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「ども、魔王です」「こんにちは、勇者です」  作者: 魔王@酒場
魔王様は玉座にて待つ。宅配便とかを。
101/162

101 クラムチャウダーちゃうんちゃう?

勇者「魔王! ーーこの星空を見て、どう思う?」

魔王「おお! 絶景だな! そうだなぁ、一刻も早く、跡形も残らず消し飛ばさねばと、焦りがつのるね!」


勇者「…え。そういうもん…? 俺が守らなきゃ、とか思わない?」

魔王「その発想は、なかった」


勇者「ないのか…」

魔王「ないな」

勇者「ないんだ」


魔王「…だからな、そういうのは、勇者が考えてくれればいいよ! 俺には無理!」


勇者「丸投げェ。お前もうちょっと前向きになる努力しようよ! なんでそんなに何もかも壊したがるの! メッ!!」

魔王「勇者はさ、善人だね。善人すぎるよ」


勇者「……そんなじゃねえ。俺はね、俺のやりたいことをしてるだけ。手の届きそうな夢があるなら、手を伸ばしたいーーそれだけなんだ」


魔王「…ほう?」

勇者「ま、魔王こそどうなんだよ! 星空にさ、手を伸ばして…」


魔王「にゅい~ん」

勇者「……伸びるんだ?」

魔王「うむ。新機能だ」

勇者「アンドロメダ星雲辺りまで行ける?」


魔王「あー、アンドロメダはね、ちょっと遠いね。せいぜい、カシオペア座くらいじゃない? 近づいたら、メッチャ熱くて驚いた」


勇者「近づいたのか…」

魔王「うむ」

勇者「星には、手を伸ばしてはいけなかったのか…」


魔王「いやぁ、そうでもないけどさ。やっぱね、手の届く辺りで満足しとくのは、アリだね。足るを知る、ってーの? ほら、シジミの味噌汁作りたいな~って思って」


勇者「ああ! アサリしか売ってなくて!」


勇者「じゃあシジミ採りにいこう!みたいな」魔王「アサリ汁でいいや、みたいな」


勇者・魔王「「……あれっ?」」


勇者「いやいやいや、なんで諦めるんだよお前! 地球上にどれだけのシジミが棲息してると思ってんの! 海なんて100kmもクルマ飛ばせば、スグだろ! なんで取らないの! そこにあるんだよ、シジミはっ!」


魔王「……え~、夕飯の味噌汁ごときでそこまですんの、お前? あのね、妥協って言葉、知ってる? 100kmも走ったら、ガソリンどれだけ食うと思ってんだよ! ガソリン代と高速代、もったいないだろ!」


勇者「いいや魔王、わかっていないのはお前だ! いいか、シジミを食べたい→(から)シジミを取る、それは人間の自然な行動だ。なぜ、シジミを諦める? シジミとは、お前にとって、アサリで代用できる、そんな安っぽいものだったのか!?」


魔王「うっせえな! シジミもアサリも大して変わんねぇよ! むしろクラムチャウダーでいいよ!」


勇者「味噌汁、諦めちゃうのォ!? 魔王、諦めすぎ! なんでそんなに色々あきらめんの!」


魔王「うっせえよ! 俺は世界征服とか世界滅亡とかさせんので忙しいの!」


勇者「前々から思ってたんだけどさぁ、お前、支配したいのか滅ぼしたいのかハッキリしろよ…」

魔王「どっちもだよ! 支配もしたいし壊したい! その日の気分で変わる!」


勇者「変えんなよ!? トップだろお前、偉いヒトだろ!?」

魔王「あー、あー、聞こえなーい。もう、いいよ、今日は、スペイン風魚介スープにする。スーパー行ってこよ」


勇者「……あっ、エコバッグ……」

魔王「そっきーん、買い物行ってくるなー。バイク貸して~」

側近「魔王様だとバレると人間どもにボコられますから、ちゃんとフルフェイス・ヘルメットのまま、入店するのですよ? 護身用の剣も、ちゃんと持ちましたか?」

魔王「大丈夫、大丈夫。いってくるー」


勇者「……フン。俺はひとりでもあきらめない…! シジミの味噌汁をなッ! 見ていろ、魔王!」

ななたた企画でしたっ☆


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