12話 1週間の冒険の成果
さて、セカドの町に着いてから、現実時間で早1週間が経った。セカド到着の次の日は休日だったので、初日と同じくゲーム三昧できたのだが、その後は仕事だったため、残念ながらあまりゲームをすることができなかった……。
だがしかし! 毎日仕事終わりにコツコツやった結果、現在セカドの森の出口付近のセーフティエリアまで到着した! 先日見つかった第三の町まで、あと少し!!
ちなみに、どうやらセカドに着くまでが全体的なチュートリアルだったらしく、ファス―セカド間は街道さえ通ればそこそこ近かったのだが、セカドから先の森フィールドはかなり広かった。森の中の街道も曲がりくねってるし、モンスターも基本アクティブなので、通り抜けるだけでも大変だった。
特に夜に出る「サイレントオウル」がヤバかった。梟なだけあって、音もなく飛んできては奇襲される。また、サイレントの名の通り、魔法封じ攻撃をしてくるので、自分の唯一の遠距離攻撃である【水魔法】が封じられて、相手が近づくのをひたすら待つしかなくなったりした。
何回かそれで死に戻りしたため、とうとうスキル講習で【投擲】スキルを取ってしまったほどだ。
まあ、良いことも沢山あった。森フィールドから多くの新アイテムが見つかったほか、セカドだと武器屋や道具屋などで一部素材を売っているようで、フリボや露店にプレイヤーメイドの武器・防具・道具が多く売りに出されるようになったのだ。名前が一緒でも、作り手によって微妙にデザインや性能が違ったりして、見ているだけでも楽しかった。
そうそう、露店について。【商業】スキルを持っているとセカドの町で自分の露店を出せるらしく、今ではポータル広場に沢山の露店が出ている。
フリボでネット通販するのも良いが、直に見たり話したりできる露店も楽しい。さらに、露店だとプレイヤーだけでなく、住人NPCが物を買いに来ることもあるらしい。NPCがプレイヤー露店に買い物しに来た際、雑談で森に出る「フォレストビートル」についての新情報を聞いたと、掲示板に書き込みが有った。こう見ると商人プレイも楽しそうだな!
そんなこんなで、自分もレベル上げや装備を一新したりした。種族レベルは9になり、2桁まであと少し!ギルドランクもF まで上がった。装備はこんな感じだ。
頭:フクロウの羽飾り
胴体:簡素なナイトドッグの軽鎧
インナー:素朴な森のシャツ
腕:素朴な革の籠手
腰:素朴な革のベルト
足:簡素なナイトドッグのグリーブ
靴:革の靴
右手:簡素な銅のショートソード
左手:フォレストビートルの丸盾
アクセサリー①:素朴な森の腕輪
アクセサリー②:ラビラビストラップ
ついに、装備欄を全て埋めることが出来た。欲を言えば、腕や腰装備もナイトドッグシリーズで揃えたかったんだが、防御力もそこそこあり、俊敏力があがる上に見た目もカッコいいナイトドッグシリーズは人気なため、胴体と足しか揃えられなかった。
『フクロウの羽飾り』に『ラビラビストラップ』も俊敏力を強化する効果があり、種族特性と合わせて、今の自分はスピード重視の軽剣士といった様相を呈している。
さてと、現状把握はこれくらいにして、第二のエリアボス「フォレストベア」を倒すための野良パーティ募集を探しますか。
掲示板情報で、パワー・耐久型のモンスターだとあったので、ソロは厳しいなと思い、今回は最初から野良パーティで挑む予定だ。フレンドは居ないのかって? ……リアルの知り合いはみんな初回盤の抽選から外れたみたいだったし、ゲーム内で新しく作るのはハードルが高かったよ。
* * *
やっっつと終わったぁあああ!!
今回のパーティは、ちょっと大変だった。
アトオンの1パーティのメンバー枠は最大6人。前回の「ラージスライム」の時は5人で挑んだが、今回は6人フルパーティで挑めたので、楽勝かなと思ったのにこれだよ!
前衛は、軽戦士の自分に、【盾術】持ちのタンクが1人、従魔のホワイトラビ(プチラビから進化したらしい、名前は「ウサ丸」)。
後衛は、エルフの弓使いにヒューマンの魔法使い、あとウサ丸の飼い主のテイマーさん(【従魔法】以外に【水魔法】も持っていたので後衛に加わってもらった)。
タンクの人がちょっとチャラかったし、魔法使いと弓使いの 2人があんまりゲーム慣れして無さそうな時点で、やな予感はしてたんだよなぁ。
実際、タンクはヘイト管理も立ち回りも上手くなくて、しょっちゅう後衛にフォレストベアが攻撃しにいきそうになったため、自分とウサ丸が急いでサポートに回る羽目になった。
更には、魔法使いと弓使いの攻撃が、かなりの頻度で前衛に当たるわ、魔法使いが意味不明な場所に壁作って(しかも【土魔法】のアースウォール)、前衛が壁にぶつかりそうになるわで散々だった。
最終的に討伐時間は30分くらいかかったのでは? もう、本当にはちゃめちゃで疲れたよ。なんか、タンクが俺のおかげで勝ったみたいに言ってるけど、今回のMVPは絶対ウサ丸だぞ? サポートも的確だったし、2回くらいクリティカル出してたし。あ、飼い主のテイマーさんも良い動きしてたな。
なんかもうクタクタになったので、森から出たらさっさと解散して、森の中のセーフティに戻ってログアウトしたよ。
* * *
……現実で仮眠して、リフレッシュした後で、再ログインした。
さてと、さっきはリザルトも確認せずにログアウトしてしまったので、先ずはエリアボスのリザルトから見よう。
種族レベルは、遂に10レベルまで上がった! これでセットスキル枠も一つ増えたわけだが、そもそもそんなにスキルを取っていなかったから、そこまで恩恵は感じないかな。
後は、【剣術】【遠見】【投擲】のスキルレベルが上がったな。【剣術】【遠見】がレベル5に、【投擲】はレベル3に上がった。相変わらず【遠見】の新アーツはないが、【剣術】は【スラッシュウェーブ】、【投擲】は【連続投擲】を覚えた。
【スラッシュウェーブ】は、いわゆる衝撃波だな!遠距離攻撃手段がまた増えた。うーん、梟に苦戦してる時に覚えたかった……。
ドロップアイテムも鑑定して、結果は『フォレストベアの爪』。お? これって掲示板に載っていたレアドロップでは?? 頑張って戦ったご褒美かな?
良い感じのリザルト結果にホクホクしながら、森を出て第三の町に向かう。この前運営から、明日より始まる1回目のイベント告知があったからね。新しい町で、しっかり準備しないとな!
・ラビラビストラップについて
性能は良いのだが、見た目が 2種類のラビの毛皮から作られたポンポンが連なっているポップで可愛いストラップだったため、主人公は買うかどうか凄い悩んだ。
優男風とはいえ、男性アバターだ。ちょっと合わないかなぁと思ったが、露店主(ラビラビストラップは露店で売っていた)からの怒涛のセールストークを受け、つい買ってしまった。
因みに今回組んだ野良パーティのウサ丸の飼い主は、この『ラビラビストラップ』がかなり気になっており、何処で買ったか聞きたかったが、ボス戦後は主人公同様に疲れ切ってしまったので、聞けずじまいで解散してしまった。後から気づき、落ち込んでいる所をウサ丸が慰めてくれた。
「キュキュ!(元気出してご主人!)」