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第七十八話

二人から旅行に誘われていてどうなるかと思っていたが幸いというか残念ながらというか結局旅行には行けなくなった。

さすがに連休直前だったので二人とも予約が取れなかったらしい。

旅行は諦めたが今日は鈴音と出掛けている。

今は鈴音と一緒に電車に乗って目的地に向かっているが俺はその行き先を聞いていなかったりする。


「で?どこ行くんだよ?」


「いいからいいから、今日は私がエスコートするから。旅行誘っといてダメだったお詫びだからさ。」


「なんだよそれ。お詫びとかいらねぇよ。」


「遊ぶための口実よ。夏休みには早めに予約しとくからよろしくね。」


「いやいや、口実なんかいらないだろ。」


「言ってみただけよ。」


今回の連休では行けなかったから夏休みに行くことになっていた。

いろいろ考える時間が出来て俺としてはよかったと思っている。


「……夏に行くならやっぱり海か?」


「まだ決めてないけど海、いいわね。次で降りるわよ。」


「はいよ。」


電車を降りた俺たちは歩いて目的地に向かう。

どこに行くかは聞いてなかったがここまで来れば予想できる。


「なるほど。水族館か。」


「さすがにここまで来ればわかるわよね。」


「まあな。電車の切符買ったときには予想してたけどな。」


「それもそうよね。」


「考えてみればあんたとは飲みに行ったりするばっかりで出掛けたりした事ってほとんどなかったじゃない?たまには普通のデートをしてみたくなったのよね。」


「前までは目立ちたくなくてお前と二人で出掛けるとかしてなかったからな。」


「今はいいの?」


「大学でも不本意ながら有名になってしまったしなぁ。もう考えても仕方ないだろ?」


「大学一の女ったらしの称号を獲得してるしね。」


「それは言い過ぎだろ?」


「………………」


「えっ?マジで?」


「そう思ってる人も居るのは確かね。」


水族館に着いた俺たちは中に入る。


「イルカショーは十一時からね。それまでは適当に見て回りましょ。」


「だな。やっぱり水族館と言えばショーだもんな。」


それからいろいろ見て回る。

鈴音が一番長く見ていたのはクラゲだった。

薄暗い室内で水槽にはカラフルな照明が当たっていてなかなか幻想的な光景だった。


「やっぱクラゲってなんかいいわね。」


「初耳だぞ。お前ってクラゲ好きだったのか?」


「なんかよくない?まあ展示方法が昔と違ってお洒落になってるだけかもしれないけどね。あんたは海の生き物でなにが好きなの?」


「好きと言うか見てみたいのはジンベイザメかな。」


「ここに居ないじゃない。沖縄の水族館に居るのは知ってるけど他にもどっかに居るの?」


「知らん。わざわざ調べたことないからな。」


「じゃあ夏の旅行はジンベイザメが見れる水族館にも行きましょうか。」


「沖縄以外にあるのか知らないぞ。」


「なければ沖縄に行けばいいじゃない。夏休みなら沖縄もありでしょ。」


「沖縄は一泊じゃ無理だろ?」


「他になければだからね。沖縄なら二泊しましょ。」


たしかに一泊も二泊も変わらないかもしれない。

旅行のことは鈴音に任せておいていいだろう。

もうすぐショーが始まる時間になったのでショーがあるイルカプールに向かった。

まだ最前列が空いていたのでどうせならとそこに座った。


「最前列だと濡れるんじゃないのか?」


「それはそれで面白いじゃない。」


「夏ならいいけどこの時期は寒いんじゃないか?」


「たしかにね。まあなんとかなるでしょ。」


そのままショーを見ることになった。

実は俺はイルカショーを見るのも初めてだった。

テレビでは見たことがあるが実際に見ると迫力もあり楽しかった。

ショーの後半、派手に水飛沫を飛ばすイルカを見ていると目の前で着水したイルカの飛ばした水をもろに俺が被った。


「あっはっは。あんたずぶ濡れじゃない?なんでそんなことになんのよ?」


隣を見ると鈴音はなぜか濡れてなかった。


「えっ?なんでお前は濡れてないの?」


「さあ?ギリギリ私にはかからなかったわよ。あんたイルカに好かれてんじゃない?」


「そんなわけねーだろ。まあそのうち乾くだろ。お前が濡れなくてよかったよ。」


「ほんとに大丈夫?そこに乾かすとこあったでしょ?」


「いや、大丈夫だよ。これぐらいで風邪なんか引かないしそのまま行こうぜ。」


「あんたがそれぐらいで体調崩したりしないか。じゃあ他も見て回りましょ。」


その後も水族館内のレストランで食事をしてから見て回った。

一通り見て回って水族館を出ることになった。


「さて、今からどうしようかしらね?夜ご飯には早いしなんかやりたいことある?」


「特にないけど晩ご飯はどうするんだ?」


「焼肉屋を予約してるわよ。あと二時間ぐらいあるからそれまでどうするかってとこね。」


「前回も焼肉だったよな?その店の近くでなんかやること探せばいいだろ?」


「焼肉好きでしょ?じゃあとりあえず向かいましょ。」


「まあ好きなのは確かだな。」


予約した焼肉屋は大学の近くだというので電車で最寄り駅まで戻ることにした。

焼肉屋の近くまで来た俺たちはゲームセンターで遊ぶことにした。

クレーンゲームだと荷物が増えて邪魔になるのでメダルゲームをやることにした。

最初はメダルを増やそうと頑張っていたが意外と増えてしまったので後半は消費する事を目標にしていた。

メダルを貯めるつもりもなかったので適当なゲームをやってなんとか使いきりゲームセンターを後にする。

予約の時間通りに焼肉屋に入り個室に通された。


「じゃあ改めて特に理由もないけどかんぱーい。」


「乾杯。たしかに乾杯する理由はないよな。」


「いいじゃない。お酒飲むときはだいたい乾杯するでしょ?」


「だよな。」


「今日は私が奢るからさ。好きなもの頼みなさいよ。」


「散財しても知らないからな。」


「大丈夫よ。遠慮されるほうが面白くないわよ。」


鈴音の言う通り食べたいものを頼むことにした。

読んでいただいた方ありがとうございます。

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なるべく多くの方に読んでいただきたいです。

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