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第五章:仲良し就寝会

ポンコツ令嬢、最強の執事、帝国の諜報員の三人は、川の字で寝れるのか?

シアンは嫉妬に狂ってしまうのか!?

ぜひお楽しみください。

最強のチート執事シアン、帝国の諜報員ベアトリス、

ポンコツ令嬢のアリシア。

この三人がアリシアの部屋の、

ワイドキングベッドで寝ることになった。

もはや修羅場になる予感しかない。


「ベアトリス叔母さん!」

「私の部屋広いでしょう?」

自室でクルクルと回転するアリシア。

普段のダンス練習が活かされている。


「ええ」

「綺麗に整理整頓されてるわね」

「ただベッドが……」


「大きすぎないかしら?」

ベアトリスはいい加減、

ツッコミに疲れてきた。


「このベッド実は、」

「三メートルくらいあるのよ!」

嬉しそうなアリシア。


「ここで毎晩シアンと愛し合ってるの?」

ベアトリスはもう対応が、

少し雑になってきてる。


「え!?」

「ただ一緒に寝てるだけよ!」

顔を真っ赤にするアリシア。


「……アリシア様に失礼だぞ」

「ババアは床で寝ろ!」

シアンは掴みかかろうとするのを、

なんとか堪えて悪口を言う。


「初々しい二人ね」

「まるで中等部の学生みたい」

ベアトリスは手を出さないのは、

わかってるので、調子に乗り始める。


「もう!」

「叔母さん!」

「私は二十歳になってるのよ!」

アリシアは恥ずかしそうに、

顔を隠しつつ言う。


「お願いだから寝てるときに……」

「エッチはし始めないでね」

「うるさくて寝れないから……」

ベアトリスはわざとらしく耳を、

塞ぐフリをする。


「そんなことするわけがありません」

「アリシア様は寂しがるから……」

「毎日一緒に寝てるだけです」


「他意はありません」

冷静に告げるが内心では、

理性が飛びかけているシアン。


「ふーん……」

「シアン、あなたも大変ね」

「そんなことではそのうち……」

「イケメンか美女に取られるわよ?」


アリシアが居るのをいいことに、

煽り散らす帝国諜報員。


「アリシアのことだから……」

「ドラゴンを恋人にするとか、」

「言い出しそうで怖いわ~」


「まあせいぜい頑張ってね~」

「オホホホ」

ベアトリスは学生時代の舞台を思い出す。


「ババアめ……」

「調子に乗りやがって……」


「私は付き合うなら……」

「イケメン、美女……」

「最悪ドラゴンでもいいわ!」


「こんな私のことを、」

「好きになってくれるなら……」

嬉しそうに話すアリシア。


「あらあら」

「素敵ね」

「偏見もないし」


「兄さんの教育が良かったのかしら?」

昔を懐かしむベアトリス。


「お父様には……」

「愛に性別や種族は関係ないと、」

「教わってきたから……」


「私は困ってたらオークだろうが……」

「ドラゴンでも助けるわ!」

アリシアは誇らしげな顔で、

両手を掲げて告げる。


「アリシア様……」

「このセカイにはもうオークは、」

「ほとんどいません……」

「彼らは好戦的で種族間の対立が多く……」

突然シアンの授業が始まる。


「そうだったのね!」

「ドラゴンは?」


「夕焼けに向かって綺麗な赤色のドラゴンが、」

「飛んでるのを子供のときに、」

「一度だけ見たことがあるの!」

キラキラした顔で話すアリシア。

もう完全に恋する乙女だ。


「そうですね……」

「もう数自体が少なくなってます」

「正直生きてる間に、」

「何回か会えればラッキー程度に、」

「考えてください」

そしてシアンの授業は終わる。


「アリシア」

「ドラゴンと結婚するときは、」

「結婚式に招待してね」

冗談半分でベアトリスは言う。


「もちろんよ!」

「ベアトリス叔母さん!」

即答するアリシア。


「生意気なババアを誰が招待するか!」

凄まじい勢いで拒否するシアン。


「シアン?」

「叔母さんもいい歳なんだから……」

「早く私のウエディングドレスを見せたいわね!」

アリシアは叔母の味方だ。


「くっ……」

「少し腹痛がするので……」

「トイレに行ってきます……」

辛そうに部屋を出て行くシアン。


「オホホホ」

「シアン」

「大丈夫かしらね?」

ベアトリスはわざとらしく笑う。

すっかり勝ち誇った顔になっている。


「ベアトリス叔母さん」

「シアンは平気かしら?」


「あの強すぎる女が、」

「そう簡単にくたばらないわ」

「しかも腹痛よ?」


「それもそうね」

「シアンが具合悪いと言うのは……」

「久しぶりだったから……」


「優しいのね」

「アリシア」

「シアンのことどう思ってるの?」


「わからないわ……」

「言葉で言い表すなら……」

「残された家族かしらね……」


「お父様とお別れしたときね」

「他の従者やメイドとか、」

「全員辞めちゃったの……」

「再就職に困るとか家業がって……」

当時を思い出すアリシア。


「そうだったのね……」

聞かなければ良かったと、

後悔するベアトリスであった。


「残ったのはシアンだけ」

「私にはもうシアンしかいないの……」


「私にもわかるわ」

「全てを失う辛さが……」

「自分一人ではどうにもならないことが……」

姪っ子を気遣っているのか、それとも……

自分のために言っているのか……


「優秀な叔母さんもそうだったの?」


「私は出来が悪い方よ……」

「誰も……助けられず……」

苦虫を噛み潰した顔をするベアトリス。


「でもアリシアこれだけは、」

「覚えておいて?」

「結局のところ国や世界相手にはね……」

「一個人ではどうにもならない事態に……」


「巻き込まれることもあるの……」

ベアトリスは思い出したくない過去が蘇る。


「その時はどうすればいいの?」

アリシアは尋ねた。


「逃げるしかないわ」

「そして最愛の人の手を、」

「決して離さないで……」

ベアトリスは無意識のうちに震えていた。


「叔母さん泣かないで……」

アリシアはベアトリスの涙を拭う。


「え?」

無意識のうちに涙が出ていたのね……

サイード皇帝申し訳ありません……

私は諜報員失格です……


「大丈夫よ」

「ところでアリシアは婚約者とかいないの?」

「実は……」

アリシアが王太子との一件を、

話そうとするが……


「そこまでだ!」

「ババア!」

部屋に飛び込んでくるシアン。

「それ以上言ったら、」

「屋敷の暖炉に転移させるぞ!」

さっそく転移魔法を準備しながら、

脅すように言う。


「ああ、なんて恐ろしいの~」

「まるで魔女扱いね」

「アリシア怖いから隣で、」

「抱きしめて寝てくれる?」


わざと怯えた顔をして、

ベッドにいるアリシアに、

擦り寄っていくベアトリス。


「もちろんよ」

「叔母さん!」

「あ、シアン腹痛は治ったの?」


「はい、問題ございません」


「良かった!」

「じゃあいつも通り寝ましょう!」

「早寝早起きしないと……」

「お肌の天敵だし!」


「その通りですね」

「まあここにはシワシワの、」

「ババアが一人いますが……」


「はぁ……」

「こんなに退屈しないのは……」

「いつぶりかしら……」


「叔母さんも早く寝ましょ?」


「分かったわ」

「シアンに殺されないか、」

「不安だけどね……」

怯えたふりを続けるベアトリス。


「大丈夫よ」

「シアンは本当は優しいから」

「ちょっと口が悪いだけなの」


「ごめんなさい」

ベッドに入っていたアリシアは、

ベアトリスを抱きしめる。


「わかってるわ」

「それにしても落ち着くわね」

「誰かと寝るのも悪くないわ」

勝ち誇った顔で、

シアンを睨むベアトリス。


シアンはプルプルと全身を、

嫉妬の炎で揺らしている。

まるで今にもセカイが滅びそうだ……


「真っ暗にしてもいいかしら?」

「問題ないわ」

「はーい」


「叔母さんおやすみなさい」

「ええ、おやすみ」

「アリシア」


「シアンもおやすみ」

「はい」

「良い夢を……」


こうして三人は眠りについた。

と言いつつも実際に寝てるのは、

まだアリシアだけだが……

ベアトリスは内心複雑な気持ちだったが、

眠りにつき、ある夢を見てしまう……


次回は幕間のベアトリス過去編になります。

少しずつ明かされていくベアトリスの過去。

ご期待ください!

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