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第七十二話

神崎におめでとうを言ってから次の講義を受け、帰ってからはバイトもないので軽くトレーニングしてスティックタイプの健康補助食品と栄養チャージゼリーで晩ご飯を済ませた。

酒は好きだが基本的には誰かと一緒じゃないと飲まないようにしている。

学祭の時には限界まで飲んでしまったが。


コンコン


アパートのドアがノックされた。

なんとなく予想はしていたが来るなと言っていたのにやっぱり来たらしい。

ドアを開けるとやっぱり神崎だった。


「えへへ、来ちゃいました。この時間ならいいですよね?」


まだ八時なので問題はないが友達との食事をこんなに早く終わらせて大丈夫なのか心配になる。


「いいけど友達はいいのか?主役がこんなに早く帰ったらダメだろ?それに来るときは連絡しろよ。俺が出掛けてたらどうするんだよ?」


「元々早く帰るって言ってましたから。それにちょっとでも優也さんと過ごしたかったので。居なければ電話しようと思ってましたけど今日は出掛けてないかなと。」


予想が当たっていてちょっと得意気な表情をしている。

実際、神崎が来るかもしれないから出掛けるつもりがなかったので神崎の予想通りだった。


「なんとなくお前が来るかもとは思ってたからな。」


「んふふ。優也さんっやっぱりアタシの事よくわかってますし、優しいですよねー。」


「………まあとりあえず上がれよ。」


神崎の言葉に照れを隠せないままとりあえず中に招き入れる。


「お邪魔しまーす。優也さんはもうご飯食べました?」


「適当に済ませたよ。どうする?酒飲みたかったりするのか?」


「いえ、優也さんと飲むのは金曜日の楽しみにしときます。」


「じゃあコーヒーでいいか?」


「あっ、はい。アタシが入れましょうか?」


「いや、今日ぐらいは俺が入れるよ。」


俺はコーヒーを二杯入れてテーブルに置く。


「改めて誕生日おめでとう。」


「ありがとうございます。」


俺はベッドの向こうに準備していたプレゼントを手に取って神崎に渡す。


「これ、誕プレだ。大したもんじゃないけどな。」


「えっ?ほんとですか?わざわざ準備してくれたんですね!開けていいですか?」


「一応な。いいぞ。」


包装紙を外して中を見る神崎。

俺が準備したプレゼントはワインだった。

赤と白の二本セットで見た目ちょっとお洒落な感じの物だった。


「わー、ワインですねー!」


「酒が飲めるようになったしちょうどいいかと思ってな。」


「えへへ、ありがとうございます。早速飲みたいですけど今日は勝手に来たし止めときますね。金曜日に居酒屋の後で一緒に飲みたいんですけどいいですか?」


「いいけど持って帰って家で飲んでもいいんだぞ。」


「いえ、せっかくだから一緒に飲みたいです。だから今日はここに置いて帰っていいですか?」


「じゃあ冷蔵庫に入れといて金曜日に開けるか?」


「そうさせてもらいますね。」


神崎はワインを冷蔵庫に入れてついでに冷蔵庫の中身をチェックしている。

おそらく次に来るときになにを買って来たらいいがチェックしているんだろう。


「さて、今日はもう帰りますね。遅くなって優也さんに送ってもらうのも申し訳ないですし。」


「気にしなくてももう送っていくつもりだよ。」


「アタシが勝手に来ただけですからいいですよ。」


「ダメだ。送るからな。」


「優也さんは言い出したら聞かないですからね。じゃあ送ってもらいます。」


「よし、行くか。」


こうして神崎を家の近くまで送ることにした。



そして約束の金曜日。

どこかで待ち合わせをしようと思っていたのだが神崎がうちまで来ると言うので待っていると大量に食材を買って来て冷蔵庫に収納している。


「なあ、食材費ぐらい払うぞ。」


「いいですよ。家で一人で作って食べるよりここで作って二人で食べるほうが美味しいからやってるだけで優也さんに恩を売るつもりじゃありませんから。」


「でもなぁ。」


「ほんとにお金とかはいいんです。そんなことよりアタシを甘やかしてくれたら喜びますよ。」


「……うーん、……考えとくよ…」


「お願いしますね。さあ、行きましょー!」


食材を片付けた神崎と居酒屋に向かう。

神崎の希望通りよく行く居酒屋なので鈴音たちとも何度も行っている店で店員からしたらまた違う女性と来てると思われてそうである。

事実なので仕方ないのだが。

予約してあるのですんなり席に通された。


「俺はビールにするけどお前はどうする?カクテルとかにするか?」


「アタシも最初はビールにします。食べ物は優也さんが決めて下さい。」


「俺に合わせなくても好きなの頼めよ。」


「お酒はまだよくわかりませんからね。」


「ん?俺と一緒の時は飲まないように言ってたけど俺が居ない時は飲んでるんじゃないのか?」


「だいぶ前には飲んだことありますけど優也さんと知り合ってからは飲んでませんよ。優也さんに言われてその辺しっかりしようと思ったんで。」


俺の言葉が思っていた以上に神崎の行動に影響を与えていたらしい。

こいつはやっぱり根が真面目なんだよな。

運ばれてきたビールも持って乾杯をする。


「じゃあ神崎、誕生日おめでとう。乾杯!」


「かんぱーい。優也さん、ありがとうございます。」


「お前って小悪魔なのに素直だな。」


「小悪魔はアタシの表面しか見てない人たちが言い出しただけですからね。」


「だよなぁ。食べ物も好きなの頼めよ。」


「はーい。これとか頼んでいいですか?」


メニューを指差しながら聞いてくる。


「確認しなくていいから好きに頼めって。」


「アタシって意外と大食いですけど大丈夫ですか?」


「おい、誕生日なんだろ?余計なこと気にすんなよ。」


「えへへ、ありがとうございます。」


「俺はビール頼むけどお前はどうする?」


「カクテルいろいろ飲んでみたいです。なんかカクテルって大人な感じがしませんか?」


「あー、なんかわかるかも。初めて酒を飲んだ頃は思ったかも。男には甘すぎるのが多いけどな。」


「アタシも大人の仲間入りですね。」


「飲みやすいから飲みすぎに気を付けろよ。」


「はーい。カシスオレンジとかよく聞くからこれにします。」


その後も神崎は定番っぽいカクテルを頼み、俺はひたすらビールを頼んだ。

居酒屋での飲みに満足したのか神崎がそろそろ帰ろうと言い出したので会計を済ませて帰ることにした。

長くここに居て俺の家に行くのが遅くなると俺が家はダメだと言うかもしれないと思っているのかもしれない。

帰りにつまみになりそうな物をコンビニで買って二人でアパートに帰った。

読んでいただいた方ありがとうございます。

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