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第七十四話

翌朝、起きると神崎が朝ご飯を作っていた。


「神崎、おはよう。」


神崎がジト目で見てくる。

俺は一瞬なんだろうと思ったがすぐに気付いた。


「伊佐、おはよう。」


「優也さん、おはようございます。」


「体調は大丈夫か?二日酔いじゃないか?」


「少し頭が痛いですけど大丈夫です。」


「無理にご飯作らなくてもいいぞ。」


「無理はしてませんよ。優也さん、今日は昼からバイトですよね?」


「ああ。」


「じゃあアタシは朝ご飯食べたら帰りますね。」


「なんか悪いな。」


「いえいえ、好きでやってるだけですから。」


一瞬ドキッとしたことは秘密にしよう。

たぶん料理の事を言ってるんだろうが最近の伊佐は俺への好意を隠すつもりがなさそうなので好きという言葉に反応しそうになってしまった。

言葉通り、朝ご飯を食べた伊佐は帰っていった。

帰り際に「またお出掛けしましょうね。」と言っていた。

伊佐が帰ってからしばらく昨日からのことを考えていた。

なんで俺から泊まっていけなんて言ったのかわからない。

お互いが酔っている時に泊めたりしたら手を出そうとしたりするかもしれない。にも関わらず普通に泊めてしまった。

もしかしたら俺は神崎とそういう関係になりたいんだろうか。

わからない。

一瞬、鈴音と彩乃の二人の顔が頭に浮かんだが結局、自分がどうしたいと思っているのかわからないので考えるのを止めた。


昼からはバイトに向かった。

今日はたしか村田さんも同じシフトに入っていたはずだ。


「あっ!伊庭さん、お疲れ様です。」


「お疲れ様。大学はどう?そういえばまだ大学では会ってないね。」


「やっぱり大学って開放的ですよね。自由っていうか。見掛けたら声掛けてもいいですか?」


「全然いいよ。大学は朝礼もなければ受ける講義も自由に決められるから高校とは違うよね。」


「そうなんですよね。どの講義受けるかとかなかなか決まらないです。」


「厳しい教授も居れば簡単に単位くれる教授も居るからね。」


「やっぱりそうですよね。あっ、時間ですね。」


「ホントだ。店に入らないとね。そうだ、村田さんご飯いつにする?」


「出来れば週末がいいです。」


「じゃあ来週末にしようか。日時とお店はまた連絡するよ。」


「ありがとうございます。じゃあ今日も頑張りましょう。」


「だね。」


その後は真面目に仕事をして気付くと終わりの時間になっていた。

村田さんは俺より先に終わりだったのでもう休憩室にもいなかった。

帰る前にスマホを確認すると鈴音からメッセージがきていた。


『今日の夜うちに来ない?バイト終わったら連絡して。』


メッセージを見た俺はすぐに返信する。


「バイト終わった。今から行ってもいいか?」


夕方なのでOKの返信がくればすぐ行くとしてとりあえずランニングしながら鈴音のマンションの方向に向かうことにした。

ランニングを始めてすぐに『すぐ来ていいわよ。』と返信が喜多のでそのまま鈴音のマンションに来た。


「いらっしゃい。って汗だくじゃない?」


「バイト終わってそのまま走ってきたからな。」


「どんだけ私に会いたかったのよ?」


「違うわ!お前が呼んだし俺はいつものトレーニングだよ。」


「わかってるわよ。ご飯すぐ出来るけどシャワー浴びてきてもいいわよ。」


「えっ?いいのか?」


今まで鈴音のマンションの風呂を使ったことはなかった。

鈴音は親友とはいえ一人暮らしの女性の風呂を使わせてもらっていいんだろうか。


「なに意識してんのよ。いいわよ、風呂ぐらい。きっかけがなかっただけであんたがお風呂使うぐらい気にならないわよ。」


「そっか。じゃあ借りるな。」


俺は風呂場に向かったが鈴音の顔が若干照れ臭そうな表情になっていた気がする。

シャワーで汗を流していると鈴音から声がかかった。


「あんたに合いそうな服がなかったわ。悪いけど脱いだ服をそのまま着てくれる?」


「もちろんだよ。」


俺の知る限りでは鈴音は大学に入ってから一度も彼氏を作っていない。

にもかかわらずこの家に俺に合う服があったらビックリだ

もしあったとしてと俺がそれを着るのは抵抗があるが。

シャワーを終えてリビングに向かう。


「今度来るときに着替えと下着をワンセット持ってきといてもいいわよ。これから暑い季節になってくるしね。」


「あー、考えとくよ。」


「料理出来たから食べましょ。」


料理を食べながら鈴音に質問する。


「そういえばいつの間にか三女神って仲良くなってたのか?」


「……伊佐ちゃんから聞いた?」


「聞いたっていうかお前の事、鈴音さんって言ってたからな。さすがに呼び方変えてたらわかるよ。」


「なるほどね。まあ三人でいろいろ話したのよ。内容は言わないわよ。」


「気にはなるけど内容は聞かないようにするよ。」


「そうしてちょうだい。それで伊佐ちゃんってあんたんちに泊めたりしたの?」


あんまり答えたくないが三人に繋がりが出来たなら嘘をつくのは悪手だろう。


「泊めたことはあるよ。」


「………手を出したりしてないでしょうね?」


「出してねーよ。俺の理性は強いんだよ。」


「……ならいいけど。あんたの理性が強いならうちに泊まっても問題なくない?」


「問題はないけどどうしたんだよ?今まで泊めようとしたことないよな?」


「たまにはあんたと飲み明かしたりしたいのよ。あんたって頑なに夜帰ってたじゃない。」


「伊佐は泊めるのにお前んちに泊まらないのもおかしい気もするな。」


「……伊佐…かぁ。」


「…あいつがそう呼んでくれって言うからな。次来るときは着替えとか持って来るわ。」


「私はあんたの一番の親友だからね。」


「当たり前だろ。」


「よね。」


食事を終えて軽くアルコールを飲んでから俺は帰ることにした。


「次来たときには泊まりでとことん飲むからね。着替えとか忘れないでよね。」


「わかったよ。じゃあ今日もご馳走様。またな。」


「またね。おやすみ。」


「おやすみ。」

読んでいただいた方ありがとうございます。

もし面白いと思っていただけたら拡散してもらえたらうれしいです。

なるべく多くの方に読んでいただきたいです。

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