風が吹けば聖女が堕ちる
「セレナ・ルミエール侯爵令嬢!お前との婚約は本日をもって破棄させてもらう!」
王立ガーネット魔法学園での記念すべき卒業パーティーの日に、婚約者のウォルター王子から婚約破棄を言い渡された“精霊憑きの令嬢”ことセレナ────の夢を見た、通りすがりのドラゴンであるオルガ。
変な夢を見たと思ったのも束の間、セレナ本人が目の前に現れてこう告げる。
「取引をしましょう。私の名誉と、猊下の落とし物で」
深く考えずに取引に応じたオルガは、“竜の愛し子”と呼ばれる聖女メローぺと、国宝“竜珠”を巡る泥沼の断罪劇へと巻き込まれていく────。
「いや、その竜珠とかいう宝石、アタシが姉貴に貰ったヤツなんだけど!?」
偏食ぎみのドラゴン(♀)が、自分の落とし物を発端とした悪役令嬢の断罪劇を何とか乗り越えようとする話です。