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「ども、魔王です」「こんにちは、勇者です」  作者: 魔王@酒場
魔王様は玉座にて待つ。宅配便とかを。
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29 こたつで最終決戦を

勇者「……というわけで魔王。俺の誕生日パーティーをしたいから3日間魔王城を貸し切りにさせろ」

部下A「勇者さん、よく研ぎ澄まされた鋭い剣の切っ先を魔王様に突きつけて何してるんですか?」


勇者「おお、部下A、聞いてくれ。明日は俺の誕生日なんだ」

部下A「へえ」


魔王「……な? 魔族の誕生日に対する反応なんてこんなもんだって。


 それはさておき、魔王城は貸さん。

 お前、判ってんの? 仮にもここは軍事拠点なんだよ、軍事拠点。」


勇者の仲間の盗賊「ロンドン・アイばりの巨大な観覧車が回ってるワンダーランドにそんなこと言われても説得力ないよ。俺が勇者を呼びにここに来るまで会った魔物に何て言われたと思う? 《魔王城にようこそ!》《よい1日を!》《風船、お子様にどうですか?》だぞ。しかもファンシーなウサギの着ぐるみきてた」


勇者「……マジかよ。俺も風船欲しい」

盗賊「食いつくべきはそこじゃない、勇者」


側近「そうです! あれは360度どこから見ても一見、まるであたかも観覧車であるかのように感じられるでしょうね……、フフフ。

 違うのですよ。あれはまさしく魔王軍の最終兵器……! 世界の終末がくると……、変形します」


勇者「おお! 何になんの?」

側近「え? そっ、それはですね…、ええと」


部下B「バッカじゃねえの、勇者。あれはなー、遠くまでよく見渡せる見張り塔なんだよ」

勇者「へー! そうだったのか! じゃああの、一見あたかもジェットコースターに見えるやつは?」


部下B「新入りはまずあれに乗せるな。度胸を試し、平行感覚、つまり三半規管を鍛える高度な装置なんだ」

勇者「そうだったのか! ……じゃああのアイスクリームスタンド(屋台)は?」


部下B「腹を鍛える。あれで新兵には吐くまでアイスを食わす」

勇者「おおお…、恐ろしい、魔王軍。まさか日頃からそんな厳しい訓練していたなんて…!」


部下B「だろ? といわけで側近様、オレ、一見あたかもまるでジェットコースターでともだ……、仲間と決死の訓練してきます! …本当だよ?」


側近「……胃痛がします。つわりかもしれません」


勇者「まじで? 側近、何か産むの? メタルゴーレムとか、山羊の頭とライオンの頭のついたキュマイラとか?」


   ☆


魔王「……とにかく魔王城は貸さないぞ」

勇者「しょうがねえなあ。近所の小学校のプールでいいか」


魔王「なぜにプール…」

勇者「真夜中のプールって憧れじゃね? バタフライで千メートルくらい泳いでくるわ」


部下A「誕生パーティーはいいんですか?」

勇者「やっべ、忘れかけてた。魔王軍総出で祝ってもらうつもりだったのになー」


魔王「……なぜ我らが勇者の誕生日など祝わねばならんのだ」

勇者「いいじゃん、祝えよ。細けえこたあいいんだよ」


部下A「細かくない問題ですよ…」

勇者「だって家でパーティーなんて普通でやだー! 一生に一度の誕生パーティーなんだぞ? 派手にやりたいじゃん」


魔王「落ち着け、勇者よ。誕生日というのは毎年一回来るものだろう?」

勇者「……え」

魔王「あれ?」


勇者「……来年は俺、魔王に本気でトドメ刺すからさ、魔王に俺の誕生を祝ってもらえるのは今年限定。」

部下A「……今の、さらりとした殺害予告ですよね」

魔王「うん。こええな、勇者というのは」


勇者「王様が急かすんだよね。お前の母親の身の安全を保証してほしければ魔王の首を持ってこい、とか」

部下A「人間界というのも殺伐とした世界ですねえ」


   ☆


 こたつ にて。


勇者「アイスうまー。このほろにが抹茶とストロベリーの甘酸っぱさのハーモニーがこたえられん」

魔王「ばーか、アイスつったらバニラ一択なわけよ、分かる、お前」


勇者「そうかなあ。36種類のフレーバーを味わわない魔王は何か色々と人生の大事なものを捨ててるよ」

盗賊「もぐもぐ」


勇者「盗賊は何食ってんの? ……、うわー、いいな、カキ氷だ」

盗賊「……フッ、甘いぜ勇者。これは実はカキ氷じゃない……」


魔王「外の雪にシロップかけてた」

盗賊「……うん、まあね、そんな感じだね」


僧侶「カキ氷カレー美味しいなう」

勇者「レアモンスター出た」


魔王「水っぽいカキ氷、もとい、雪にカレーを載せてお召し上がり下さい」

側近「わたくしは……」


魔王「予想がつく」

勇者「うん、つくな」

側近「なぜわかったのですか!! 山盛りにしたもやしにラーメンをかけて食べているとッ!!?」


魔王「もはや新種の料理だな」

勇者「もやしラーメンならぬラーメン載せもやし。ダイエット中のあなたにもオススメ」


   ☆


勇者「はー、さみー」

魔王「冬だしなぁ。そればっかりは魔王でも、どうにも」


勇者「うそつけ。その膨大な魔力を全部使って夏にするくらい、訳ないだろ?」


魔王「ないけど~」

勇者「なんだよ。もったいぶるなよ。夏にしろ。手品のように」


魔王「あのなぁ、お前にはこの寒さを味わい、季節の移ろいを愛でようって気はないわけ?」

勇者「やだよ。寒いのキライ」


魔王「……ま、いいけどね。というわけで夏には夏の良さが、冬には冬なりの過ごし方がある。……そうだな、温泉なんていいな」

勇者「やだよ。熱いよ。猫肌なんだよ俺は」


魔王「……まあね、こたつから出るのめんどいしね」

勇者「そうだね、眠いんだコレがまた」

魔王「ぐーzzz」


勇者「まおうねるなー! ねたらしぬぞー!!!」グサッ


魔王「……聖剣が俺の頭をかすめた」


勇者「ねたらしぬぞ」


魔王「……。仕方ねぇなあ。モノポリーでもやるか」

勇者「おー、こたつの定番。ボードゲームっていいよね」


魔王「誰かいるー? モノポリーやるぞー。勝った奴には世界の半分をやるぞー」

勇者「……お前、なんでも世界の半分って言やいいと思ってね?」


部下A「魔王様、いつもそれ言ってゲームに負けるんで、今や魔王様の言う《世界の半分》って3万分の1くらいになってますよ」

勇者「律儀にメモしてんのか……」


部下A「魔族は基本的に約束守りませんけどね」

魔王「うん」

Thanks for your Read.


カキ氷にカレーはかけちゃダメだ。

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