2 勇者と魔王とブルーハワイ
魔王城地下一階、酒場。
勇者「今日という今日こそは引導渡してくれる! いざ尋常に、勝負っ!」
魔王「け、剣はよせ剣は! 危ないだろうが!」あとずさる
勇者「危ないからこうして抜くのだ。我が聖剣ホーリィグランスの餌食になるがいい!」
魔王「なんだよ勇者、今日ヘンだぞ?」
勇者「通りすがりの謎の老師様から教わった必殺剣! とぉりゃああああ!!!」
どしゃあ! ざくっ ぐしゃ
勇者「・・・ぜぇ、はあ、退治できたぞ。ちょっと水くれ、マスター」
部下A「飲食店で黒くてすばやい昆虫を見かけたら、誰だってああなりませんか?」
魔王「そういうものかね・・・」
魔王の部下トロル(バーの店主)「うがー」グラスを渡す
勇者「ごくごくごく・・・っぷは」
勇者「おー、仕事の後の一杯はうめえな」
魔王「未成年、未成年・・・だよな??」
勇者「どっちにしろセーフ。ノンアルコールだから」
◇
勇者「ぐーでんたーく、勇者Lv.30です」
魔王「ども、魔王です」
勇者「まー、あれだよね、最近は。暑いよね」
魔王「夏にしては涼しいほうだけどな。それに魔王城は冷暖房完備だから」
勇者「なんだってー!?」
魔王「ん? どうした、勇者よ」
勇者「俺の実家にはエアコンなどない!」E:ビキニ鎧
魔王「胸を張るな、目のやり場に困る」
勇者「魔王など困ればいい! さあ困れ! 困るんだ!」ずずいっ
魔王「意味分かんねぇよ」
◇
勇者「というわけで今日の装備はこれです。赤いビキニ鎧」
魔王「改めて見ると何てもの装備しているんだ。上着を着ろ、上着を」
勇者「上着? これが正式な装備だ。何も問題はない」
魔王「あるだろ!? それで国王の前とか出るのかオマエは。阿呆だな」
勇者「・・・分かってるさ」
魔王「うん?」
勇者「そんなこと分かってるんだよぉぉおおお!!!」
魔王「な、泣くな。取り扱いに困る。飴とか欲しいか?」
勇者「魔王など困ればいい!(以下略)!」
勇者「というわけでいつもの『でんせつのよろい』に戻しました。あるくとHPが回復するスグレモノです」
魔王「・・・ちっ」
勇者「あれ? 魔王、今何か言った?」
魔王「気のせいだ。でも、あれな。最近は普通だよなー、主人公の性別、男女選べるとか」
勇者「普通だよな。俺さあ、ちょっとびっくりしたんだけど」
魔王「うんうん」
勇者「『女』を選んでスタートしてね、『今日まであなたを立派な男の子として育ててきたつもりです』とか母親に言われるわけよ」
魔王「ふむふむ」
勇者「泣いた」
魔王「えっ・・・、何で。泣くとこ?」
勇者「泣ける」
魔王「そうかなぁ、涙腺おかしくね?」
勇者「泣け」
魔王「強制入った」
◇
勇者「というわけで海です」
魔王「魔王に爽やかすぎる夏の海とか似合わなくね? あまりの不似合い方に死ねるわ」
勇者「死ぬなー! 今日まで一緒に闘ってきた仲間だろ?! 一緒に魔王を倒そうって、世界が平和になったら赤い三角屋根のお家で白い大きな犬を飼って一緒に仲良く暮らそうって言ったじゃないかーー!! 子供は3人! 男の子が1人と可愛い女の子が2人でーー!」
魔王「気色悪いのでやめて。」
勇者「すいません調子のってました」
魔王「うむ」
勇者「あれだよね、魔王の部下って美女ぞろいじゃね?」
魔王「まあ、売り上げにも影響するからな。それにどうせ闘うなら、むっさいオッサンよりむちむちの美女のほうがよくね?」
勇者「うわ、言い切りやがった・・・」
部下A「ですよねー、やっぱ」
魔王「うわ、いたのか部下A」
部下A「さっきから魔王さまの背後でビーチパラソル掲げてるじゃないですか、紫外線浴びるとお肌によくないんですよね?」
魔王「そんな深窓の美少女みたいな言い方すんな。ちょっと溶けて灰になるだけだよ」
勇者「大問題じゃねーか! よく来る気になったな」
魔王「先代は一万年くらい生きてたけどさー、あれって、紫外線の浴びすぎで皮膚がんになったせいらしいんだわ」
勇者「怖いな、紫外線」
魔王「ああ、真夏の外出にUVカットは必須だな」
勇者「昼間寝てればいいじゃん、カーテン締め切って」
魔王「それもアリかな」
部下A「僕みたいなのだと、外出せざるを得ませんけどね。魔王様にコンビ二でアイスクリーム買ってきてとか言われるし」
魔王「ああ、苦労をかけるな」
部下A「いえいえ、僕は好きですけどね、紫外線」
魔王「・・・変わったヤツだな」
部下A「変わってますかね?」
ざざーん ざざーん ざざーーんっ
魔王「平和だなー」
勇者「平和すぎるよな。ちょっと世界征服とかしたくなるよな」
魔王「何でよ?! いいじゃん、平和。何事もないのが一番だって。だるーくゆるーく続く幾千幾万の日々。ある日それを喪って人は気が付くーーああ、あれが幸福だったんだ」
勇者「意味わかんねぇよ、暑さで壊れたか」
魔王「ごめん、熱暴走気味」
勇者「やっぱりなー。難しく考えすぎると良くないよ。こう、人生ってのは、ぱぁっとさ、短く、-ー短いのがいいね」
魔王「えー、俺はやだな。てのひらの生命線短いねとか言われると凹まね?」
勇者「そう? 俺は気にならないが。」
魔王「マジかよ。神経ふっといな」
勇者「そのくらいじゃないと勇者なんてやってられんって」
魔王「それもそうか」
ざざーん
勇者「あ、船」
魔王「よし、ちょっと沈めてくるか、いくぞ部下A」
部下A「はいはいっ♪ お供しますっ」
勇者「えぇ?! ちょっ・・・俺の目の黒いウチはそんなことさせねぇえええ!」しゃきぃん
部下A「ま、魔王さま、後ろから勇者のヤツが迫ってきますぅうう」
魔王「泳ぐの早いな、アイツ」浮遊移動中
勇者「必殺、スプラッシュ・アターック!!」
どしゃあ!
魔王「・・・・・・・。」
勇者「何か言い残したいことはあるか?」
魔王「夏休みの宿題まだ終わってないんだ。代わりにやっといて」
勇者「いやだ。己の力のみで挑むんだ」
部下A「毎年僕に押し付けるんですよ、魔王さまったら」
勇者「それはよくない」
魔王「俺様の実力だって」
勇者「テストの時とかどうするんだ」
魔王「カンニングで乗り切るんだ!」
勇者「さすが魔王だな」
部下「さすがです、魔王さま!」
魔王「褒められてる気がしないのはなぜだろう」
もう何がなんだか分からなくなってきました・・・。
とりあえず二話分できたので連載形式で投稿しなおしただけでして、続編は未定です。
多分続けば続くほどパワーダウンしていくと思います。
ともかくも、読んでくださってサンキューです。