2話 最初の町と色々確認
翌日のAM 10:00
遂にその時はやってきた。
そう、アトランティア・オンラインの正式サービス開始だ!
今日は休日なので、ゲームの準備も万全にしてある。早速VRギアを装着し、ゲームの世界にログイン!
* * *
意識が浮上すると、また真っ白な世界にいた。少しするとピンクの球体が現れる。ナインだ。
「こんにちは、プラナ様!早速のログインありがとうございます。」
「こんにちは、ナイン。もう待ちきれなくてね!」
「ふふふ。楽しみにしていただいて何よりです!では、これよりアトランティア・オンラインの世界に旅立っていただきますが、事前登録されたアバター設定や初期スキルに変更はございますか?」
「いや、大丈夫だよ。」
「承知しました!次に、本ゲームは混雑防止のため、接続先チャンネルを分けさせていただいております。どなたか、一緒のチャンネルでプレイしたいプレイヤーの方はおりますでしょうか?」
へえ、事前にチャンネルを合わせてプレイできるんだ。まあ、このゲームに関しては誰かと約束とかしてないし、大丈夫かな。
「いや、いないよ。」
「チャンネル指定なしですね。ご確認ありがとうございます!最後にログイン前の説明となります。本ゲームは、快適なゲーム進行のため、PKは禁止となっております。また、他者を不快にさせる行動・発言はお控えください。その様な行為を行っているプレイヤーがおりましたら、メニューからご通報下さい。」
PK無しってのは、公式サイトにも書いていたな。個人的にもPKは好きじゃないからありがたい。
「また、ゲーム開始後に操作・機能に関しての詳細を確認されたい場合は、メニューのヘルプからご確認下さい。それでは、プラナ様の旅路に幸多からんことを!」
ナインから激励を貰うと、辺りが眩く光出す。思わず目を閉じてしまうと、次に目を開けたときには、既に町の中に召喚されていた。
* * *
ファスの町 ポータル広場
……ざわざわざわ
「おおー。これがアトオン(アトランティア・オンラインの略称)の世界かー」
西洋っぽい町並みが立ち並ぶ中、ぽっかり開けた広場に立っているようだ。周りには自分と同じく、ゲームにログインしてきたプレイヤーが大勢いた。
背後を見ると、広場の真ん中に青い大きな水晶玉のオブジェがあり、それが淡く光るごとに、どんどんプレイヤーが現れていた。多分、あの水晶玉が一つの町に一つあるという、ポータルとやらだろう。
さて、ステータスやアイテムを確認したいところだが、このまま広場にいると邪魔になるな。どこか別の場所に行こう。
広場から出て、少し歩いた先にベンチがあったので、ありがたく座ってゆっくりステータスなどを確認することにした。
存在感が薄くて気づいていなかったが、尻尾がちゃんとあった事にびっくりしてしまったよ。座ろうとすると、自動で良い感じの位置に動いてくれた。凄いな……。
ステータス画面を開くと、名前・性別・種族レベルに各種ステータス(HP・MP・筋力・耐久力・知力・精神力・俊敏力・器用力・幸運力)、あと所持スキルが表示された。
あれ?【鑑定】を取ってれば、属性耐性とかも見れるんじゃなかったっけ?なんで見れないんだろう??こんな時はヘルプだな!
メニューからヘルプを開くと、一番上に「冒険の最初にやる事!」項目があった。とりあえず、これを見てみることにする。
「自分のステータスを確認しよう」
「初期スキルを確認しよう」
「初期アイテムを確認しよう」
「初心者武器・防具チケットを使おう」
「武器・防具を装備しよう」
「町を探索しよう」
「冒険者ギルドに登録しよう」
「町を出てモンスターと戦ってみよう」
……結構いっぱいあるな。【鑑定】の効果を確認したいから「初期スキルを確認しよう」のヘルプを見てみよう。
何々?スキル枠内の各スキルをタップして、習得アーツや詳細を確認できる?なるほど、じゃあステータス画面に戻って、セットスキル枠内にある【鑑定】をタップっと。
【鑑定】スキルLV 1
アイテムやモンスター、自身の情報を世界の知識から参照することができる。参照できる情報量はスキルレベルに依存する。
習得アーツ
・アイテム基本鑑定 MP1
おおお??世界の知識とか凄そうな説明が出てきたな。でも、これでステータス詳細が見れない理由が分かったぞ。純粋にスキルレベルが足りないんだな。
今は、【アイテム基本鑑定】しかできないんだなー。え?これ、相手モンスターの鑑定もまだ出来ないってことか??
うわぁ、前途多難だな。
他のスキルは、戦闘時に使いつつ確認しよう。次は初期アイテムだな。確か公式サイトからの情報だと、スタート応援用に鑑定不要の初期アイテムが配布されてるらしいけど。
・初心者低級HPポーション ×3
・初心者低級MPポーション ×3
・携帯食料 ×5
・初心者武器チケット ×1
・初心者防具チケット ×1
意外といっぱいあるなぁ。こちらもタップすると、使用するか説明を見るか選択できたので、先ず説明を見てみた。
初心者ポーションシリーズは、種族レベル5までが利用できる低級ポーション。携帯食料は、美味しくはないが、お腹がある程度膨れる食べ物だった。そういえば、空腹度もあるんだったなこのゲーム。ステータス画面からみれ……ないのか?!えっ??ヘルプ、ヘルプ!
えっと、「空腹度など各種バッドステータスに関するゲージについて。基本的にはゲージが半分以下となると注意ポップが目の前に表示されます。更にバッドステータスが実際に現れる危険域までゲージが下がると警告ポップが表示されます。各ゲージを確認したい場合は、【鑑定】スキルの【自己ステータス詳細鑑定】アーツをご活用ください」??
なるほど、ここでも【鑑定】が必要なんだな。まあ【鑑定】が無くても、注意と警告は出るから、そこまで気にしない人だったら問題ないのかな?そして何気にアーツのネタバレをくらってしまった。
最後は、初心者武器と防具のチケットだな。何々?このチケットを使うと種族レベル5まで使える初心者武器・防具が無料で一つ手に入ります。初心者武器・防具は耐久性が無限なので、操作に慣れるためにご活用くださいとな?
耐久性とかもあるのか。レベル5まではこの初心者武器・防具を使うとして、その後は能力と耐久性を考えながら揃えないとなぁ。
まあ、まずはチケットを使おう。武器は木製武器シリーズから一個か。攻撃力はほぼ同じ性能。自分は、【剣術】スキルがあるから、『初心者の木剣』だな。
次は防具チケット。こっちは革製防具シリーズから、胸当てかベルトか小盾のどれかかぁ。胸当てと小盾は、防御力+2、ベルトは防御力+1に俊敏力+1の性能だ。俊敏力は種族特製で元々高いから、『初心者の小盾』にしよう。剣と盾で駆け出し戦士!って感じかな。
武器と防具を手に入れたら、忘れずに装備だな!ヘルプを参照しつつ、メニューの装備欄を開いて……。
えっと、今の装備状況は、
頭:
胴体:
インナー:布のシャツ
腕:
腰:
足:布のズボン
靴:革の靴
右手:
左手:
アクセサリー①:
アクセサリー②:
インナーと靴は、胴体と足とは別装備扱いなんだ、細かいなあ。とりあえず右手と左手欄に、さっき獲得した初心者シリーズを装備してっと。おっ、左手に革の小さい丸盾と腰にシンプルな木剣が現れたな!順調、順調!
じゃあ、確認はこれくらいにして、町巡りと冒険者ギルド探しに行きますか!
ベンチから立ちあがろうとすると、いきなり目の前にポップが表示された。
『近くにプレイ録画を行なっているプレイヤーがいます。撮影許可を出しますか?(デフォルトではオフになっています)』
ああー、近くに配信者が居るのか。このゲーム、体感時間延長があるから、リアル配信は出来ないけど、プレイ中に録画して、後で配信とかは可能なんだよな。撮影許可しなければ、勝手に映らないみたいだし、これは「いいえ」っと。
周りを見渡すと、広場辺りから歩いてきた女性アバターのプレイヤーの側に丸いカメラ見たいなのが浮かんでいた。プレイヤーは、それに向かって話しながら歩いている。アレが配信者だな。
今動くと声とかかけられたりするかもしれないから、再度ステータス画面を開いて、通り過ぎるのを待つ。撮影許可してないから映り込まないとはいえ、実際のゲーム内では姿が見えるわけだし、念には念を。
配信者のプレイヤーが通り過ぎたら、やっと出発だ。町の探索は、やっぱりワクワクするな!どんなお店があるのかな?どんな人がいるのかな?そう思いながら、町中に足を踏み入れた。
主人公がナビとしか話してない気がする。……まあ、おいおいプレイヤーとも話す機会があるだろう!
(^◇^;)