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第八話

日曜日。午前中からバイトに向かった。

平日は二日ほど出勤していて土日は他のバイトメンバーが少なくて店長に頼まれたときだけ出勤している。

今日は電気製品のコーナーを頼まれたがリサイクルショップのメインの商品といえば漫画やゲームなのでそこに比べれば客も少なくて楽な現場だったりする。

午後、客の少ない時間になり休憩に入ると先に休憩しているバイト仲間がいた。


「あっ、伊庭さんお疲れ様です。」


「お疲れ様。村田さんも休憩?」


「はい。休憩一緒になるの久しぶりですね。」


「そうだね。そういえば村田さんに教えてもらった漫画面白かったから最新刊まで全部揃えたよ。」


「えー。買っちゃったんですかぁ。言ってくれたら貸すつもりだったんですよー。」


「そうかの?じゃあ勿体なかったかな。まぁ色々複線張ってる漫画だから新刊でたら読み直したいし買う価値あったかな。」


「あの漫画は春に映画化されますよ。もしよかったら一緒に見に行きませんか?」


村田さんは頬を赤らめながら聞いてきた。

大人しくてあまり自己主張しないタイプだと思っていたからちょっと驚いた。

俺みたいな隠キャと行くより同じ高校の友達と行った方がいいんじゃないだろうか。


「俺みたいなのと行くより彼氏とか友達と行った方がいいんじゃい?」


「彼氏なんていませんよ。私、地味だし誘える友達もいないんです。ごめんなさい。私なんかと行ってもつまらないですよね。」


先ほどと違って下を向き落ち込んだ表情だ。

俺に断られたからではなく友達がいないことに落ち込んでいるんだろう。

映画は一人で見に行く人もいるが俺は複数で行って後から内容をあれこれ話したいと思っている。

村田さんも同じなのかもしれない。


「そんなことないよ。春休みにやってるなら一緒に見に行く?学校始まるとバイトもあるしなかなか時間合わないだろうし。」


「ホントですか?やったー。じゃあ春休みに行きましょう。約束ですよ。楽しみです。あっ、そろそろ休憩終わりなんで戻りますね。」


村田さんは満面の笑みを浮かべて控室から出ていった。

俺なんかと映画に行くぐらいでそこまで喜ぶことはないと思うから人と一緒に行けるのが嬉しいんだろう。

そう思うことにした。

正直に言うと俺は他人の表情や仕草から感情の機微を捉えるのが得意だ。

漫画やラノベなどでよく達観した性格なのになぜか自分への好意に鈍感な主人公が居るが俺は自分に好意に敏感なのだ。

村田さんが多少の好意を抱いているのはわかっているがそれが本気なのかただの年上に対する憧れによるものなのかまではまだわからない。

ただ俺は目立たず地味な大学生活のために自分は鈍感だと思い込む。思い込むことで他人の好意に気付かないようにする。



バイトが終わりいつも通りランニングしながら帰っていたが先日女の子を助けた公園で既視感(デジャブ)を感じる光景に出くわした。

違うところは前回は女の子一人だったが今回は三人だった。

男の方は二人だが前回の人物とは違うようだ。

雰囲気的にナンパだと思うが前みたいに声を荒げているわけではないので横目で見ながらそのまま素通りしようとしたのだが男二人の間に先日の銀髪碧眼の女の子が目に入った。

思わず立ち止まってしまったがどうしようか。

一度助けてしまったのでまたゴタゴタしてるなら助けるべきだろうか。

迷っていると……


「もー。やっときたぁ。遅いよー。」


先日の女の子の両隣には茶髪のベリーショートで目付きのするどい子と真っ赤に髪を染めたショートカットの子がいて赤髪の子が親しげに話しかけてきた。

どうやらまたモメていたようで咄嗟に女の子の意図を理解して乗っかることにした。


「あれ、他の連中まだ来てないの?一番乗りって俺が滅茶苦茶気合い入ってるみたいじゃん。」


「おいおい、俺たちが先に話してたんだから横から入ってくんじゃねーよ。」


「ん?これからダチと合流して五対五でコンパなんだけど邪魔すんの?」


「ちっ、めんどくせぇな。行こうぜ。」


悪態をつきながら男たちは去っていく。

しつこい奴じゃなくてよかった。


ともかく結果的にまた助けてしまったわけでこのままスルーして帰れる雰囲気じゃなさそうだ。

やっぱり他人に関わるのはやめとけばよかったと後悔するのだった。

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素人なんで面白い話が書けてるとは思ってませんが感想や評価を参考にさせていただきたいです。

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