第7話「来訪者はメイドキラー!?優雅なる地獄のアフタヌーン」
──【序章】屋敷・応接間。
KAIN《注意:本日午後、重要来訪者が予定されています》
ユウト「……は? そんな話、聞いてないんだけど?」
ABEL《国際的メイド協定に基づく、交差監査の一環です》
サッちゃん「お任せくださいご主人様! どんな刺客でもこの鉄拳で──」
KAIN《社交目的の平和訪問です》
サッちゃん「社交……?」
ユウト「お前、そういうの苦手だろ……?」
サッちゃん「え、えへへ……愛想は爆風でカバーしますっ♥」
ユウト「やめろ、屋敷が崩壊する……」
──◆午後3時、来訪者現る。
《カツ……カツ……》
瀟洒な革靴の音が玄関に響く。
現れたのは──金髪に白手袋の美少年。
ロレンス「お招きに預かり、光栄です。ロレンス・ウィンダミアと申します」
一礼するその姿は、完璧な英国貴族のようだった。
サッちゃん(……なんか腹立つっ!!)
リナ「見事な自己紹介ね。気圧されないように」
ユウト「ていうか、リナっていつの間に屋敷に常駐してるんだよ……」
リナ「え? 初日からずっとよ。何か不都合でも?」
ユウト「完全にしれっと溶け込んでるのおかしいだろ!」
メグミ「……わたしも屋敷にお邪魔するの、なんかもう当たり前になってる……」
ロレンス「貴族の作法とは、“突然の来訪にも優雅であること”なのですよ」
KAIN《なお本訪問は“国際メイド交流会”の一環。交流相手は“選ばれし主人とメイド”です》
ユウト「選ばれし……あ、うん……俺じゃないよね?」
サッちゃん「うふふっ! 任務ですねっ! 交流って名の実戦形式ですかっ!?」
ロレンス「戦うつもりはありませんよ。私はメイドさんと“お茶を楽しむ”のが趣味でして」
──◆アフタヌーンティー開戦。
ロレンス「さあ、用意しました。ダージリンにアールグレイ、それから──」
サッちゃん「むむっ、貴族ぶってますね……! 対抗して“筋肉スコーン”を用意します!」
ユウト「名前からしてヤバそうだな……」
ABEL《屋敷への被害予測:中程度。警戒を推奨します》
調理を始めるサッちゃん。その背後で、ロレンスは優雅に紅茶を注いでいた。
ロレンス「温度は完璧、抽出時間もパーフェクト。どうぞ」
メグミ「……すごい、完璧……」
リナ「ただの紅茶なのに、妙な圧力を感じるわ……」
サッちゃん「ふんっ! 飲ませてやりますよ、私の“爆裂愛情スコーン”!!」
《ドカンッ!!》
天井の一部が吹き飛ぶ。
KAIN《爆発音検知。非常モード起動》
ユウト「もう慣れてきたけど、やっぱ慣れたくない……」
メグミ「お茶会って……こういうものだったっけ……?」
──(やらかし追加パート)──
サッちゃん「さらに!“炎のミルクティー”で勝負ですっ!」
ユウト「それ絶対普通のミルクティーじゃないだろ!?」
サッちゃんが用意したケトルから、なぜか火柱。
《ボンッ!!》
ケトル爆発。テーブルが黒焦げになる。
ロレンス「……新手のパフォーマンスでしょうか」
リナ「逆に感心するわ、ここまでやらかせるの」
メグミ「今度こそ屋敷が保険対象外にされそう……」
ユウト「誰か止めてくれよこのメイド!!」
サッちゃん「ふ、不完全燃焼ですっ!! 次は冷製紅茶爆弾で……」
ユウト「やめろぉぉぉ!!!」
──◆裏の顔と正面対決。
屋敷裏庭、夕暮れ時。
ロレンス「君のメイドさん、なかなか……強烈ですね」
ユウト「そうかな……まあ、強いけど……」
リナ「強いというより、規格外。物理法則の範疇にいないわ」
ロレンス「強さにはいろんな形があります」
サッちゃん(物陰)「…………」
ロレンス「たとえば、“過去の名を隠して暮らす強さ”── かつて、“黒百合”の“ハリケーン・ドール”と呼ばれたメイドを、私は知ってますよ」
サッちゃん「っ!」
ユウト「え、なにそれ……?」
ロレンス「なるほど。伝説に違わぬ迫力でした」
リナ「確認が目的だったのね。彼女が本当に“それ”かどうか」
ロレンス「ええ。どうやら確信しました」
メグミ「……でも、なんでそこまで確認したかったの?」
ロレンス「私は“メイドを知る”のが好きなんです。 強さ、美しさ、忠誠、そして、誇り。彼女にはすべてがある」
ロレンス「……それが“脳筋”であってもね」
サッちゃん「むっ……!?」
ユウト「サッちゃん、そんな呼ばれ方されてんの?」
サッちゃん「むしろ誇りですっ!!」
──
ロレンス「では、また。“黒百合”の“ハリケーン・ドール”──お手並み、楽しみにしています。」
サッちゃん「……油断しました……でも、次は絶対、全力でおもてなししますっ!」
ユウト「それが爆発系じゃなければいいけど……」
KAIN《被害報告:屋敷損壊7箇所、紅茶消費量 過去最大》
ABEL《記録完了。次回予告に進みます》
──【次回予告】
サッちゃん「次回、『メイドと洗車と豪雨警報!』ご主人様の愛車、私が完璧に洗ってみせますっ!」
ユウト「やめろぉぉぉ! また屋根が吹き飛ぶぅぅぅ!!」
【第7話・完】




