48 勇者様はギャンブルがお好き
『勇者様はギャンブルがお好き』
勇者「シリアが化学兵器らしいね」
魔王「何なのだ、急に」
勇者「その発表があった2013年8/28日に、持ってたとあるカブが50%オフになった。」
魔王「50%オフとかすげーな。特売だって、そうないな」
勇者「だろ? いやぁ、ビビったねアレは。慌てて売却するも、時、すでに遅し。元本割れてた」
魔王「バブリーなカブなど保有するからだ。」
勇者「たのしーじゃん。1日ごとに伸びてくラインを見てるの。」
魔王「それはギャンブルと同じだ。いいか、カブとは、データと運、洞察力を用いて割安な銘柄を探し出しそれを保有するーーそういう、深遠な」
勇者「ケーバと何が違うんだよ。馬はいい。あれは良いものだ」
魔王「魔物を倒して得た金をギャンブルに使うなッ!? 倒された魔物も浮かばれんわ!」
勇者「嫌だね。稼いだ金を何に使おうと俺の自由だ。さぁて、カジノ行くぞー♪ 100万ゴールドくらい使っちゃうぞー!」
魔王「ぐあぁあああッ!! 止せ! 勿体ない! 無駄遣いは止めろ!!」
勇者「やっべえ、このスロットマシン壊れてるんじゃないの? さっきから、50万ゴールドくらい吸い取ってるよ。カードでスりまくりだ。全然、いいカードが出ねえやー」
魔王「カジノといえば、日本国内でもカジノを合法にしようという動きがあるらしいな」
勇者「マジで!? やったー。入り浸るぞぉ!」
魔王「だから魔物の命と引き換えに稼いだカネを賭け事に遣うなというに。」
勇者「魔王みたいな金持ちには、俺がギャンブルに掛けるドリームは理解できねーんだよ!!」
魔王「お、おお?」
勇者「いいか、魔王! ギャンブルとは、庶民が見る明日への夢、希望なんだ!!」
魔王「……ほう?」
勇者「宝くじ当たるといいな、パチンコで三万円くらいこないかな。そんなささやかな夢を見ることで、俺たちは明日もまた頑張って働こう、そういう気になるんだ」
魔王「……なるほど?」
勇者「そういうわけで一万ゴールド貸してくんね? 明日には倍にして返すからさー」
魔王「……。絶対に貸さん」
勇者「けちっ!? 魔王のけちんぼ!! この間、拾った魔剣くれてやったじゃん!」
魔王「どのみち、貴様には装備できない代物であったろうが」
勇者「愛と勇気で装備すんだよッ!! あー、くそ。魔王になんか親切にして損した。大損害だ。やっぱり俺の味方はお馬さんだけだ!」
魔王「だーらヤメロって」
勇者「愛と勇気だけが友達なんだよ! 俺のことはほうっておいてくれ!」
魔王「あー、あー、そーですか。まったく。これだから最近の勇者は……」
勇者「ケーバ、カジノ~、スロット~、ポーカー♪♪」
☆
『防具屋が武器を売るなんて許せません』
勇者「……な~、魔王。牛丼屋でカレー売るのってどうなの?」
魔王「う? 良いのではないか? カレーが食べたくなることだってあるだろう」
勇者「駄目だ」
魔王「ん?」
勇者「牛丼屋なら牛丼の味だけで勝負しろよ!? 鮭定食とか置くのもダメっ!! 納豆もチーズもオクラもダメ! 牛丼屋には牛丼しかない! これぞ美学!!」
魔王「えー、紅しょうが は?」
勇者「アレは許す。七味唐辛子もセーフ。マヨネーズはアウト。」
魔王「謝れッ! 全世界のマヨラーに、YouTubeを通じて謝罪しろ!!」
勇者「牛丼だけを、心ゆくまで味わう。これぞ牛丼屋の醍醐味だ。かつて、カレー屋が牛丼を置いたか? チキン屋が牛丼を置いたか。否。否だ。牛丼屋は牛丼だけを扱うべきだ。俺が総理大臣になった暁には、コレを法制化する」
魔王「壮大な決意だな」
勇者「だろ? あー、そんなこと言ってたら、カレー食いたくなってきたな。魔王、作ってよ。あ、甘口で頼む」
魔王「よかろう。召喚術の奥義を駆使して、異世界から『かれえ』を召喚してみせよう」
勇者「わーい、わーい。早く、はやくー」
魔王「ふんっ! はあっ! そいやぁ!!」
勇者「わくわく」
魔王「てい! うおりゃああああ!!!」
鰈(かれい:平たい魚)が、召喚されました。
びちびちびちびち
勇者「……。」
魔王「……。」
勇者「……お、」
魔王「……」
勇者「おっしゃあ! 煮付けちゃうぞー! 捕獲だーー!!」
魔王「……」
魔王「……」
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