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「ども、魔王です」「こんにちは、勇者です」  作者: 魔王@酒場
魔王様は玉座にて待つ。宅配便とかを。
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44 魔王はインドカレーの夢を見る

魔王(コンビニ店員)「二番目にお待ちのお客様、こちらのレジどうぞー」


勇者(客)「マジか!!」

魔王「うおっ!? 勇者!」


勇者「マジか! リアリィか! 俺はそちらのレジに行ってもいいのか!?」

魔王「……お、おう。いいよ。早く来いよ」


勇者「感っ激だ……! そちらのレジに行っても良いだなんて……! 長いこと勇者をやってるが、こんな感動は初めてだ!」じぃぃ~ん

 ゆうしゃは かみにかんしゃして いのりを ささげている!

魔王「お、おう。いいから早く来い」


勇者「ねえ! マジでマジで? 俺そっちのレジに行っても良いの?」

魔王「いいっつってんだろ。(しつけえ客だな)」

後ろの客たち(イライラ)


勇者「でもやーめた」

魔王「はぁっ!?」


勇者「こっちのレジの店員さんカワイイし~、何時間でも待つよ、俺」

魔王「お客様ッ!!」

勇者「ん……? 何?」


魔王「世界征服の暁には世界の半分をやるからこちらのレジにお越し下さいッ!!」

勇者「半分かぁ……」

魔王「七割を!」

勇者「もう一声!」

魔王「80パーセント・オフッ!!」

勇者「よっしゃ乗った!」

魔王「(ホッ)」


勇者「なんて言うとでも思ったかーー! 二番目の客なめんな! 俺はこちらのレジに並ぶ! お前が世界を征服しようとな!」

魔王「な……ッ!?」


大魔王(店長)「魔王君、抑えて! 攻撃魔法はダメだ!」

勇者「はーっはっはっは! どうだ、二番目の客に裏切られた気持ちは!? どの客も簡単にもうひとつのレジに並ぶと思うな!!」


魔王「いいから俺の胸に飛び込んで来いっ!?」

勇者「答えはNOだ!」

魔王「ぐぬぬぬぬ……!! やんのかコラ」


勇者「上等だー! 決闘だ!」しゃきーん

店長「お客様! 店内での抜剣はお控え下さいッ」ザクッ


勇者「あ」

魔王「あ……」


店長パタリ


 店長は 出血している!


勇者「あわわわわ、きゅ、救急車ーー!!」

魔王「バカお前、回復魔法使えよ!」


勇者「俺に回復魔法なんて繊細なマネができると思ってんのか! 蘇生魔法と転移魔法しか使えねーよ!! 薬草オンリーだよ! オマエこそ回復魔法使えよ!」

魔王「魔王が回復魔法とか使ったらチートすぎんだろ!? いいから早く救急車を呼ぼう」


勇者「よっしゃ! 異世界から召喚するんだな!? 救急隊員さん、カモーン!!」


 強制転移魔法が発動した!


救急隊員「ども、救急隊員です」

勇者「早くなんとかしてェエエエ!! 店長さん死んじゃう! 悪と絶望をこの世にふりまいてきた諸悪の根源が死んじゃうよ! お願いだから助けてあげてくれ!」


救急隊員「よっしゃ任せろ! ミゾオチに中パンチ連打! あたたたた!!!」

魔王「……本当にそんなので蘇生できるのか?」


救急隊員「連打連打連打連打ー!!」救急隊員「……あ、針と糸、あります? わたしの袖口、ほつれちゃって」


勇者「大魔王が死にそうなのに袖口のほつれなんて気にしてる場合かー!!」

救急隊員「そりゃ気にしますよ。わたし、救急隊員なんですよ? 救急隊員の袖口がほつれてたら、あなたどう思うんです? ーーああ、こいつは袖口のほつれも繕えないんだ。そう思うでしょう? あのね、そんなのはプロとして許せないんですよ」


勇者「わ、わかった、袖口のほつれは大事だ。な? だから店長を助けてあげてよ」

救急隊員「わかってくれましたか。もうねぇ、最近は救急車をタクシーか何かと勘違いしてる輩が多くて……」


店長「(どくどくどくどく)」

勇者「に"ゃああああ!! 店長ー!!」


   ◇ ◇ ◇


 勇者はその時を待っていた。チャンスは一度きりーー。最適のタイミングで。最大の効果を生むーー。それでなければ、魔王は倒せない。この行動には、世界の命運が、かかっているーー

 銀色の匙が、それをすくう。ゆっくりと、運ばれーー。

 ーー今だ。


「うんこ」


「ぶはっ!?」


 一撃は放たれた。もう、後には引けない。畳み掛けろ。ひるむな。


「うんこ~、うんこやーい、こいつウンコ食ってら! きったねえ~」


「……っっ!!」


 魔王はその一撃に瞑目する。ーーダメだ。ここでやめては、魔王の名折れ……! 銀色の匙をすこしずつ、ゆぁくりとーー


「うんこ~」


 勇者はふしぎなおどりを踊った!  魔王のMPをすいとった!


「……ぐっ! ぐぁああああ!!!!」


 魔王は第三形態に変身した! HPとMPが最大まで回復!


「……ぜぇー、はぁー、ぜえ」


 肩で大きく息をつきながら、それでも魔王は笑みを浮かべてみせた。


「……よくやった、勇者よ。だが、ここまでだ……!」


「なんだって!? 俺の攻撃が効かないっ!?」


 渾身のちからをこめて、魔王はカレーを口へと運んだ!


   ◆


魔王「……まずかった。うんこうんこと耳元で囁かれながら食べるカレーは最悪だった。せっかく1日かけて調理した本格インドカレーだったのに」

勇者「うん、ごめん、もうしない。でも今回は堪能した」


魔王「カレー=ウンコってね、小学生かオマエは。……いや、今日び小学生でもやらんわ」

勇者「マジか。俺は幼稚園児か」

Thanks for your Read !


カレーを食べてた方がいらっしゃいましたら、すみませんでした……。

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