかさぁ、昔、ロケットに犬詰めて飛ばしたらしいじゃん?」
魔王「なあ、その科学者はやはり犬派だったと思うか?」
勇者「・・・フェイクだな」
魔王「やはり……そうか」
勇者「ああ。猫が可愛いかったから犬を詰めて飛ばした・・・と見せかけて、実は家で飼っている熱帯魚を溺愛していたんだ・・・」
部下A「別に熱帯魚が好きでもいいじゃないですか?」
勇者「バッカ、ロシアだぞロシア!! クレムリン宮殿とかあるんだぜ!?」
魔王「俺は観光に行くならスヴァールバル諸島がいいな」
勇者「あそこってロシアだっけ? ノルウェーじゃなかった?」
魔王「えー、国境なんて無意味だよ。どうせいずれ皆俺様のものになるんだし」
部下A「魔王様、世界征服についてそろそろ具体的な企画書出して下さいよ。プロジェクトが進まなくて僕たち社員は困っているんですよ」
魔王「だからまず駅前のマックに行ってだな」
勇者「それが世界征服の第一歩?」
魔王「んにゃ。まずは腹ごしらえだな。ポテトのSサイズを……」
勇者「よりにもよってSかよ。スモールかよ」
魔王「275個注文しお持ち帰りにしてもらう」
勇者「迷惑な客だな!?」
魔王「お腹が膨れたら、もう眠いんで俺様は寝る」
勇者「仕事しろよ!」
魔王「お前にだけは言われたくないわー。お前さ、世界を救う気あるの?」
勇者「ないよ?」
部下A「即答!?」
勇者「俺はただ、好きになったあの人を守りたい……、その一心で戦ってきたんだ」
魔王「初耳だな」
部下A「ICレコーダーをセットしておきましょう」
勇者「……まあ、そういうのは建て前で」
部下A「建て前っ!?」
勇者「人生なんて晩ごはんが美味しければそれでいいんだよ」
部下A「晩ごはん、ですか?」
勇者「そうそう。メシが美味いウチは何だってできるね。それこそセカイを救うなんて朝飯前さ」
あとがき
ジョナサンさんについてはあまり追求しないでやってくださいませね?
別の名前に変更しないとマズいのかな…?
「歌詞」はアウトらしいが、食品などの「商品名」はおそらくセーフ・・・。
謎の男ジョナサンの名前は変更すべきなのだろーか・・・?




