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第八十五話

六月末、里佳から電話がかかってきた。


『もしもし優也、今大丈夫?』


「大丈夫だけどどうかしたのか?」


『前に早苗が三人で遊ぼうって言ってたじゃない?』


「言ってたな。」


『それで早苗がどこに行くか考えてるんだけどなかなか決まらないみたいなのよね。それで私と優也の意見も聞きたいみたいなのよ。』


「俺は二人の行きたいとこでいいぞ。」


『それが難しいのよ。早苗を含めた三人でなんて遊んだことないからさぁ。』


「俺も姉妹二人と遊んだことなんてないぞ。」


『そりゃそうよね。ねえ、優也が誘える男友達とか居ないの?』


「ちょっと前まで鈴音以外に友達が居ない隠キャだったんだぞ。居るわけないだろ?」


『隠キャだったってもう過去形なのね。』


「今さら隠キャとは言えないだろ。里佳の男友達でも誘ってみたらどうだ?」


『私しか知らない男連れて行ってもダメでしょ。私の男友達は変な奴が多いし早苗に紹介したくないしね。』


「変な奴なら友達になるなよ。」


『最近は遊んだりしてないからね。それよりどっか思い付かない?』


「うーん、三人でだろ?スポッティとか?」


『前に二人で行ったとこはちょっとどうだろ。映画とかは?』


「映画って黙って見るだけだし遊びとしてはどうかな。二時間ぐらいだしその後どうするってなるだろ?」


『そうよね。遊園地とかどう?』


「いいんじゃないか。二人乗りのアトラクションは微妙だけど三人で乗れるのもあるしな。」


『じゃあそれで早苗と話してみるわね。今週末の土日のどっちかでいい?』


「バイトもないから大丈夫だ。」


『わかったわ。決まったら私か早苗が連絡するわね。じゃあね。』


電話を切って考える。

村田姉妹はホントに三人で遊びに行くつもりらしい。

友達として遊ぶのは全然いいが二人がそれ以上の関係になることを考えていたら面倒なことになりそうだ。

二人とも俺をただの友達と思ってるなら問題ないが異性として全く意識してないってこともないだろう。

最近の俺の周りには女性が多すぎる。

もし告白でもさせることがあればはっかりしないといけないだろう。


翌日、早苗ちゃんから電話がかかってきた。


『優也さん、お疲れ様です。』


「お疲れ様。昨日、里佳から電話があったよ。」


『はい。三人で遊びに行ってみたいと思ったんですけど決まらなくてお姉ちゃんに相談したんです。』


「里佳と話して遊園地にしようかと思ったんですけどいいかな?」


『楽しみです。隣町にあるとこですよね?』


「うん。日帰りだしTDLだと遠いし人も多くてあんまり遊べないだろうから近くのほうがいいだろうね。」


『そうですね。わたしもそう思います。それで土曜日でいいですか?』


「いいよ。じゃあ駅で待ち合わせかな?」


『はい。早く行きたいから九時で大丈夫ですか?』


「了解。頑張って起きるよ。」


『当日、モーニングコールしましょうか?』


「してくれるならお願いしようかな。」


『わかりました。楽しみにしてますね。じゃあ失礼します。』


早苗ちゃんは声も弾んでいてホントに楽しみにしているのがわかった。

もちろん俺も楽しみではあるが同時に不安でもある。



夜、鈴音に電話した。


「おっす。」


『どうしたの?あんたからかけてくるなんて珍しいわね。』


「まあな。今週は日曜日に行ってもいいか?土曜日は予定ができたから。」


『わかったわ。予定ってバイトじゃないの?』


「いや、里佳たちと遊びに行くことになってな。」


『あら、そうなの?って、たちってことは里佳の友達も一緒なの?里佳の友達であんたが知ってる人いたの?』


「いや、それが友達じゃなくて里佳の妹も一緒に遊ぶんだよ。」


『里佳の妹さんってあんたのバイト仲間だったわよね?もしかして三角関係ってやつ?』


「………」


『って否定しなさいよ。…えっ?マジなの?』


「三角関係ってわけじゃないけど二人とも全く意識してないわけじゃなさそうなんだよな。」


『あんたはやっぱり天然たらしよね。ハーレムでも目指してんの?』


「んなわけねーだろ。もし告白されたら断るよ。」


『二人とも?』


「ああ、二人のどっちとも付き合うつもりはないからな。」


『はっきり言うわね。』


「友達としてなら好きだけど異性としては見てないからな。」


『それって早めに言っといたほうがいいんじゃない?本気で好きになられたらもめるわよ。』


鈴音の言う通りかもしれない。

告白されてないからいいかと思っていたが友達としてしか見れないと言っておいたほうが良さそうだ。


「土曜日、遊んだときにはっきりさせることにするよ。」


『それがいいわよ。…ねえ、あんたって誰とも付き合うつもりがないわけじゃないのよね?』


「ああ、ないわけじゃなくてそういう対象として見てないってだけだよ。里佳はお前の友達だから仲良くなったけど俺の性格には合わないと思うし、妹のほうはバイトの後輩でそれこそ俺にとっても妹みたいなもんだからな。」


『ならいいわ。それでどこに遊びに行くの?』


「遊園地に行く予定だよ。」


『ふーん、三人で行くのは微妙な気がするけど。』


「かもな。でも三人で遊ぶのにちょうどいい場所ってものなかなかないだろ?」


『…それもそうよね。普通、男一人と姉妹二人の三人で遊びに行くシチュエーションもないわよね。』


「だよなぁ。まあ今回が最所で最後になると思うよ。」


『そう、また日曜日にどうなったか教えてちょうだい。』


「わかった。じゃあまた日曜日にな。おやすみ。」


『おやすみ。』


鈴音と話してすっきりした。

遊園地で二人がなにかしら行動を起こすかもしれないが友達というスタンスを変えるつもりはない。

そのことはどこかで伝えることを決めて土曜日の朝を迎えた。

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