表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ども、魔王です」「こんにちは、勇者です」  作者: 魔王@酒場
魔王様は玉座にて待つ。宅配便とかを。
141/162

不要不急だけど魔王を倒しにきた

魔王「勇者よ」カッ!!

勇者「コワッ?! 稲光いなびかりに浮かび上がる魔王とかマジこわっ!!」

魔王「…うん。あのね~、ごめんね。でも俺様、心配なのよ。

勇者が人間どもを救いたいあまりに不要不急の外出をしちゃってるんじゃないかなー、とかさー」


勇者「ならお前も、町や村を滅ぼすための不要不急の出撃をヤメロ」

魔王「人間どもを滅ぼすのは不要不急じゃねぇし! むしろ俺様の存在意義だし!

やだね! やめない! 我は感染症になど屈さぬ!」


勇者「STAY HOME!! おうちにいなきゃダメ!! おとなしく映画でも見てろ!」

魔王「いやだいやだ! 俺様は人間を滅ぼすんだ! 人間をいたぶらなければ生きていけない!!」


勇者「それはーー依存症だな」キリッ

魔王「いぞんしょう?」


勇者「お前は、人間を滅ぼすことに依存しすぎだ。もっと健全な趣味を持つべき! 家庭菜園とか!」

魔王「え~? 俺様、虫とかダメだし。毛のあるのとかね。脚が多いのとかね。

見ると逃げ出したくなっちゃうぅ~」


勇者「チョロいな魔王。節足動物見て逃げ出すのかよ。人類勝ったな」

魔王「図鑑とかでもうヤだね! あれはね。もう。DNAに印刷されてるレヴェル」


***


魔王「というわけで、勇者に勧められて、依存症の治療のオンライン・カウンセリングを受けることにしました」

勇者「おっ。王様が画面の向こうに現れたぞ」


王様「え~…、魔王さん。あなたは、一日でも人間を攻撃しないと禁断症状が出て手が震える。間違いありませんかの?」プルプル

魔王「うむ。人間どもを滅ぼすことこそ我が使命」


王様「深刻な状態のようですな。まずはホットケーキを焼きましょう」

魔王「うむ。地獄の番犬ことケルベロスの獄炎でもって、こんがりと仕上げたぞ」

王様「気分はどうですか? まだ人間を滅ぼしたい気持ちですか?」

魔王「…そう、だな。人間どもを駆逐し、あの大地を手に入れぬ限り、我ら魔族に安息はない」


王様「では次に、うどんを打ってみましょう。これはね~、ビニール袋に入れて皆さんで踏みましょう」

魔王「う、うむ。むにょむにょして、意外と楽しいな…はっ!!」

王様「魔王さん」

魔王「はっ、はい」

王様「人間を滅ぼす以外にも、世の中に楽しいことはたくさんあるんです。目を閉ざさないで」

魔王「めをとざさない…」


王様「どうですか? うどん」

魔王「うむ。いい調子だ。あとは切り刻めば良いのだな! 我が究極奥義をもって、粉砕してくれるわ!

フハハハハハ…!! ハーッハッハッハ!!!」


勇者「切り刻みすぎて すいとんになったな」

魔王「ククク、食べてしまえば同じこと…!!」


王様「どうですか? もっとうどんを打ってみたくなりましたか?」

魔王「うむ。週イチくらいでうどん屋を開業しても良いやもしれぬ。副業として検討してみよう」

勇者「すいとん…な? ちぎれた すいとん屋…な?」


魔王「…ふむ。こうしてみると、少しくらいは、外出を控えてみてもよいやもしれぬ…」

勇者「おっ。ついに隠居する気になったか!」


魔王「しばらくは、ビットコインの採掘マイニングと、サイバー攻撃に精を出そうと思う」

勇者「…あぅん」


***


■魔王様、FIREする


勇者「最近、資産をコツコツと築いてFIRE(Financial Indipendence,Retire Early)ーーアーリーリタイアするのが流行っているらしい」

魔王「ほう。人間どももとうとう、働かないことの素晴らしさに気付いたとみえるな」

勇者「やり方はカンタンだ。まずは一億ゴールド用意する。」


魔王「うむ。用意したぞ」

勇者「そして、遊んで暮らす」

魔王「ーーなんだと? それだけか!」


勇者「バッカやろう! たったそれだけのことができない人間が、この地上にどれだけいると思っている?!」

魔王「…え。あ、そうなの? それは知らなかった…」


勇者「いいか、魔王。労働者の賃金は、労働力の再生産に必要なギリギリの量に落ち着くという法則がある」

魔王「いみわからん」


勇者「要は~、帰ってクソして寝るじゃん。そんで朝起きて満員電車に乗るじゃん?」

魔王「ふむ」

勇者「そうして生きていけるだけのギリギリの金額に落ち着くってこと」


魔王「これが資本主義か…」ゴクリ

勇者「うむ。それから抜け出すために貯金をし、投資をする」


魔王「投資ってあれな? ビットコインな?」

勇者「いきなりそこからか」


魔王「で、日経ダブルインバースをジュニアNISAで買ってぇ、

あとはバイオ株だな。新薬の成功に期待!

原油先物ETFもいいね!」

勇者「なんでそんな際どいとこ攻めてくんだよwww」


魔王「というわけで、FIREすべく、コロナショックで余った原油を、魔王城に備蓄した!」

勇者「このご時世に、原油を先物で買って現物を引き受けるのはお前くらいだろうよ…」

魔王「どろどろするな~。人間どもはこんなものを飲むのか。これはーーあれな?

オンラインで飲み会するんだな?」

勇者「原油を?」

魔王「無論。かえんまじんと ようがんまじんが、「ファイヤー!!」って言いながら夜通し飲み明かしたらしい」

勇者「そ、そうなんだ…」


>>>

Thanks For Reading !

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ