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第九十話

翌日、今日は鈴音のマンションに行く予定だ。

夕方から行くつもりなので昼間は特にすることもなくアパートでダラダラしていると電話が鳴った。

スマホの画面を見ると里佳からだった。


「もしもし。」


『もしもし、優也まだ鈴音のとこに行ってない?』


「まだ家に居るよ。」


『じゃあちょっと話せる?』


「鈴音んちに行くのは夕方からだから大丈夫だよ。」


『了解。早苗なんだけど私が帰ったときには早苗も家にいたし、内心はわからないけど思ったよりは元気に見えたわ。』


「それはよかった。」


『まあやけ酒は飲んだけどね。色々、愚痴も聞いたわよ。優也のことも言ってたけど内容は言わないでおくわね。』


「そのことも言わなくてよくないか?」


『まあいいじゃない。愚痴って落ち着いたからもう大丈夫だと思うしね。優也は今まで通り接してやってね。』


「わかってるよ。」


『もちろん私ともこれからも友達としてよろしくね。じゃあね。』


「ああ、じゃあな。」


電話を切ったが里佳が電話をしてくれてよかった。

早苗ちゃんのことは気になっていたが俺から連絡はしにくかった。

次に早苗ちゃんに会ったときは友達として普通に接することにしよう。



夕方になり鈴音のマンションにやってきた。


「いらっしゃい。」


「おっす。お邪魔します。」


「とりあえず座ってて。ビールでも飲む?」


「いや、今はコーヒーにしとくよ。」


「わかったわ。」


俺がソファに座るとすぐに鈴音がコーヒーを出してくれた。


「ありがとな。」


「すぐに出来るからちょっと待ってて。」


「ほいよ。」


コーヒーを飲みながらスマホを弄っていると鈴音から声がかかる。


「出来たから食べましょ。」


俺はコーヒーカップをシンクに持っていってからテーブルにつく。

テーブルの上を見るとトンカツだった。

俺が揚げ物が好きなことを知っている鈴音は俺が来る日は比較的高確率で揚げ物にしてくれている。


「旨そうだな。」


「ヒレとロースの二種類あるからね。」


「わざわざ二種類作ってくれてるのか?」


「両方のお肉を勝ってきただけで調理方法が変わるわけじゃないからね。分厚くて小さめなのがヒレだからね。じゃあいただきます。」


「いただきます。」


まずはヒレから食べてみる。

あんまり部位には詳しくないが脂が少ない肉のようだがほどよい歯応えで旨い。

ロースのほうも食べてみるとこちらは脂が乗っていて肉も柔らかい。


「両方旨いな。」


「どっちが好き?」


「どっちかと言うとロースかな。」


「やっぱりそうでしょうね。男性なら脂身の多いロースでしょうね。」


「だな。」


「それで、そろそろ昨日のこと聞いていい?」


「ああ、結論から言うと二人ともこれからも友達ってことになったよ。」


「今までと一緒じゃないのよ。」


「いや、だからな、二人には恋愛対象としては見れないって言ったんだよ。」


「そこまで言ったの?」


「一応な。里佳は妹と競うのは嫌って言っててこれからも友達って話したからな。」


あの時の里佳は鈴音には勝てないとか言ってたけどそのことは言わないほうがいいだろう。


「たぶんもう里佳と二人で遊んだりすることはないと思うよ。」


「友達なんだから二人で遊んでもいいんじゃない?」


「それはそうなんだけど俺の事を異性として意識してた相手と二人で遊ぶのはちょっとな。」


「…………」


鈴音は黙ってなにかを考えている。

自分と俺の関係を考えている気がするがそこは気付かないフリをしてそのまま会話を続ける。


「まあ里佳とはそんな感じだからお前も俺と里佳とは友達として普通に接してくれ。」


「あんたがそう言うなら私は気にしないわね。」


「ああ、ビール貰うぞ。お前も次のいる?」


俺は席を立ち冷蔵庫に向かう。


「私にもビール取って。」


冷蔵庫を開けてビールを二本取ると一本を鈴音に渡して席に戻る。


「それで妹さんのほうはどうなったの?あんたの事を追いかけてうちの大学に入ったんでしょ?」


「俺を追いかけてじゃないと思うぞ。それも理由の一つかもしれないけど。さすがにそれで大学は決めないだろ?」


「どうかしらね?私の知り合いには私がこの大学受けるってだけで同じ大学受けた人が居るわよ。恋愛うんぬんじゃなくて親友としてだろうけど。」


「将来やりたいこととかがなければどこでもたいしてかわらないからな。あのコがどういう理由でうちの大学受けたかはわからないけど昨日の夕方告白されたよ。」


「ごめん。プライベートな話だし私聞かないほうがよかったかな?」


「いや、秘密にしないといけないわけでもないし話すよ。お前が誰かに言いふらすようこともないだろ?」


「そんなことするわけないでしょ。」


「じゃあいいだろ。真面目に告白されたけど断ったよ。バイトで知り合った仲のいい後輩で妹みたいにしか思えないからな。」


「ずっとそうとは限らないんじゃない?」


「もうあの姉妹を恋愛対象に見ることはないよ。どう説明したらいいかわからないけどな。」


「そのコは大丈夫なの?これからもバイトとか大学で会うこともあるでしょ?」


「俺としては普通に友達としてやっていけたらなって思ってるよ。向こうが嫌なら近付かないようにするしバイトも辞めてもいいしな。」


「ふーん。まっ、なんにしても一区切りついたわけね。」


ご飯を食べ終わって鈴音はシンクで洗い物を始め、俺は使った食器をシンクに運ぶ。

運び終わった俺はなにかすることがないか鈴音に聞いてみた。


「テーブル拭いといてくれない?」


「はいよ。」


「終わったらゆっくりしてていいわよ。」


俺はテーブルを吹いてからソファで鈴音の洗い物が終わるのを待つことにした。

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