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第九十四話

駅に着くと三人は先に来ていた。


「三人とも早いな。おはよう。」


「おはよう。優也……えっ?」


「「えっ?」」


あいさつを返してきた鈴音が俺を見て固まり、他の二人も同じように固まった。

理由はわかっている。

今日の俺は眼鏡をかけていない。

今回の旅行では海やプールに行くだろうしレンタカーも借りる予定なので眼鏡が邪魔になりそうだった。

そもそも隠キャに見せるための眼鏡なのでないほうが楽なのだ。


「今回の旅行は眼鏡なしで行くことにしたんだよ。」


「そこじゃないわよ。いや、それもあるんだけどあんた髪どうしたのよ?」


びっくりした表情の鈴音が聞いてきた。

彩乃と伊佐も同じように表情でコクコク頷いている。

俺は先日散髪をして髪をかなり短くしている。

今までは前髪で目を隠すようにしていたし猫背でうつむき気味だったが今は背筋を伸ばし胸を張っている。

付き合いの浅い人なら俺だと気付かないだろう。


「あー、これか。沖縄で泳いだりするだろ?だから短くしたんだよ。どうせ大学の連中には会わないだろうし夏休みが終わる頃にはまた伸びてるだろ。」


「いやー、だからってあんたがそこまで見た目を整えてくるのは意外だわ。」


「三女神との旅行だからな。一緒に居るのが隠キャだとナンパな男たちが群がってきそうだから男避けの意味でも今回はこれで行くよ。」


「優也くん、格好いい。」


「はー、優也さんやっぱりイケメンですねー。これからはそれで大学行ったらどうですか?」


「なるべく目立たない隠キャで居たいんだよ。今さら大学でカッコつけても仕方ないだろ。」


「私の親友はこんなにイケメンなんだぞって自慢出来るじゃない。」


「親友の見た目でなんでお前が自慢出来るんだよ?関係ないだろ?」


「そうでもないわよ。ツレの容姿の良し悪しでマウント取るような人もけっこう居るわよ。」


「ふーん、そんなもんなのか。それよりそろそろ中に入ろうぜ。」


切符を買って朝早くて人の少ないホームに入る。

俺はリュック一つで中身も少ないが鈴音はキャリーケース2つ、彩乃と伊佐はキャリーケースと他のバッグを持っている。

始発に乗ったが駅と同じく人も少ないので大荷物でも他に迷惑にならなそうで助かった。


「電車降りるときにはみんなのバッグ俺が一つは持つから渡してくれ。」


「私はキャリーケースだから大丈夫よ。」


「優也くん、彩乃持てるよ?」


「アタシも大丈夫です。」


「いや、俺はリュックで手ぶらだし二人のバッグと鈴音のキャリーケースを持っても余裕だしそのほうが移動もしやすいだろ。」


三人は遠慮しているのか渋っていたが説得してなんとか納得させることが出来た。

俺は体力には自信があるしそのほうが間違いなく移動もスムーズになるだろう。


羽田空港に到着したが平日でもさすがに人が多い。

話した通り三人のバッグを受け取って四人で空港に入る。

俺はほとんど来たことがないので施設の場所や飛行機に乗るためにどこでなにをやるのかも理解していない。

今回の旅行は鈴音がチケットやホテルの予約などの準備を全てやってくれている。


「いやー、鈴音さんが居てくれて助かりました。アタシ飛行機乗ったことなくてどうすればっていいのか全然わかりません。」


どうやら伊佐は俺と同じらしい。


「私も慣れてるわけじゃないけど色々調べといたからね。まだ飛行機に乗るまで時間があるけど搭乗手続きは先にしましょうか。荷物預けといたほうが楽だしね。」


鈴音の言う通り搭乗手続きをすることにした。

JALのカウンターの近くまで来て荷物を整理する。


「俺はリュックだから預けるのも面倒だしそのまま持ってるよ。」


「私はキャリーケースの中に機内に持ち込む用のバッグがあるからそれを出すわ。けど預けられない物があるから気をつけてね。」


さすが鈴音、段取りも完璧だった。


「アタシはキャリーケースだけ預けてバッグは機内に持って入ります。」


「彩乃は全部預けようと思う。」


「彩乃、持ち込む物ないの?」


「うん、二時間半ぐらいだし飲み物だけ持ってたら大丈夫。」


鈴音のバッグの整理も終わってカウンターに荷物を預けに行く。

スムーズに預けることが出来て荷物が少なくなった。


「今からどうする?ちょっと腹減ったけど沖縄に着いてから色々食べたいしなぁ。」


「そうねぇ、いろんなレストランがあるけど搭乗までのそこまで時間ないからカフェでも入る?ちなみにここって温泉もあるらしいわよ。」


「夏に入ろうとは思わないな。そもそもそんな時間もないし。」


彩乃と伊佐も賛成したのでカフェに入ることにした。

俺はサンドイッチとコーヒー、鈴音はスムージー、彩乃は紅茶、伊佐はバケットサンドとコーヒーを頼んだ。


「飛行機の座席はどうなってんの?」


「三席しか繋がってないから一人は通路を挟むようになるのよね。」


「じゃあ俺がそっちに座るよ。」


「いや、いいわよ。私が座るわ。もう座席は三人で相談してるからあんたは気にしなくていいわ。」


「そうなのか?」


「アタシが窓際で彩乃さんが通路側で優也さんは真ん中に座って下さいね。」


「そこまで決めてんのか?」


「どこに座るかで時間かけるの嫌だから先に決めたの。」


たしかに彩乃の言う通りで飛行機に乗ってから決めたりしていたら他の乗客に迷惑だろうし沖縄でもその都度決めてたら時間が勿体ない。

そんな話をしていると搭乗時間になったので搭乗口に向かうことにした。

搭乗口前でチケットと座席表でどの辺か確認して飛行機に乗り込んだ。

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