第八十七話
その後もいろんなアトラクションで遊んでいると昼になったのでご飯を食べることにした。
何ヵ所かレストランもありそれぞれ違ったメニューだか相談してハンバーガーショップに入ることにした。
朝、奢ると約束しているので二人を席に座らせて俺がカウンターで買ってくることにした。
「どれにする?」
「わたしはチーズバーガーでお願いします。」
「私はどうしよ。優也はどれにするの?」
「俺はテリヤキバーガーかな。」
「私、それとアボカドバーガーで迷ってたのよね。優也、一口くれない?」
「いいぞ。俺も一口くれ。」
「了解。じゃあアボカドバーガーにするわ。」
「二人ともセットでいい?」
「はい。セットでお願いします。わたしも一口いいですか?」
「いいよ。ジュースはなににする?」
「わたしはアップルジュースでお願いします。」
「私はレモンティーにするわ。」
「わかった。ちょっと待っててくれ。」
俺はカウンターに向かい注文する。
注文が終わると呼び出しブザーを渡されたので席に戻った。
「あれ、里佳は?」
「今のうちにトイレに行っとくって言ってました。」
「そっか。」
席に座り雑談していると里佳が帰って来た。
「おまたせ。」
「まだ注文したの出来てないけどな。」
そこでブザーがなったのでカウンターに向かう。
ちょうど里佳が座る前だったので二人で取りに行くことにした。
「お待たせしましたー。こちらがご注文の品です。」
注文品を受け取って席に戻る。
「「いただきます。」」
三人でそれぞれのハンバーガーを食べる。
テリヤキバーガーといえば定番の味だがチェーン店の物と違ってボリュームもあり旨い。
まあ値段も遊園地仕様で高額だが。
「旨いな。じゃあ里佳一口どうぞ。」
「ありがと。」
里佳は俺のハンバーガーを一口かじる。
「うん、美味しいわね。私のもどうぞ。」
「サンキュ。」
俺は里佳のアボカドバーガーをかじる。
こちらはチェーン店にはあんまりないので新鮮に感じる。
自分の好みで言えばテリヤキのほうが好きだがこれはこれで旨い。
今度は早苗ちゃんにあげるためテリヤキバーガーを差し出す。
「一口どうぞ。」
すると顔を赤らめて下を向いてしまった。
どうやら関節キスが恥ずかしいようだ。
里佳は男慣れしてるみたいで気にもしてなかったようだが早苗ちゃんは違うらしい。
俺は子供の頃に食べ物がなかなか手に入らない環境も経験していて誰の食べ掛けだろうと貰えば食べていたのでそういう事を気にしたこともない。
少しすると早苗ちゃんが顔を上げて俺のハンバーガーにおずおずとかじりついた。
「……美味しいです。…優也さんもどうぞ。」
顔を赤くしたまま小声で言うと俺の顔の前にハンバーガーを持ってきたので一口もらう。
「うん、チーズバーガーも旨いね。」
「……はい。」
姉妹でも食べさせ合いをしているとやっと落ち着いてきたのか早苗の顔も元に戻っていた。
食べながらテーブルに案内図を広げて次に行くとこを話し合う。
「やっぱこれは外せないでしょ。」
里佳が案内図の一点を指差して言う。
この遊園地のホームページの最初の画面にも乗っているアトラクションだった。
「当然それにも乗るよな。」
「わたし怖いかも。今度はわたしが一人で乗るんでしょ?」
「優也と隣で乗っていいわよ。私は一人で大丈夫だし。」
「お姉ちゃんありがと。優也さんよろしくお願いします。」
「うん。」
「じゃあこっちを通ってこの辺の乗り物に乗りながら行けばよさそうね。」
「そうだな。それじゃそろそろ行くか。」
「あっ!ごめんなさい。ちょっとトイレに行ってきていいですか?」
早苗ちゃんがトイレに行くというので立とうとした席に座り直し待つことにした。
早苗ちゃんが席から離れたのを確認した里佳が俺に話し出す。
「ねえ、優也は早苗と付き合うつもりはないの?」
「なんだよそれ。本人抜きで話すことか?」
「早苗が居たら話せないわよ。早苗が優也のことを意識してるのは気付いてるんでしょ?」
「まあ好きと憧れの間ぐらいなんじゃないかとは思ってるよ。」
「もう好きになってると思うわよ。」
「だとしてもお前が言うなよ。だいたいお前も俺のこと意識してただろ?」
「まあね。それを確認したいのもあって今日も一緒に遊びに来たんだけどね。でもさすがに妹と同じ男の取り合いとかしたくないのよ。」
「それでお前は俺を意識しないって?」
「やっぱり意識してたけどライバルは早苗だけじゃないしね。優也の周りには三女神もいるじゃない。鈴音とも仲良くなってわかったけどあのコには全く勝てる気がしないわ。他の二人はよく知らないけど私は勝てない勝負はしない主義なの。」
「だから早苗ちゃんのサポートに回るつもりか?さっき席を譲ったみたいに。」
「まあね。私と優也はこれからも友達。それは変わらないわ。早苗とどうなってもね。今は優也の答えは聞かないけど早苗のことも真剣に考えてあげてよ。」
「……わかった。」
「ありがと。しかし優也ほどのハイスペックな男はなかなか居ないだろうな。」
「お前の俺に対する評価って妙に高いよな?」
「過大評価じゃないと思うわよ。」
そこで早苗ちゃんが戻ってきた。
「なにを話してたんですか?」
「私の妹は可愛いって言ってたのよ。」
「ちょっとお姉ちゃんなに言ってるのよ。」
「あはは、行きましょ。」
レストランを出て次のアトラクションに向かうことにした。




