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サイドストーリー08 屋敷ドロボウ大追跡──「金髪・AI・チャイナが守る夜」

深夜01:03──俺の名前はアサミヤ


 俺はアサミヤ。闇夜に生きる流浪の大泥棒――。まさに神出鬼没の怪盗さ。今夜のターゲットは、郊外にぽつんと建つ古屋敷だ。資産家の坊ちゃんが住み、美しいメイドがいると噂。なんだそのうらやましい展開は。まあチョロいチョロい。そう思っていた。


 月を背に窓を開錠。カーテンを潜った瞬間、天井の赤ランプがチカッと光った。気のせいだろ、と花瓶を手に取る。が、床下から金属アームが伸び、花瓶ごと奪い去られた。


謎のハンサムボイス:

「盗難対象確保。窃盗犯、動線封鎖をお勧めします」


 ……え、誰? てか動線封鎖って何!? 次の瞬間、廊下の照明が点灯し、青いスポーツカー(なぜ屋内に!?)が無音で接近してきた。



 車体側面にスピーカーらしきものが開き、


車:

「私は ABEL。家主代理として退去を要請します」


 車がしゃべった!? 俺は半笑いで背を向けダッシュ。が、ホールに飛び込むと、金髪ロングのメイドが待ち伏せしていた。しかも黒いメイド服のままほうきを構えてニコニコ。


金髪メイド:

「夜のお掃除ターイムですねっ♥」


 怖ッ! 俺は反射でクローゼットへ転がり込む。閉めた扉ごしにドンッ!という衝撃。見ると、ほうきが扉を突き破り、俺の袖を壁に留めている。


金髪メイド:

「じっとしててくださいっ! 今、良い感じにダスターが――」


 じっとしてられるか! 袖を破って再ダッシュ。廊下の曲がり角で紫のチャイナ服の美女と鉢合わせた。


チャイナ美女(冷たい微笑):

「逃げる方向、逆よ」


 言われるがまま振り向けば、さっきの金髪メイドが突進中。俺は悲鳴を上げ、窓から庭へダイブした。



 着地した芝生には、なぜかトランポリンが設置されていて大ジャンプ。空中で金髪メイドに抱きかかえられ、再び屋内へ投げ戻された。完全に玩具扱いだ。


金髪メイド:

「ご主人様の大切なお屋敷を荒らすなんてダメですっ!」


 いや、荒らしてるのはお前らだろ!とツッコむ暇もなく、天井からドローンが降下し網を発射してきた。俺はあっという間に拘束されてしまった。


車=ABEL:

「捕獲完了。損壊箇所を算出……屋敷半壊。修繕費は後ほど犯人請求へ」


 俺は、財布どころか人生まで詰んだ感。まさか俺の怪盗人生もここまでか。



 リビング(壁が穴だらけ)で正座させられる俺。チャイナ美女は紅茶を注ぎ、金髪メイドは嬉々として壁の補修を始め、車は室内を掃除するというカオス。


 そこへ寝間着姿の家主――高校生らしき坊ちゃんが登場し、頭をかく。


坊ちゃん:

「また屋敷壊れたの? ていうか誰これ?」

メイド:

「ちょっとだけ悪い子でしたので♥」


 “ちょっと”の定義がおかしい。


 結局、通報は免れた。理由は「屋敷の修繕費より、君の更生の方が世の中の利益」らしい。俺はラベンダーの香り付き説教を一時間食らい、帰り際に金髪メイドからプロテインバーを手土産に渡された。


金髪メイド:

「夜遊びは筋肉にも悪いですよっ♥」


 もう二度と泥棒はしない。……というか、できない。俺の中で“金髪メイド恐怖症”が誕生した夜だった。


 屋敷を出ると、東の空が微かに白む。背後では修繕ドローンが壁を組み直し、金髪メイドがガッツポーズしている。


俺の心の声:

「世の中には、盗めないものがある。命と、平穏と、あと……物理法則」


 足取り重く帰路につく俺のポケットで、プロテインバーが妙に温かかった――。





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