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早く聞きたい事を聞いてしまわないと必要以上に迷惑をかけてしまう。

その思いから僕は自分の仮定した事が真実である前提で話した。


「僕達は何でココに連れて来られたの?」


その時の彼女は哀れみと困惑の入り混じる表情で返答した。

「…質問の意味が分かりかねますわ…」


申し訳無さ、恥ずかしさから顔が赤くなるのを自分で感じた。

「えっとその…何でこのエデンて所にいるの?」


「貴方…正気かしら?」

今度は同情する様な表情で返答が返ってきた。


「ゴメン…僕、実は記憶が全く無いんだ…」

僕は胸に溜まった不安を曝け出した。


「自分が誰か、今が何年で、ココがどこか、どうやってココに来たのか、何もわからないんだ…」

僕の口は止まらずに動き、そして何故か涙が溢れ出た。


「全てはわたくしにもわからない…ですがわかる事は教えて差し上げます」

彼女は上を向いてから落ち着いた口調で淡々と話してくれた。


「おおよそ11年前の西暦2090年、温暖化が進み人類は昼を捨て、ここエデンにて夜に生きる事を選択致しました」


あんなに高い天井が付いてるのは熱を遮る為かか…


「しかしながらエデンの中のエネルギーの供給には人の手が不可欠でした」


エネルギー…確かに…こんな大きな建物を照らす電灯、相当の電力が必要だ。


「そして貧困層のみが労働による納税という形でエデンの外で電力を産むソーラーパネルの交換作業を半強制的にさせられた」


ソーラーパネル…太陽光発電て事?


「それから焼けついた流砂を吸い込む事が原因か貧困層の多くが命を落とした…それを見かねた、とある王国の王は3年前、疲弊する貧困層を助ける為エデンを変えようとした」


……。


9

「でも、小さな王族の意見など通らなかった。更には同国のとある貴族が独断で貧困層を焚き付けタルタロスでテロを起こさせた。結果多くの死者を生んだ…」


タルタロス…Tartaros…

僕の首輪に書かれていた文字の前半と同じだ…


「その後…テロを起こした貧困層は更に貧困で秩序も無いここ『エレボス』に追い込まれた」


そこで少女は一旦黙り、何も無いアスファルトの床一点を睨みつける様に見ながら左腕を握りしめ続けた。


「その後…その貴族は、王族に罪をなすり付けた、王族は貧困層を利用したテロの首謀者としてエデンの所有地と外に有った土地の権利…謂わばソーラーパネルの権利を奪われた」


そう話した彼女は顔を上げて僕に初めて目線を合わせて話した。


彼女の目は吸い込まれそうになるほど信念の有る強い眼差しだった。


「わたくしに…答えられるのはここまでですわ」


なるほど…


「ありがとう!凄く助かったよ」


彼女はいろいろと教えてくれたが、僕に気を許しているわけでは無い様だった。

「礼など不要…さあ…」

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