そこにベビーカーがあったから
① そこにベビーカーがあったから
「なに、魔王。幼女誘拐して捕まったって?」
「うむ」
「どうしたの。お前、熟女のほうが好きじゃなかったっけ?」
「うむ」
「無口だね、今日」
「うむ…」
「実はな」
「おう」
「ネットでショッピングをしていたのだ…」
「うんうん」
「で、ふと見ていたら、ベビーカーが欲しくなってしまってな…」
「お前ベビーいねぇじゃん。何でベビーカーが欲しくなんだよっ!?」
「あるだろそーゆうこと! 髪のねぇおっさんだって育毛剤買いたくなる日あんだろ!?」
「あるのか…」
「あるのだ…」
「んで?」
「うむ。俺はクリックし、メールを受け取り、そしてある日、俺の家に大きな荷物が届いた…人間用のベビーカーだ」
「人間用じゃないのあんの?」
「うむ。」
「俺は中身が欲しくなった」
「ふむ」
「さらってきた」
「いやいやいや!? なんでいきなり結論に飛んでんの! もっとこう…、ホラ、心との葛藤とか、良心の呵責とか、あんじゃん色々ォ!!」
「皆無」
「無いの!? なんてやつだ! 血もナミダもねぇな!! さすが魔王だ…」ごくり。
***
② 決戦なうッ!!
勇者「魔王。俺と戦いながらスマホいじるのやめてくんない? なんかさー、やる気ないと思っちゃうからさ。ほら、あれじゃん。なんつーの。その気なくてもさ、そう見えちゃったりするから! あのね、うん。わかってるよ。お前が、いかにして俺を倒して世界征服の障害を取り除きたいと思っているかーー。
わかる。わかるよ。悲願だよな。前おまえらのドリームなんだよな!?
わかる。それはすっごくわかるんだ」
ぴろりん♪
魔王「次、俺様のターン。全力で攻撃する所存…、送信」ぴろりん♪
勇者「あ、あの、だからさ、魔王…」両指つんつん。
魔王「くらえ! 地獄の風! 英語でいうとヘルウインド!! 強い! これすっごく強い! 俺、こ
れ、すっっごく練習した! この日のために!」
勇者「ぐぎゃあああ!!」
盗賊「勇者の悲鳴じゃねえよソレ」
僧侶「どちらかというと、序盤でやられるかませ犬的な悪役の悲鳴ですよね」うんうん
ゆうしゃに、250のダメージ!
魔王「ゆうしゃに、にひゃくごじゅーのだめーじをあたえた…、送信」ぴろりん
勇者「魔王め」
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