魔王様、みがく。
● 魔王様、みがく。
魔王「きゅっきゅっきゅ~♪ の、あ・それ、きゅっきゅっきゅ~♪♪」
勇者「魔王さーん。いないの、魔王さーん。ったく留守かよ…。戸締りはちゃんとしとけっての…」ヨッコラセ
魔王「きゅっきゅっきゅ~! よし、いいぞノッてきたぁあああ!!! もうちょっとで世界を滅ぼせそうだ…!!
くくくくく…。ふはははは! はーはっはっは!!!」マントばさぁ!
勇者「うわお!? なんだよ、いるんじゃねーか。ったく。ビックリさせんなっつの…」ブツブツ…
魔王「げ、勇者ではないか!」隠し隠し
勇者「ん?」ジィーッ
魔王「ぎゅむぎゅむ」
勇者「んー? んんんんん? 何を隠したのかな、魔王さん。今、なにかキラッと光ったよな。
昼なお暗い魔王城のなか、なんか光ったよな?」
魔王「ぴー、ぷぷぷぷ~」口笛
勇者「ぐわぁっっ!!」迫る
魔王「ヒィ! やめてくださいお代官様! それは病気のおっ父に食わす最後のコメでございます…!」
勇者「いいや、ならん! この土地はお殿様もの! 従ってその土地で育てられたコメもまたお殿様のものである…!
大人しく差し出せい!」ブンッ
魔王「ぎゃー! やめてくださいー! ご無体な!!」アァ~レェー
***
勇者「…で。これは何してんの?」
魔王「ン? これか?」キュッキュッキュ
魔王「」キラーン
勇者「あっ、よく見たら10ゴールドコインだ! 小銭でよく使う…」
魔王「そうそう。あのね、これにタバスコを数滴かけて…、少し置いて…」
魔王 キュッキュッキュ
勇者「おお! すごいな! ピカピカになったぞ!!」きらきら
魔王「であろう?」フフ~ン♪
魔王「どうだ、我もやればできる子なのだ。引き籠もり、無能な王などと言い続けてきた者たちを、これで見返してくれる…!」
勇者「見返すかなぁ」
勇者「で、これは何の意味があるの?」
魔王「ん?」キョトン
勇者「んん?」ぱちくり
魔王「え…、ほら、あの。お釣りで出すとき、キレイかなーって…、思って…」モジモジ
勇者「ほほう?」
魔王「もーっ! だからな! こう!」
勇者「980エンのお買い上げでございまーす!」
魔王「うむうむ。そのような状況において、このピカピカに磨き上げられた10ゴールドコインをさっと出す…!!」ササッ
きらーん!
勇者「輝いているな…」
魔王「うむ。輝いているのだ」にこにこ
勇者「なるほど。魔王にしては生産的な趣味なようだ」
魔王「ふふん♪ 我をあがめ奉ることを貴様に特別に許そう!」ふんぞり
勇者「でもさ、ネットには硬貨を磨くのは犯罪だって書いてあるぜ…?」※ 所説あります
魔王「馬鹿者!」バシーン!
勇者「ぎゃっ…! ぶ、ぶったな?!」
魔王「魔王が! 悪い事をせずして世界がよくなるはずもない! 我は、積極的に悪事を働くべき存在なのだ!」
勇者「そうなのか…」
魔王「そうなのだ」
魔王「ゆえに我は早起きをし、城中をピカピカに磨き上げ! 町や村々を跡形もなく消し飛ばし! 人間どもの暮らしを脅かし恐怖と絶望を振りまくのだ!」
勇者「で、夜八時には寝るの?」
魔王「夜更かしはお肌の大敵だからな」コクリ
勇者「そっかー」ウンウン
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