この町の噂
皆さん、はじめまして。文章が拙い部分もありますが、どうかよろしくお願いします。
この町には、十年前から、奇妙な噂が流れている。それは、人が居なくなったりとか、突然、刃物で切ったような跡が建物についたりとか。だが、それはあくまで噂。俺はそんなもの、信じていなかった。だが、オレは今日、その噂を信じることになり、そして、その噂の正体を知ることになる。
7月の朝、標識に黒須と書かれた家から、一人の男が出てくる。黒の制服を着用し、バッグを背負っているところから、高校生だろう。
「英!折りたたみ傘、持ってかないの?」
その男子高校生の名は英。黒須英だ。そして、彼を呼んだのは、彼の母親だろう。
「いいよ!遅刻しそうだからいくね!」
そう言って英は走っていった。それを見ながら、彼の母は、「今日の午後の降水確率、80%何だけど」とぼやいた。
そして学校。オレは教室のドアを開け、席に着席する。そしたら、自分の席の前にいる男子高校生が話しかけてきた。
「なぁ、知ってるか?今日、1年に転校生がやって来るってよ!」
「マジ?」とオレは返す。
「マジマジ!しかも結構可愛いらしい。」
と言うと、別の男子高校生が入ってきて
「でも翔飛、おまえには彼女がいるじゃん。」
「バッ、そんなんじゃねぇよ!」
と、翔飛は返す。
「隣のクラスの銀鏡さんだろ?」
とオレは翔飛をからかった。
「おまえまで!」と翔飛は返す。
そして午後、時がたつとともに、雲が広がり、そして雨が降ってくる。
「うわ、雨だ」
オレは窓を見て呟いた。そしてそれは翔飛にも聞かれていたようで、
「なんだよ、お前まさか傘持ってきてねぇの?」
「あぁ。頼む!帰るとき、お前の傘に居れてくれ!」
手を叩いてそう願ったが、
「やーだよ。誰が男と相合傘なんかするか」
と返された。
そして放課後、オレは、どうやって帰ろうかと悩んでいた。すると、隣の下駄箱から、
「今日は親切にありがとう。根古さん。」
と聞こえてきて、一人の女子高校生が傘を差して帰っていく。そしてそれに続くようにもう一人の女子高校生が玄関前にでる。そして傘を差して帰ろうとした。が、オレの方を見て、「あっ」と呟く。
オレは、「あっ瑠璃と返す。」
「先輩、帰らないんですか?」
瑠璃はオレに聞く。
「帰らないと言うか、帰れないと言うか、傘、持ってこなかったんだよね。」
「じゃあ」と瑠璃は言うと傘を開き、
「一緒に帰りますか?」
と提案する。
オレはその提案に乗り、瑠璃の傘にいれてもらった。
下校中、オレは、
(先輩、か…)
そんなことを考えていた。オレと瑠璃は幼なじみで、オレが中2の頃までは、普通に話していた。だがある日突然、瑠璃はオレのことを「先輩」と言ったり、敬語になったりした。(なにかあったのかな)とオレは考えを巡らせるが、一向に答えは見えてこない。
端から見れば、二人は彼氏彼女の関係に見えるだろう。だが、彼らの会話は弾まないどころか、話さない。傘の中に、気まずい空気が流れる。そして、ある男が、彼らを見て、
「アイツら…羨ましいなぁ…」
と、親指の爪を噛みながら呟く。
「行けぇ!」
と男は前方にカードの束を出す。すると、そのカードから、4本の腕に2つの斧を持った、2mはあるであろう大きさをした蝿のようなバケモノと、3mほどのカニのようなバケモノが出てくる。
「危ない!」
オレは叫んで、瑠璃に向けて手を出し、瑠璃をオレの方に引っ張る。
というのも突然、瑠璃の後ろに蝿のようなバケモノが来たのだ。しかも、その蝿は、斧で斬ろうとしていた。
オレは周りを見渡す。オレたちを囲むように蝿がいる。
「先輩、これって…」
「わからない。けど、穏やかじゃなさそう!」
蝿がその斧でオレたちを襲おうとした。
その時!長く、大きいものがその蝿に向かって突っ込んできた!その長く大きいものは、まるで、東洋の龍の見た目をしていた。
オレたちは驚くが、そんなことをしている場合じゃない。
「とにかく逃げよう!こっちだ!」
オレは瑠璃の腕を引っ張り逃げる。そして、路地裏に入る。
すると瑠璃は
「先輩、この町の噂って、知ってますか?」
と問いかける。急にどうしたと思ったが、
「この町の噂って…まさか!」
オレは瑠璃の言ってることがわかった。アイツらが、この町に流れている奇妙な噂。突然人が居なくなったり、刃物で斬ったような跡が残ったり…それの根元!
瑠璃はこくっと頷く。
すると
「オイオイオイ、羨ましいなぁ!」
と聞き慣れない声が聞こえる。その声のした方を向くと、中年くらいの、小太りな男がいた。
「やっちまえ!」
その男がオレたちに人差し指を向けると、カニのバケモノが建物を破壊しながらオレたちに襲いかかる!
「くっ、」
オレたちは逃げようとするが、間に合わない。
だが!蝿のバケモノに突っ込んできた東洋の龍が、カニに頭突きを放つ!だが、
「なんだぁ、コイツ?」
と、男は言い、カニのバケモノがハサミで龍を持ち、建物に叩きつけられ、地面に落ちる。
その音にオレは思わず振り返る。
よく見るとその龍はひどく怪我をしている。思えば、オレがアイツと初めてあった時も、かなりの怪我をしていた。
「先輩!」
オレはカニのバケモノに向かって走り出す。
「先に逃げてて!」
オレは瑠璃に返し、そしてカニのバケモノの足にしがみつく。
「オイオイ、コイツにかなうと思ってんのかぁ?おめでたいヤツだな!」
その声と同時に、カニは足を振り、オレを建物に叩きつける。そして、地面に落ちる。
「まずはお前からだな」
と男が龍に言う。
男の周りに蝿が集まり、カニがハサミを動かしている。
オレは、
「お前、ずっとこの町を守り続けてたんだな…」
と龍に話しかける。
もしこの町にこのバケモノと、この男ような者いたのなら、きっともっと、この町の現状はひどいことになっていただろう。
「だから…オレは…お前を守る!」
最後の力を振り絞り、オレは立ち上がり、龍の前に立つ。
「ふん。お前が先に死にたいのか?だったら、望み道理にしてやるよ!」
蝿の斧とカニのハサミがオレに襲いかかる!
その時!
「グォォオオォォォ!!!!」
と龍が吠える。すると、蝿はその咆哮に怯み、そして耐えきれず消える。カニはその咆哮に怯む。オレはその咆哮に振り返る。
そして、龍は光に包まれ、バラバラの60枚のカードになる。
「これは…」
オレはその中の1枚のカードを掴む。そこにはその龍と、『怒帝エンシ』と描かれていた。
そして、60枚のカードが束になり、オレはそれを掴むと、頭の中に映像のようなものが流れてくる。オレはその映像の通りに、カードの束を男の前に持ってくる。男は、警戒しているのか、ビクッと、体を動かす。
すると、世界の色が、反転した。
最後まで読んで下さりありがとうございます。コメントで、「ここはこうしたほうがいいよ」と書いてくだされば助かります。