勇者と魔王と、アプリ
ひさびさの更新です。いつもお読みいただき ありがとうございます!
五周年ー!!って言っていいのかしら…笑
途中で停止しておりますしw
ともあれ、そんな時期も読んでいただけていたみたいで、
ほんとなんといいますか、うれしくて。
2017.8 現在は毎月10日前後にゆるっと更新させていただいております!
勇者「賢者さま、教えてくれ! 俺はどうしても魔王を倒したい…! どうすればあの無敵の魔王に勝つことができる?! そのためなら、俺は…、俺は!!!」
けんじや「ほぉう。何をしてくれるのですかな」
勇者「掃除洗濯・家事育児・炊事昼寝・風呂焚き・薪割りをすることを厭わない!!!」
けんじや「その程度の覚悟なのですが?」フッ
勇者「なに…?」
けんじや「魔王を倒したいというあなたの覚悟は、--その程度なのですかと訊いています」眼光鋭く
勇者「くっ…」ひるむ
けんじや「それならば…」背を向ける
勇者「わ、わかった! わかったよ! 部屋も片づける! 酒もタバコもやめる! これでいいだろ?!」
けんじや「まだです。もっと貴方の覚悟をーーわたしに見せてください」
勇者「うぉおおおお!!!」ポーイ
なんと ゆうしゃ は、 あいぱっど を、谷底に投げ捨てた!!!
勇者「ネットもやめる!!」
けんじや「なん…ですって?」
勇者「魔王を倒すためなら! 俺は! インターネットなんかもう使わなくていいッ!! 火をおこすのにも火打石を使う! 外出はす
べて徒歩! クルマなんかもういらない!! 慈善団体に寄付もする! 世界人類のために何ができるかって、いつも考えるようにする!!」
けんじや「……」呆気
けんじや「…いいでしょう。そこまでの覚悟があるならば…」
勇者「(;゜д゜)ゴクリ…」
けんじや「あなたにお教えしましょう。魔王をいかにして倒すのか…」
勇者「お、おう…」グッ
ヒュォオオオ
溪谷に吹く風は冷たく、しかし勇者の心には熱い決意がたぎっていた。
***
勇者「ヨッ、来たよ」
魔王「おう、ひさしぶり」ごろーん。こたつで寝そべって漫画雑誌を読んでいる
魔王「どうしてたの? 俺さー、暇で暇で。毎日マンガ読むか、ゲームするかしかすることなくてさー。こんなに太っちゃった」ばいーん
勇者「魔王。」
勇者の決意に満ちた瞳が、魔王を捉える。
魔王「ん? 何? あ。アイス食う? 冷蔵庫にハーゲンダッツあるよ」
勇者「今日こそお前を倒す!!」ぎらりん
魔王「えぇー、またそれぇ? いいよもうそれ。今日びそんなん流行んねぇって。いいよ。家でのんびりしようぜ。最終決戦とかすんの俺もういいわ。
そりゃ、あれよ。若い頃はさ、俺もね、ほら、やっぱ、世界滅ぼさなきゃとか、征服しなきゃとか使命感ってゆうの?
あったわけ。でもね~、この歳になるとね。やっぱ現実見ちゃうね。世界滅ぼして何が変わんの? ドリームとか見ちゃって何か意味あ
るのかなって。毎日生きてるだけで精一杯になっちゃうね」
勇者「(聞いてない)。まずこのサイトにアクセス!」ぎゅぃいいいいん!!
勇者「次にこのアプリをインストォオオオオル!!!」きらりんきらりん
勇者「トドメだ魔王! この謎の『無料ダウンロード』ボタンをプッシュ!!! クリックするだけで世界を救える!!!」
魔王「なんだと! そんなアプリがあるのか! いいな! 俺にも使わせろ!」
勇者「いいぞ! いいか、まずはこのサイトにアクセスするんだ!!」
魔王「おお! いかにもな作り! 本気を感じるレイアウトデザインだ!!」
勇者「次に! ストアから該当のアプリをケータイに入れる!」
魔王「おお! なんと無料なのか!! 有り難い!!」
勇者「そして!! この無限に表示され続ける数多の広告をよけ!」
魔王「ーーひゅう。あっぶねえ。指が当たりそうになったぜ…! 『×』で閉じるんだな?」
勇者「…ああ。意外とそういうとこ親切だよな…」ゴクリ
勇者「そして…」
魔王「どきどき」
勇者「…あれ? なんかケータイが重くなったぞ」
魔王「えー、やっぺえ。変なサイト見てたんじゃね? えっちーなやつ」
勇者「いや、そんなことはない! ないーーはずだ」滝汗
魔王「で、なに? 幾多の広告を乗り越えて手に入れたそのアプリで俺サマをどうしようというのだ?」
勇者「あ。強制シャットダウンしちまった…。ったく。やっぱ古い機種はダメだな。ちょっとケータイショップ行ってくるわ」
魔王「おう。いってら~」バイバイ
勇者「ちっきしょー。おっかしいなー。今日こそ魔王を倒すハズだったんだけど…。んー…」てくてく
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Thanks for your Read !




