110 魔王様は反抗期
①魔王様は反抗期
側近「魔王様。お食事の用意が整いました」
魔王「(ドアの向こうから)うっせえ、もやし! 俺様は今、世界征服するので忙しいのだ! 声をかけるな馬鹿者!」
側近「失礼いたしました。お食事はこちらに置いておきます」ぺこり カタッ
魔王「ふん…」
側近「はぁ…」
側近「あんなに可愛らしかった魔王様は、すっかり変わってしまわれた…」
(回想)ほわわわわん。@花畑
小さい魔王「そっきーん!」たったった
側近「どうなさいました、魔王様。あんまり走ると転びますよ」
小魔王「へっちゃら(死語)だよ! それよりねー、きいて、そっきん!」
側近「ふふ。何でしょう、魔王様」
小魔王「僕ねー、おおきくなったらもやしになる!」
側近「…ほう。もやしに?」
小魔王「うん! もやしになって、側近と結婚するんだ!」きらきら
(回想おわり。)
側近「あの頃の魔王様は可愛らしかった…。それが今や、真の姿ときたら、大地を揺るがす巨体…」
魔王「ずずーん」
側近「今でも、もやしだなどとわたくしを褒めては下さるが、それもきっとお言葉だけのこと。」
側近「ゾンビをシューティングするゲームを『世界征服』などと呼び、一日中、玉座に座ってゲームのコントローラーを握ってらっしゃる…」
魔王「汚物は消毒でござる! フハハハハ!!」バキューン! バキューン!
側近「フゥ…。時の流れとは、残酷なものですね…。誰しも、いつまでも幸せな時間の中には、いられない。」
魔王「フハハハハ!!」
(とくにオチはありません!)
②ゾンビさんみっちり事件
勇者「まおうー。俺さ、ハンバーグが食いたいな」
魔王「冷蔵庫に挽き肉あるよ」
勇者「おっ、マジ?」とてとて
勇者「かぱっ」
ゾンビ「こんにちは。ゾンビです」ヨッ
勇者「まおうー。冷蔵庫にゾンビさんがみっちり詰まってる」
魔王「あー、それ置く場所なくてさ。大魔王様にも困るんだよなー。自分の趣味で、ゾンビ作るだけ作って、作ったらもうイラネってなるの」
勇者「…お、おう。」ヒンヤリ
側近「勇者の仲間どもをゾンビにして操ってやったら、さぞかし心理的なダメージを与えられるでしょうね」フフ
勇者「いや? そこはホラ、一緒に魔王討伐の旅してるっつっても、俺ら意外とドライな関係よ?」
勇者「パーティに入るときに、ゾンビになって操られたら倒されても一切文句は言いませんって、一筆もらってるしさ」
側近「ドライ過ぎますよ…。もう少し、仲間には人間らしい親しみを感じましょうよ」
魔王「そうだぞ、勇者よ」
勇者「えー? だってよぉ」
勇者「身近な人間にほど憎しみが湧くもんじゃない?」
魔王「そ、そういうものなのか? 人間とは不可解な生き物だな…」
勇者「そうでもないよ。ナワバリを大事にする生き物は多いだろ。」
側近「縄張り…ですか?」
勇者「自分の家に侵入されるの嫌だろ。そういう感覚」
側近「…フム。」
側近「そうだ! 魔王様、人間どもの家屋を徹底的に破壊する作戦はどうでしょう?」
魔王「おお、いいんじゃね? いいね、それいけるよ側近!」
側近「ははっ! では早速、手配いたします!」
勇者「…おぉーい。俺の目の前でそういう相談すんなよな」ハァ
側近「いたのですか勇者よ。早く帰るのです」シッシッ
勇者「…冷暖房完備は魅力」
魔王「うんうん」
勇者「俺もう、一生魔王城で暮らすわ」
魔王「いいよー。フトンと枕持って引っ越してきなよ! 勇者なら歓迎する!」
勇者「マジで!? よっしゃ、俺もう旅やめるわ! 明日からは、ブルーシートもダンボールも傘もいらない! 屋根と壁のある暮らし! 理想郷はここにあった!」
側近「ええいっ、帰りなさいというにッ!?」
勇者「わーい、わーい。今日から魔王城で暮らすぞー♪」
その後、勇者の姿を見た者はいない…。
側近「…魔王様。冷蔵庫のこのゾンビは、もう捨ててしまってもよろしいですか?」
魔王「うん。ゾンビはねー、足早い(=腐りやすい)からねー」
勇者似のゾンビ「」
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