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第七十九話

後書きに重要なお知らせがあります。

遠慮なくいろいろ頼んで食べまくる。

食が進むと当然飲む量も増える。

鈴音も俺ほどではないがけっこうな量を食べて飲んでいる。


「あんたってハラミとホルモン好きよね。」


「ああ、俺はこの二つとビールだな。」


「私はやっぱりカルビかな。でもそろそろお腹いっぱいよ。」


「俺もそろそろ終わりかな。」


「じゃあ出ましょうか。でもまだ帰って飲むわよ。」


「そう言うと思ってたよ。」


焼肉屋を出て鈴音のマンションに向かっていると鈴音は当たり前のように腕を組んできた。


「おい、当たってるぞ。」


「なにがよ?」


鈴音はニヤニヤしながら聞いてきた。

間違いなくわざと女性特有の柔らかいものを当ててきている。


「わざと当ててるくせに聞いてくるなよ。」


「わかったるなら気にせず堪能すればいいじゃない?」


「そんなわけにいかないだろ?」


「あんた、まだ彼女居ないんだから問題ないでしょ。」


「俺に彼女が居たらやらないのか?」


「それでこんなことしたらヤバいでしょ。」


最低限の線引きはするらしい。

逆に言えば彼女が居ないからやるということはあきらかに俺へのアピールということなんだろう。

俺はなるべく意識しないように歩くことにした。

鈴音のマンションに着いてソファに座る。


「ねえ、前に言ったけど今日はとことん飲むから泊まりなさいよね。」


「あー、前に言ってたよな。……いいけど泊まるとなると緊張するな。」


「なんでよ?親友なんだからそんなおかしなことじゃないでしょ?なに飲む?いろいろ買ってるわよ。」


「ビールで頼むわ。穂かになにがあんの?」


「私はカクテルにするわ。ワインと焼酎も買っといたわ。あとウイスキーもあるからハイボールも作れるわよ。」


「あんたが飲みたいもの飲めるようしたくてね。」


「お前って気がきくよなぁ。」


ビールとカクテルを持ってきた鈴音と軽く缶を合わせて無言の乾杯をして口をつける。


「私が気を使うのはあんたにだけよ。あんたは知ってるけどほんとの私は他人にどう思われてもいいと思ってるからね。こんな私が慈愛の女神ってどうなのかしらね。」


「お前が頑張って変わったからだろ。昔のお前はともかく今のお前が慈愛の女神って言われるのはおかしくないよ。」


鈴音はちょっと恥ずかしそうに顔を赤く染めている。

あまり表情に出さない鈴音にしては珍しいことだった。


「……ちょっとお風呂入ってくるわ。」


「あ、ああ。」


「冷蔵庫にあるのどれでも勝手に飲んでいいからね。」


鈴音は逃げるように風呂場に向かった。

今までにも同じような話は何度もしたことがあった。

にもかかわらず今日は照れていた。

俺を異性として意識しているからだろうがそれは俺にも言える事だった。

お互いに前なら流せてた話を流せなくなっている。

瓶のウイスキーを開けて濃いめのハイボールを作る。

しばらく一人で飲んでいると鈴音が上がってきたのだが思わず二度見してしまった。

初めて鈴音の寝間着姿を見たのだが薄手のパジャマで胸元が見えそうなぐらい空いているし下は短パンだった。

俺が居るのに露出が多すぎる。


「お……お前、俺が居るんだからもうちょっと厚着しろよ。」


「なんでよ?自分の家なんだから楽な格好でいいでしょ?お風呂どうぞ。そういえば着替えがないわよね?」


「今日は今着てるのをまた着るよ。」


「今度来るときは着替え持ってきときなさいよ。あんた以外をこの家に上げることもないから置いといていいわよ。」


「……考えとくよ。じゃあ風呂借りるな。」


洗面所で服を脱ぎながら考える。

今までは泊まったことがなかったが一度泊まるとこれからは抵抗がなくなるかもしれない。

可能性を考えると着替えは持ってきといたほうがよさそうだ。

泊まるのが当たり前にならないようにするつもりだが。

風呂に入ると嫌でも鈴音のことを意識してしまう。

鈴音が入った直後の風呂だと思うとなんとも言えない緊張感がある。

なるべく意識しないように頭と身体を洗って湯船に浸かったが鈴音が浸かった風呂だと思うとまた意識してしまうのですぐに上がることにした。


「あれ、早いわね。」


「まあな。」


「ハイボール飲んでたのね。どうする?またハイボール?」


「ああ、そうする。」


「作るから座ってていいわよ。」


俺は素直に座って待つことにした。

鈴音はハイボールを二杯とつまみを作って持ってきた。


「私もハイボールにしたわ。あんたのより薄めにしたけどね。ついでにちょっとつまみも作ったわ。」


「サンキュ。」


「こっち見ていいなさいよ。」


「お前がそんな格好してるから見にくいんだよ。」


「へー。」


「……なんだよ?」


「私は見られてもいいからこの格好なのよ。」


「そりゃ見られたくない格好はしないだろうな。」


「あんたにならもっと見せてもいいわよ。」


鈴音は胸元のボタンに手をかけて近付いてくる。

俺は思わず目を反らして「おいっ!」と突っ込む。


「あらっ?見たくないの?」


「…見たいか見たくないかで言えば見たいに決まってんだろ。」


「なら見れば?」


「……止めてくれ。これ以上やると止まれなくなるぞ。」


「…私はいいわよ。後で責任とれなんて言うつもりもないわよ。」


鈴音は止まることなく俺に寄りかかる。


「これだけ一緒に居てなにもないほうがおかしいんじゃない?」


「俺たちはずっと親友だろ?」


「私だってそのつもりだった……」


鈴音が体重を完全に預けてきた。


「鈴音、マジで……」


鈴音の顔を見ると……


寝てる?


このタイミングで寝落ちしたらしい。

声をかけたが起きる気配がなかった。

俺は深くタメ息をつくと鈴音を抱えて寝室に運ぶ。

ベッドに寝かせると布団をかける。

鈴音の顔を見たが起きる気配がなかったので俺はそっと頬を触る。


「悪いな。優柔不断で。」


俺は小声で呟いて寝室から出ると電気を消してソファに横になり寝ることにした。

俺が鈴音の寝室から出る瞬間に鈴音の目が開いてたことに気付かないままに。



■ ■ ■



鈴音はベッドに運ばれた時に目が覚めたがそのまま寝たふりをしてるといつの間にか寝てしまっていた。

夜中に再び目が覚めてリビングに行くと優也が寝ていた。

今日の鈴音はかなり勇気を出して優也に接していた。

今までの関係が壊れる怖さもあるがこのままでは優也の一番が自分じゃなくなることも考えられる。

そう思っての行動だったが優也はどう思っただろう。

今のままならずっと親友では居られる。

もし付き合ったりして別れることがあれば二度と会えなくなる関係になる可能性もある。

答えのない悩みを抱えたまま寝室に戻りベッドに潜り込む鈴音だった。

いつも読んでいただいてありがとうございます。

仕事で九月後半に資格試験を受けることになり勉強をしないといけないので次は27日に投稿します。

その後もしばらく日曜日だけ投稿することにしました。

十月一日からは毎日投稿に戻します。

必ず最後まで書き切りますのでよろしくお願いします。

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