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第九十六話

レンタカーの受け取り場所に歩いていると鈴音から「そういえば」と声がかかった。


「今回の旅行は基本的にあんたの名前で予約してるからね。」


「そうなのか?」


「ええ、珍しい名字だしそのほうがいいと思ったのよ。」


受け取り場所に着くと俺たちが借りるコンパクトカーとレンタカー屋の従業員らしい人がいた。

従業員から説明や注意事項を聞いて受け取りを終えた俺たちは後ろに荷物を積み込んだ。

基本的に俺が運転をするので運転席に座ると助手席に鈴音が座る。

もちろん車にナビは付いているがプランを考えた鈴音が前に座ったほうが都合がいい。

彩乃と伊佐は後ろに座るがタイミングによっては助手席に座ったりするらしい。


「まずは何処に向かえばいいんだ?」


「一応みんなで相談しながら決めたいんだけど最初はウミカジテラスってとこはどうかしら?」


鈴音は持ってきていたガイドブックを俺に見せてきた。


「ふーん。いろんな店があるんだな。近いのか?」


「車で十分ぐらいみたいよ。」


「じゃあまずはそこに行ってみるか。」


鈴音はガイドブックを後ろの二人に渡してナビを設定する。

後ろの二人もガイドブックを見ながら盛り上がる。


「景色も良さそうなところですねー。」


「いろんなお店があって楽しそうだね。」


反対意見もなさそうなのでそのままナビに従って走っているとすぐに到着した。

駐車場に車を止めて歩くことにした。


「ほとんどの店でテイクアウトが出来るみたいよ。テラス席もいっぱいあるからそれぞれで食べたい物を買ってきてテラスで食べましょ。」


みんなでスマホで店を調べたりゆっくり歩いたりしながら食べたい物を買ってテラス席に座った。

女性陣は綺麗な海をバックにして買った物や自分たちを写真に収めている。

俺はあまり写真を撮らないしSNSも見るぐらいしかしないが三人は投稿もしているのでその素材にするんだろう。


「全員でも撮るからあんたも入りなさいよ。」


三人のスマホで四人の写真を次々にセルフタイマーで撮ったりツーショットで撮ったりと撮影だけでそれなりの時間がかかった。

買った物を分け合ったりしながら食事を楽しんでいるとこえをかけられた。


「あの、すみません。なにかの撮影ですか?」


見ると女子高生らしい二人組だった。

俺たちの中で唯一社交性の高い鈴音が返事をする。


「いえ、普通に大学の友達との旅行ですよ。」


「えーっ、芸能人の人じゃないんですか?」


芸能人の人ってなんだよ!と思ったが口には出さない。

俺が話してもややこしくなりそうだし鈴音に任せる。


「違いますよ。回りにカメラもないでしょ?なんでそう思ったの?」


「すっごい美男美女で男性一人に女性三人だからドラマの撮影かと思ったんですけど違ったんですね。ごめんなさい。」


二人組は離れながら「ほら、やっぱり違うじゃん」「でもあんな全員整った一般人なんて考えられないよー」「でもスタッフみたいな人もいなかったしやっぱり芸能人じゃないんだよ」「けどなー、見た?あんな美人三人にひけをとらない男なんて普通居ないって」などと話している。

沖縄に着いてすぐなのに変な勘違いをされてしまった。

この後も同じような事があるかもしれないと思うと嫌になるが三女神との旅行なので仕方ないと諦めることにした。


「さて、今からどうする?定番の国際通りにでも行くのか?」


「いや、国際通りはまだかな。来ていきなりお土産とか買っちゃったら荷物増えるし行くなら旅の後半のほうがいいでしょ?」


「なるほどな。それじゃ今日は他に何処に行くんだ?」


「予定してるのは首里城ぐらいかな。その後はホテルまでドライブしながら気になったとこがあれば寄ってみたらいいかなって。」


「ん?首里城って前に火事になってなかったか?なんか正殿とかが焼け落ちたって聞いたような。」


「そうよ。それで今は復興作業中らしいんだけどね。それでも有名なので守礼門とか見るとこあるのよ。それに復興工事とかも見れるから面白そうじゃない?」


「たしかに復興途中を見れるのは貴重かもしれないな。二人もそれでいい?」


「はーい。」


「彩乃も首里城行ってみたい。」


「じゃあ決まりね。車に戻りましょ。」


車に戻り鈴音がナビを首里城に設定している。


「ここから首里城は遠いのか?」


「那覇市内にあるみたいだからそんなに遠くないみたいよ。」


「そうなんだな。今日は他にはどっか行くのか?」


「今のところ他は予定してないわよ。みんなでしたいこと話しましょう。ホテルのチェックインは遅めでも大丈夫だからね。早めにチェックインして泳いでもいいし。」


「そういえば何処のホテルなんだ?」


「初日は恩納村っていうリゾート地にあるホテルにしたわよ。明日からはもっと北のほうのホテルにしてるけどね。夜はホテルのレストランでもいいし、よさそうな店があったらそっちでもいいわよ。朝食だけ付いてるプランにしてるからね。」


「お前のプランニング完璧だな。」


「当たり前でしょ。高いお金払って旅行するんだからいい旅にしないとね。」


鈴音は胸を張ってドヤ顔をしている。


「鈴音さんに計画してもらってよかったです。スマホで晩ご飯のお店探してみますね。」


「彩乃は首里城の後でどこか行くとこ調べてみるね。」


俺は運転、鈴音は俺の話し相手をしながら周りの景色を見ている。

彩乃と伊佐はそれぞれスマホで調べものだ。

沖縄に着いてまだ数時間だが最高の旅行になる、そんな気がする数時間だった。

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