33話 レイドバトル 終幕!
バトル描写は難しい!! (>_<)
お手柔らかにお読みくださると幸いです。
あれから、暫くレイドバトルを戦った。その間、死に戻りは2回。
1回目は前線で戦っていたら、ポメポメさんや大盛りパスタ三人前さんなど、有名な配信者が近くで戦っていたのを、つい見てしまった。そのせいで、ツナ大王のモリが迫っていたのに気づかず、モリに薙ぎ払われて、空中に吹っ飛ばされ、落下死した。
いや、有名人が近くにいたら、見ちゃうだろう? これは仕方なかったんだ。
2回目は、エリア中程で雑魚と戦っていると、カツオに吹っ飛ばされたプレイヤーに巻き込まれて転倒。体勢を整える前にサンマの群れに突撃されて、死に戻った。
参加人数が多いレイドバトルの混戦中だから、こっちも仕方ないと思う。あのサンマ共は許さないけど。
レイドバトル中のデスペナが緩和されていて良かった。少しの休憩でデスペナから回復するため、死に戻っても何度もレイドに挑戦できる。
一応、途中でログアウトして、現実でもしっかりと休憩と水分補給もした。肝心な時に体調アラートで、強制ログアウトされたくないからな!
ちなみに、デスペナ中に出店で源三郎さんに会えたので、武具を修理してもらったりもした。ポーション類も少し買って準備を整えたら、再度レイドエリアへ!
* * *
三度目の正直。レイド開始からそこそこ時間も経っているし、他の強いプレイヤー達も総攻撃してるんだ。そろそろ、あのツナ大王もダメージが溜まって来ているはずだ。
そう思ってレイドエリアに入って直ぐに、ツナ大王の居るフィールドの真ん中を見ると、ベストタイミングだったのか、ツナ大王の様子に変化があった。
今までは、ほぼ無表情に足元をモリで払うだけだったのに、目を釣り上げて怒りの表情となり、地団駄を踏み始めた。
その度に地面がぐらぐらと揺れる。立っていられなくなったので、地面にしゃがみ込んで、地団駄が終わるのを待つ。
やっと地団駄が終わると、今度は手に持ったモリに水を纏わせて、ぐるりと振り回し始めた。モリから水がブーメランの様に飛ばされて、周囲のプレイヤーを薙ぎ倒す!
攻撃が止んだので周りを見渡すが、一気に多くのプレイヤーが死に戻ったようだ。エリア中程に居たプレイヤーは殆どいなくなり、生き残っていたのは攻撃範囲外だった自分みたいに端に居た人達。
また、ツナ大王の足元付近にも少し生き残りプレイヤーが居た。……あの人達、地団駄中耐えきったのか? 凄いな。
プレイヤー達が体勢を整えていると、ツナ大王は更に動き出す。今度は足元に残っていたプレイヤー目掛けて、めちゃくちゃにモリを突き刺し始めた!
これはヤバイ! このままだとせっかく生き残った前線が、今度こそ全滅するぞ?! 慌てて、前に駆け出して【連続投擲】でイベント用投げナイフをツナ大王に投げて、少しでもヘイトをこちらに来る様にする。
端に居た他のプレイヤーも、遠距離攻撃をツナ大王に喰らわせていく。
多数プレイヤー達による、遠距離攻撃が効いたのか、大きな目玉をギョロリと巡らせて、ツナ大王が足元にモリを打つ手を止める。
そして、こちら側にモリを構えて、また水を纏わせてくる。これは水鉄砲的なやつを撃ってくる気か? マズいと思って、直ぐにこの場を離れようと横に駆け出す。
すると、ツナ大王の足元から誰かが駆け上がるのが見えた。遠いから見えづらいけど、ビーストマン(猫)の人? そして、その人はツナ大王の頭辺りまで来ると、その拳でツナ大王をぶん殴った!! 赤いエフェクトが見えたので【拳術】の何かのアーツだろう。
かなりのダメージが入ったのか、ぐらりと揺れるツナ大王。すると、向かい側からキラキラしたスケイルメイルを装備した剣士スタイルの人を先頭に、6人組のパーティが走って来た。
ツナ大王の近くまでくると、後方のローブを着た人が剣士の人に補助魔法?をかけ、大盾もちが離れた場所で何かスキルを使ってヘイトを引き、弓使いともう一人のローブを着た魔法使いの人が武器にスキルエフェクトを纏わせてチャージを溜め始める。多分、時間がかかる大技だろう。そして、時間差で剣士の人もチャージを始める。
まるでパーティ戦闘のお手本の様な動きだ。
思わず彼らを見てしまっていると、ツナ大王が体勢を立て直し、大盾使いを狙ってモリを突き刺す!
大盾使いの人は、あのデカいモリに数秒は耐えたが、その後ノックバックで吹き飛ばされてしまった! 弓使いの人と魔法使いの人のチャージは?!
慌てて2人の方を見ると、あちらも慌てているみたいだ、まだ溜まりきってないらしい。
「あらら〜。ちょっとこれはマズイみたい〜?」
「うわっ! びっくりした、メンマさん??」
いきなり声を掛けて来たのはメンマさん。いつの間にか横に来ていた様だ。
「ごめん、ごめん〜。ちょうどよく見かけたから〜、共闘しようと思って来たんだけど〜。相談してるヒマないね〜? 【剛射】〜」
スキルを纏った矢がツナ大王に飛んでいく。そ、そうだ、あの人達のチャージ時間を稼がないと! なんかあの人達強そうだし、こっちでまたヘイトを持とう!!
「【ウォーターボール】! 【強投擲】!!」
自分が出せる、残りの遠距離攻撃を使い、メンマさんと一緒にヘイトをなんとかこちらに向けようとする。
「アハハハハハ!!」
「うっひゃあ!! 早い早いぃ〜!」
「きゅきゅぅ〜〜!」
そんな自分達の横をものすごい勢いで走っていく、紫電を纏った馬と黒髪の女性プレイヤー、さらに馬に相乗りしているのは、茶色いウサギ耳の……ミルミルキーさん?! なんで??!
そのまま二人と一頭は、ツナ大王まで一目散に駆け寄り、黒髪の女性プレイヤーが雷を纏った槍を投げてツナ大王を攻撃。ミルミルキーさんは【土魔法】かな? 土の散弾を飛ばしている。
自分達とミルミルキーさん達が横から攻撃し、ツナ大王の後ろ側からも他のプレイヤーが攻撃していたらしく、ヘイトが正面の6人組から外れる。
ツナ大王が煩わしそうにミルミルキーさん達をモリで薙ぎ払い、身を捻って背後にいるプレイヤー達を攻撃しようとする。
しかし、その時には6人組達のチャージが終わっていた! 弓使いの人と魔法使いの人からド派手なエフェクトの技が放たれる。ちょうど後ろを向いたツナ大王の背中に大技がジャストヒット!!
たまらず仰け反るツナ大王。そして、直ぐに追撃の剣士の人が前に出た!
「これで終わりだ! 【オーラスラッシュ】!!」
眩い閃光を纏った剣を振りかぶってツナ大王に叩きつける!!
ーーギャアォォオオオ!!
剣士の人の攻撃が当たると、ツナ大王は大きな叫び声を上げて、身震いし始める。そして、剣が当たった箇所から、ダメージエフェクトを出して身体が消えていく。
こ、これは倒した、のか?? 困惑していると、目の前にポップアップが表示される。
『おめでとうございます! レイドボス「グレートシーフェスツナ大王」が討伐されました!!』
『討伐報酬は、後ほど総ダメージ数や各貢献度を集計させていただいた後に配布させていただきます。レイドエリア内のプレイヤーは、この後イベントポータル前に転送致しますので、このままお待ち下さい』
「レイドボス討伐完了みたいだね〜」
「は、はい。でも、初レイドボス討伐のその最後に貢献できたとか、なんだか実感が湧かないです」
「ふふふ、こういう時は素直に喜んじゃって良いんだよ〜? はい、タッチ〜」
戸惑っている自分に対して、手のひらを向けるメンマさん。そうか、レイドバトル、本当に終わったんだ。その最後に立ち会えたんだ!! 急に実感が湧いて来て感情が昂ぶる。
「そうですね! やりました!!」
パシンッ!
メンマさんとハイタッチ! 周りを見渡すと、あの6人組を始め、レイドエリアに生き残っていた人達がみんな飛んだり跳ねたりして喜んでいた。
フィールドの真ん中では、黒髪の女性プレイヤーとあの茶色い馬、それにミルミルキーさんが他のプレイヤーに囲まれて、みんなで喜んでいた。
ミルミルキーさん達、無事だったんだな! 良かった!
暫く勝利の余韻に浸っていると、転送が始まる。イベントエリアに戻るのか…… 一瞬暗転すると、そこは砂浜にある緑色のイベントポータル前。
ーーワァアアアア!!!
イベントエリアに戻って来ると大歓声で迎えられた! どうやら先ほどのアナウンスは全プレイヤーに届いていたようだ。
なんだか恥ずかしい気持ちになりながら、ポータル前から移動する。目立つのは慣れてないんだ。
近くに源三郎さんがいたので、避難する。途中であのキラキラスケイルメイルの剣士の人が「流石アドベルさん!」と言われていたので、あの6人組が掲示板でよく名前の上がる攻略組のアドベルパーティだったのかと知った。
なるほど、道理でキレイな連携に、高威力のアーツを使っていたわけだ。配信者の人達といい、アドベルパーティの人達といい、全員アクセス可能なレイドエリアは、有名人が沢山見れて凄かったなあと、今更ながら思った。
源三郎さんの所には、自分と同じく避難してきたメンマさんも一緒だった。三人で色々話していると、レイドバトル報酬が届いた。自分の報酬はこんな感じ。
『グレートシーフェスコイン』×10
『〜ツナ大王の赤身』×3
『〜ツナ大王の中トロ』×1
……わぁお、中トロ来ちゃったよ。
* * *
あの後、イベント終了時間ギリギリまで、祝勝会として、コイン以外のツナ大王のドロップを使ってマグロだらけの宴が行われた。ちなみにアドベルパーティなどのダメージ数や貢献度が高い人達は大トロなどもドロップしたようで、【料理】スキル持ちがこぞってマグロ料理を作っていた。
シーフェスの名の通り、最後まで海祭りだったイベントだったな!!
・グレートシーフェスツナ大王の行動パターン
1、最初
足元薙ぎ払いと雑魚敵召喚
2、HP半分過ぎ
足元薙ぎ払いと雑魚敵召喚
偶にジャンプして地面揺らしと
モリから水鉄砲で遠距離攻撃
3、HP9割以下
暴走モード
地団駄、モリ攻撃が激しくなる
足元には、積極的にモリ攻撃
中距離には、モリからの水ブーメラン
遠距離には、モリからの水鉄砲
大ジャンプからの津波攻撃
※モリが届く距離なら、中距離でも
モリ攻撃をする。
※津波攻撃は、今回は出る前に
レイドバトルが終了した。
・ミルミルキーさんの相乗り
レイドバトル終盤でエリア転移してきたミルミルキーさん。転移場所は、エリアの端なので、ツナ大王とは距離が。
「また、ここから真ん中まで走らないとかあ。あっ! すみません、そこの馬さんとご一緒の人! もし良かったら、乗せていってもらう事出来ますか?!」
「え? ええ、はい、大丈夫です…」
「わーい! ありがとうございます!!」
「きゅきゅ!」
「じゃ、じゃあ、乗ったらしっかり私の腰に捕まって下さい……」
サッと馬に跨る睡蓮さん。続けてミルミルキーさん達も後ろに乗る。(鞍は二人乗りくらいまでは、自動でサイズ調整する)
「はい! えっと、こんな感じですか?」
「ええ、大丈夫です。では、とばして行きますよ! ココア! マックススピードです!!」
「ブヒヒィイン!」
→本編のあのシーンに続く。




