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第八十話

連休もあと明日一日となった今日は伊佐と遊ぶことになっていた。

朝から俺のアパートに来るということなので鍵を開けて待っている。


コンコン


玄関の扉をノックする音が聞こえた。


「どうぞー。」


「お邪魔しまーす。優也さん、おはようございます。」


「おはよ。早いな。」


「そうですか?一応、遠慮してゆっくり来たつもりなんですけど。」


「俺にとっては早いんだよ。んで?今日はなにするんだ?家でまったりでいいのか?」


「よくないですよ。せっかくの連休なんですからどっか出掛けましょうよ。」


「連休だからどこも人が多いぞ。旅行先が見つからなかったぐらいだしな。」


「そうなんですよね。予定立てるのが遅すぎました。まあ鈴音さんも同じだったみたいですもんね。」


「たしかにな。…………」


「どこ行きましょうかね。」


「……ちょっと待て。」


「なんですか?」


「鈴音も同じってなんで鈴音との旅行のこと知ってんだよ?」


「え?なんでって鈴音さんか聞いたからに決まってるじゃないですか。そもそも鈴音さんが優也さんを旅行に誘うって聞いたからアタシも行こうと思いましたし。」


「え?お前らそんなに仲良くなってんの?」


「知らなかったんですか?アタシと鈴音さんと彩乃さんで連絡先交換してますし、最近は三人でLINEグループ作っていろいろ話してますよ。」


「マジで?いつの間にかそんなことになってんだよ?」


「大学で三股疑惑の噂がある優也さんですからね。三人で情報共有しといたほうがいいんじゃないかってことになりまして。」


俺のため、みたいな言い方をされるとなにも言えなくなる。

どんな内容のやり取りをしているのか気にはなるが俺が聞いたところで教えくれないだろう。


「あんまり変な情報流すなよ。」


「大丈夫ですよ。鈴音さんが優也さんと旅行に行く話を大学でしたとしてアタシも大学で優也さんを旅行に誘ったりして他の学生に聞かれたらまた噂されますよね?そんなことを避けるためにも情報共有は大事なんです。」


「俺のプライバシーがないじゃないかよ。」


「モテる男性はつらいですね。」


「そんなんじゃないだろ。まあお前らが連絡取り合うのを止める権利もないしこの話はもういっか。今日はどうする?」


「優也さん、潔いですね。」


伊佐は俺のあっさりした態度に感心していた。

この件に関しては俺に出来ることはなにもないので放置することにしただけなのだが。


「カラオケに行ってみませんか?」


「俺、カラオケあんまり行ったことないし歌を知らないからなぁ。」


「ダメですか?」


「ダメじゃないけど俺はほとんど歌えないからお前一人で歌うことになるぞ。」


「少しは歌って下さいよー。とりあえず行ってみましょう。」


「わかったよ。準備するからちょっと待っててくれ。」


俺は着替え始めたが伊佐は普通に待っている。

最初の頃は目の前で着替えたら止められたり怒ったりしていたのだが最近はスルーである。

それが良いことなのか悪いことなのかはわからない。


「髪型はセットしないんですか?」


「しないし眼鏡もかけるからな。」


「えー?イケメンフォームになりましょうよー。」


「断る!」


着替え終わり、二人で家を出る。

歩いて駅の近くのカラオケボックスに入る。


「優也さん、二時間でいいですか?」


「お前が二時間歌い続ける自信があるならいいぞ。」


「少しは歌ってくれますよね?」


「ホントに歌を知らないから少しだけな。」


「じゃあ二時間にしましょう。」


店員に案内され二人用の狭い部屋に入る。


「飲み物はアルコールにしますか?」


「昼から飲む気にならないからソフトドリンクにしとくよ。」


二人ともソフトドリンクにした。

伊佐は早速、曲を入れてマイクを手に取る。

流行りの曲を把握しているらしく詳しくない俺でもわかる曲を連続で歌っている。

特別に上手いわけではないが下手でもなくノリがいいので大人数で来て伊佐が歌えば盛り上がるだろうなと思った。


「そろそろ優也さんも歌いましょー。」


「そうだな。」


俺は最近の曲はわからないので少し前のカラオケの定番曲を歌った。


「優也さん、めっちゃ上手いじゃないですか!イケメンフォームで流行りの曲歌ったらそれだけで間違いなくモテますよ。」


いきなりヨイショしてくる伊佐だった。


「これぐらい普通だろ?」


「いやいや、なに言ってるんですか?どこがカラオケ苦手なんですか?謙遜したら嫌みに聞こえますよ。これ歌えます?」


伊佐は勝手に次の曲を入れてきた。

俺が最近の曲は知らないと言ったからか今歌った曲と同じ時期に売れた曲だった。


「曲を知らないから歌えないって言っただけで苦手とは言ってないよ。これなら歌えるかもだな。」


一部わからなくて歌えない場所もあったがなんとか歌いきった。


「優也さん、最近の曲覚えて下さいよー。」


「あんまり興味ないからな。それより曲入れろよ。」


「あっ!デュエットしません?」


「俺の知ってる曲があればいいけどないんじゃないか?」


いくつか伊佐が入れてやっと俺がわかる曲がありデュエットをした。

その後も伊佐が数曲歌って俺が一曲歌うというパターンを繰り返していると時間になりカラオケは終了した。


「優也さん、昼なにが食べたいですか?一回帰って作ってもいいですけどどうします?」


「帰って作るのは面倒だろ?一回帰るってことはまた出掛けるつもりなんだよな?」


「そのつもりです。」


「じゃあマックでも行こうぜ。」


「はーい。」


近くにあるマックで二人ともセットメニューを頼んだ。


「優也さんは今からやりたいことありますか?」


「特にないな。お前はあるか?」


「その辺のお店を見て回りたいです。」


「じゃあそれで。」


食べ終わり外に出た俺たちはアパレルショップや雑貨屋など伊佐が興味のある店を見つけては立ち寄った。

特になにかを買うこともなかったが気付けば夕方になっていて晩ご飯は伊佐が作るということで俺のアパートに帰ることにした。

次回投稿は九月三日になります。

十月から毎日投稿します。

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