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質問を否定するフォックスに僕は別の質問を投げかけた。

「じゃ拾って来たんですか?」


「ん?…ああそーだ、他人ん家の鍵をピッキングして入ってコッソリと拾って来た…良しコイツは中々のもんだな」

フォックスはルーペで宝石を暫く眺めると満足そうに声を漏らした。


「それ完璧泥棒じゃないですか!?」


「それじゃあ何だ?太陽の光を浴びたり空から降って来た雨を飲んだら泥棒になんのか?どっちも誰の物でも無いだろ?電気が無けりゃ生きられねー環境を作ったのはアイツらの都合だろーが…」


「…」

僕は黙り込み考えた。

アイツらって誰だろ?…でも確かにそう言われると一部の人間の都合で決まってるのかもしれない。


「それに俺は将来ゴミになる物を先に回収してやってんだ感謝して欲しいくらいだ」

フォックスは自身を納得させる様に独り続けた。


僕はそれ以上言及するのをやめた。

何故なら居候であり迷惑をかけるだけの存在の僕に物を語る資格等無かったからだ。


また、フォックスが人身売買や悪行をなす人間のみから盗みを働いている事をこの時の僕には知る由も無かった。

…まあ、相手が誰であれ泥棒は泥棒だけど。


「おいガ…アース明日の事だが」

フォックスはガキと呼びそうになり言い直すと振り返った。


アースはその身に散々溜めた疲れからソファで寝息を立てていた。


フォックスは衣紋掛けから上着を1枚手に取りアースへとかけると自身はベッドに仰向けに倒れ遠い目で想いに耽る様に宝石を眺めると目を閉じた。


フォックスはアース同様そのまま寝落ちした。


フォックスの脳裏に過去の記憶だろう映像が流れていた。


花の形を模るダイヤの装飾された指輪を指に嵌めて幸せそうに眺める若い女性を見てフォックスは困った様に微笑んでいた。

「わぁ…」


「リディア…何だその馬鹿げた金額…」

今より少し若く見えるフォックスは仏頂面で値札を睨んだ。


「勿論わかってるって…見てるだけ」

リディアと呼ばれた女は暫く指輪を見つめた後満面の笑みを見せた。


「結婚なんてまだ良いだろ?何か食いに行こうぜ」

フォックスはジュエリーショップらしき店を足早に出た。


「フォックス…もし、他の人にプロポーズされてるって言ったらどうする?」

リディアもその背を追いながら話しかけた。


「…お前の好きにしろよ」

フォックスは少し遅れて平然と答えた。


「ちょっと…冗談だよ〜」

リディアはフォックスの背中に体当たりして笑った。


「いいから行くぞ……」

フォックスは前を向いたままリディアの手を引いた。


ガシャ…

同時に乾いた木材の倒れる様な音がした。

フォックスが振り向くとリディアは繋いだ手より先が炭となり地面で砕けていた。


「う…あああ!!」


同時にフォックスは汗だくで目を覚ました。

「チッ…またかよ」


フォックスは身体を起こし眠りこけるアースの顔を見た。


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